優れたリーダーになるために優れたモチベーターでありたい
リーダーを考えるきっかけ
スクラムマスターを務めるようになり、スクラムガイドを読むたびに考えさせられるのが以下の文である。
2017年度版のスクラムガイドには「サーバントリーダー」であると表現されていたものが最新版には「真のリーダー」というより高いレベルかつ抽象度の高い表現が使われるようになった。
これをきっかけに私は「真のリーダー」の姿を考えるようになった。
真のリーダーに欲しい一つの要素が「モチベーター」だった
真のリーダーに必要な要素はたくさんあるはずだが、個人的に理想のリーダーもしくは自分のリーダーに欲しい要素を考えた時に上がった一つが「モチベーター」であることだった。
モチベーターとは簡単に表現すればチームのモチベーションを上げてくれる人のことだ。
私自身、幸運なことに自分自身のモチベーションを上げてくれる人たちに何人も出会うことができた。だからこそ自分自身も誰かにとってのモチベーターでありたいし、チームにとってのモチベーターであることは真のリーダーに近づくと考えている。
人のモチベーションを上げる方法
モチベーションは「外発的動機」と「内発的動機」の2種類に分けられるとされている。
外発的動機は、外部からの要因によって動機付けられるもので、最も分かりやすいもので言うと給与や賞与といった報酬によるものだ。
内発的動機はその人自身の興味関心から内発的に引き出されるもので、本人がやりがいを感じたり、貢献や成長を感じることが部類される。
外発的動機はモチベーションが上がるまでの時間は短いが持続性は短いと言われており、対して内発的動機はモチベーションが上がるまでに時間を要するものの持続性が長いと言われている。
メンバーに対して賞与といった報酬を与えて外発的動機を与えることはできないし、持続性の長さを鑑みても自分がリーダーとして与えるべきは内発的動機の方だと考えている。何で見たか忘れてしまったが、自分と同世代の人たちは外発的動機よりも内発的動機に触発され仕事ややりたいことを選ぶという記事も見たことがある。
自分自身のふりかえりからどうしたら内発的動機が生まれるか考える
自分自身のモチベーションが上がったときをふりかえっても外発的動機によるものに関してはあまり記憶がなく、内発的動機によってモチベーションが上がったことがとても記憶に残っている。(賞与のタイミングでは外発的動機によってモチベーションが上がっているのだろうが、まさに持続力がなくそれによってモチベーションが上がった記憶が抜け落ちているのだと思う。)
自分自身の過去をふりかえっていくつか内発的動機が生まれるポイントを上げていく。
チームのビジョンをパッションを持って伝え、共感を得る
チームで取り組みをする以上、達成したいビジョンやゴールが存在する。そのビジョンをパッション(情熱)を持って伝えることはリーダーとしてとても大切だと感じている。
ただビジョンを伝えるだけでも共感を得ることができるかもしれない。しかし、パッションを持ってメッセージを伝えてくれる人は人を惹きつけるし、その人が伝えてくれるビジョンを自分も一緒に達成したいと思わせる「魅力」が伴う。
内発的動機を生み出すためにはその人の心を動かさないといけない。そのためにもこの魅力の部分は決して軽視できない要素だと私は感じている。
その人への「期待」を明確に表明する
チームのメンバーに対してどんなことを期待するかを明確に表明することも大事だと感じている。期待のかけすぎはプレッシャーになることもあるだろうが、ある程度達成可能な期待を直接伝えてあげることは本人にとってはうれしいはずだし、やりがいを感じるきっかけにもなる。
期待だけを表明してそれに向かっていく過程をサポートし続けるのも同時になってくる。期待のみ表明してあとは放置になってしまうと、口だけだったのかと感じてしまうし、期待に応えるにはある程度の困難が待ち受けているはずなので、それを乗り越えていくためにもサポートする姿勢は見せ続けることが大事になってくる。
その人への「称賛」を明確に表明する
前述した期待にもしかしたら応えることができなかった場合もあるかもしれない。そのような場合「結果」にフォーカスするのではなく、それまでたどってきたプロセス・取り組みを「称賛」してあげることはとても大事になってくる。
そもそも結果を得られることが確約されているような期待は内発的動機にはつながらないし、結果だけにフォーカスして評価してしまうと、高いモチベーションを持って取り組んでくれなくなってしまう可能性がある。
例え結果が出なかったとしても、そこまでの過程でチームとそのメンバーが全力で取り組み続けたことには変わらないのだから、その取り組みの姿勢を称賛してあげることで、次の取り組みに向けた内発的動機を生み出せるはずだ。
もちろん、このアクションは結果が見えたときに限らず、チームが成果達成に向けて取り組みを続けてあげることで、高いモチベーションを維持することに繋がっていく。
余談になるが、大人気アイドル「NiziU」のオーディションとして行われていた「Nizi Project」がTVで放映されているときにたまたま見つけた記事が↓である。
NiziUプロデューサーのJ.Y. Park氏がオーディション参加者に必ず「Good を先、Mottoを後」にフィードバックを伝えていたのだという。
この取り組みはまさにその人がやってきた過程をまずは称賛することを表しているし、その後に更なるカイゼンにつながる「Motto」を伝えてあげることで、フィードバックを受けた本人に内発的動機を生み出していると言えるだろう。
でも実際にはそんな簡単じゃない
ここまで(偉そうに)内発的動機を生み出すために取り組むべきことを書いてきたが、実際のところそんな簡単に人の内発的動機を作り出すことはできない。
人の心、つまりマインドの部分に働きかけ、内発的動機を生み出すのは数回のアクションでできるはずがなく、継続したアクションをし続けるしかない。
途中で折れずに、継続したアクションを取るうちにチームにとって「モチベーター」になり、「真のリーダー」に必ず近づくはずだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?