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シンガポールの本屋事情

 シンガポールでお気に入りの本屋を求めて東奔西走している最近。特に、Shibuya Publishing & Booksellers紀伊國屋書店(新宿本店)青山ブックセンター辺りをうろついていた方は、割と趣味が合うであろう記事を書いてみる。


嗚呼、「いい感じ」の本屋はどこに

 シンガポールには「いい感じ」の本屋が少ない。ベストセラーになった本や、最近出版された本は取り扱っているが、5〜10年前の本や古本は置いていないところがほとんどだ。
 ティオンバルにあったBooks Actually、ジュロン・イーストにあったBooks Kinokuniyaは、それぞれ2020年、2022年に閉店してしまった。Books Actuallyに至っては、Instagramの最終更新が2022年11月なので、現在オンラインショップが稼働しているかも不明。

 オーチャードやブギスのBooks Kinokuniya以外に、豊富な品揃えで長居できる書店(できれば独立系書店)はどこにあるのかというと、マクスウェル〜タンジョン・パガーに集結している。以下に、最近訪れたところを3軒ほど紹介したいと思う。書店名のリンクには、極力本屋のウェブサイトを使用しているが、ない場合はInstagramページを貼っている。
(余談だが、日本人コミュニティでタンジョン・パガーが「タンパガ」と呼ばれているのにいまいち慣れない。ジョグジャカルタのことを「ジョグジャ」と呼ぶのと同じぐらい違和感がある)

草根書室(Grassroots Book Room)

 ガイドブックにも載っている草根書室は、シングリッシュについての本、シンガポールの政治・経済・社会を率直に取り上げた本、シンガポール人作家の本などが多い。また、本以外に、ちょっとしたお土産になるグッズも取り扱っている。

シンガポールにまつわる様々な本を取り扱っているため、観光客も多い
アルフィアン・サアットの「サヤン、シンガポール」「マレー素描集」を発見。この2冊は邦訳されており、キラキラでイケイケな姿とは全く違うシンガポールの印象を与えてくれる

Littered with Books

 フィクション、ミステリー、ヤングアダルトなど、本棚が細かくカテゴリー分けされている本屋。英書がメインで、中国語の本はほとんど置いていない。

2階は、より静かな空間

BOOK BAR

 最近新しく見つけた本屋。シンガポールを代表する社会学者、Chua Beng Huat教授の著作はもちろん、シンガポールの政策や社会に批判的な視点で切り込んだ本が多く手に入る。ここで購入したマイナー本を、今後別記事にて紹介予定。

こぢんまりした店内では、不定期でイベントも行われている

忘れてはいけない、「シンガポールの神保町」

 そして、忘れてはいないだろうか。シンガポールの神保町と呼ばれる(?)、ブラスバサー・コンプレックスを。元々、1980年の都市再生プログラムの一環として建設されたこの建物は、1〜5階が主に書店(古本含む)、上はHDB住宅になっている。観光地というよりは、本好きな人向けの場所だが、文房具や美術用品、カフェ、美容室等も入っている。

シンガポールのタコシェを求めて

 自主制作グッズで溢れたタコシェのような本屋を探し続けているが、出会えていない。どこにニーズがあるのか分からない、ニッチすぎる商品や作品が陳列されているカオスなお店をご存知であれば、是非教えてほしい。
 結局、探し求めているのはシンガポールのサブカルチャーだ。本屋、ミニシアター系の映画館、ジャズクラブ、コメディークラブ、小劇場探しには余念がないが、未だにマリーナベイ・サンズにもラッフルズホテルのアフタヌーンティーにも行ったことがないし、「複合文化施設」なるものにも、いまいち食指が動かない。先月末、学校を改装した施設であるNew Bahruがリバーバレーにオープンしたが、まだ行けていない。こぎれいで洗練された雰囲気に、居心地の悪さを感じてしまうかもしれない。その感覚も含めてここで綴るために、一度行ってみてもいいけれど。

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