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似て非なるMAMORIOとAirTag

今回も買って良かったもの紹介ですが、またまた、古い製品ですw
この分野では老舗のものとなります。

紹介するのはMAMORIOの忘れ物防止タグです。
発売当初からMAMORIOは小型軽量でした。電池交換できないから小型なんだと思っていましたが、現在は電池交換可能なモデルもあり、専用ケース(別売り)が結構カッコよくて気に入って使っています。

愛用しているMAMORIO

今となってはMAMORIO以外にも忘れ物防止タグは各社から発売されていて、音が鳴るなど多少の機能差はありますが、使い勝手に大きな差異があるように思えません。

MAMORIOのいいところ

ただ、MAMORIOが発売された当時、画期的だなぁと思ったのは、「みんなで探す」という機能があったことです。この機能は現在もあります。

「みんなで探す」機能は、同じMAMORIOのアプリをいれた他の人のスマホもタグの位置探しに協力するという機能です。自分のタグ付きの荷物を紛失したと登録すると、他人が偶然そのタグの電波を受信すると、タグのあった場所をMAMORIO社のサーバー経由で通知してくれる仕組みです。大型スーパーの迷子探しの放送と、よく似た発想ですね。
協力者にはMAMORIOのアプリをいれた人が必須なのですが、最近ではMAMORIO社が自前で協力者となるSpotを設置しているため、駅などで紛失した場合は高確率で見つかるようです。

同様の機能の出現

しかし、現在では色々な会社から同様の機能のある製品が発売されています。
アップルのAirTagにも同様の機能があり、しかもAirTagは、ある世代以降のすべてのiPhoneが探してくれるため、探してくれる他人が圧倒的に多くなりました。
おかげでストーカーが車や荷物に勝手にAirTagを仕込んで、現在位置を割り出すといった事件も起こり、記憶に新しい方も多いかと思います。

MAMORIOの特許はどうなってる?

前回同様、特許が気になり調べてみました。MAMORIOのホームページに特許番号の記載がありました。特許第5894309号だそうです。

スタートアップ企業ということもあり、当時の落し物ドットコムという社名で2015年4月2日に出願がされていました。現在はMAMORIO社の名前に変更になっていますが、ホームページに記載されている特許番号は「みんなで探す」機能についての特許でした。
ちなみに、「みんなで探す」機能関連の出願はこの特許以外にはなかったです。
これは少し意外でした。
スタートアップ企業では企画力や技術力が売りにすることが多く、それらを知的財産として保護してないように思えたからです。

アップルの特許はどうなっている?

アップルが「みんなで探す」と類似の機能を出願したかというと、その形跡すらみつかりませんでした(それなりに頑張って探したんですが…)。これまた意外でした。

これは、
1.特許権侵害をして使っている
2.特許使用許諾をしてもらい、適正に使っている
3.特許を侵害しない他の方法で実現している
のいずれかの可能性が高いと思います。

私がアップルの開発担当なら、最初に3を検討します。仮に、他の方法が完成したなら、その方法をアップルとして特許出願したくなるものです。
事実、AirTagが発売された2020年頃には日本でもAirTagの構造の特許は出願されています。

AirTagの構造と思われる特許出願

構造の特許出願はあるのに、「みんなで探す」機能の特許出願はその形跡もないというのが、不可解です。

もしかしたら、1か2のパターンなのかもしれませんが、MAMORIOとAirTagでは中身が全然違います。お弁当に例えるなら、MAMORIOはおかずが唐揚げだけで、対するAirTagは幕ノ内弁当くらいの差があります。
具体例でいえば、電波のハード機能だけでもMAMORIOはBLEが1種類だけ、AirTagはBLE、UWB、NFCの3種類。その差は歴然です。

機能が充実しているので、特許を侵害しない他の方法で同様の機能ができてしまう可能性が高いです。いわば、似て非なるものなのかもしれません。

では、なぜアップルは特許出願していないのか?

構造のように分解すれば目視で分かるものは権利化しておく必要が高いのですが、第三者には確認する術がないサーバーの働きとか、解析しないと分からない制御方法などは、あえて特許出願しないケースも多々あります。
出願して公開してしまうとリスクの方が高い場合があるのです。特に、セキュリティに関する内容が含まれていると公開しない方が安全です。
AirTagは間違った使い方をした人のせいで社会問題になりましたが、そもそも設計的にはセキュリティ対策がなされている感はあります。

最後に

MAMORIOは日本人によって起業されたスタートアップ企業です。同じ日本人エンジニアとしても、ぜひ、頑張ってもらいたいです。
アップル社や米国企業が嫌いという訳ではないですが、応援の意味も込めて、私はMAMORIOを使い続けようと思います。

※一部、憶測で書いています。特許調査が不十分である可能性も否定できません。また、著者は電気系の技術者であり、法曹資格を持っている訳でもありません。その点をご理解頂いてお読み頂ければ幸いです。
もし、真実をご存知の方がいらっしゃいましたら、ご指摘頂けますと嬉しく思います。


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