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私たちが音楽を配信している方法

過去に、自分のバンドがどのようにしてカラオケに音楽を配信しているか、という記事を書きました。あーねこかわいい。

今回は、音源の配信方法について書きたいと思います。

ちょうど、自分のバンド、"サムタイム時々"は新しい音源のレコーディングが終わり、ジャケットも決まり、CDのプレス入稿が終わり、今まさに配信を開始してやろう、というタイミングなのです。
せっかくなので手順を全部書いて後々の自分のメモにもしておこう、というのが今回の記事です。私たちの音源は、cdbabyというディストリビュータを通じて各種サービスへ(iTunes / Apple Music / Spotify etc..)配信をしています。まずはこのサイトにアーティストとしての登録をします。

サムワットいくらか

↓の画像は、cdbabyウェブサイト内の画面です。このサイト内で手続きは全て完結します。

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最初に配信したい音源(アルバム)の入れ物を作ります。ここではすでに入れ物の作成は完了しています。今回新たに配信する音源は↑の画像でいう"UNPAID ITEMS(配信費用を支払っていない=まだ配信してないアルバム)"にある"サムワットいくらか”です。下の方に見えている”PAID ITEMS”は、今配信中のアルバム"サムシング何か"と、サムハウどうにか"です。こうやって改めて自らの音源を並べてみると、とてつもなくしょうもないタイトルですね。

アーティスト名・アルバムタイトル・曲のタイトルについての注意点

次にそのアルバムの右にある"VIEW/EDIT"をクリックし、そのアルバムが何枚組(NUMBER OF DISCS/VOLUMES、普通は1になる)なのか、また何曲入っているのか(NUMBER OF TRACKS)を選択し、曲名を入力します。今回我々の音源は、6曲。

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なお、ここで注意すべきことは、英文字のタイトルの曲です。先頭が大文字、それ以降が小文字に固定されます。全て大文字、全て小文字、特定のものだけ大文字、といった特殊な表記はできません。以下のURLでも説明されています。

つまり、アーティスト名も曲のタイトルも、andなどの特定の単語以外は、先頭だけ大文字になるっていうことです。アーティスト名のみ、知名度やらなんやらで例外が許可されることがあるようですが。

例えば、あなたが" I am a pen"というタイトルの曲を配信したい場合、表記は必ず"I Am a Pen"に修正される、ということです。

cdbabyの都合でこうなっているのかな?と最初思ったのですが、上記の記事によると"流通パートナー"側の都合と書いてあるので、どのサービスを使用して配信しても同じ結果になるのではないかと思います。

こんな記事もあります。

トラックごとの情報を入力していく

次にこんな画面になります。実は1曲目だけ設定完了しちゃってますけど・・・未設定の時は STATUS欄が全部空っぽで、1曲設定するごとに以下のようなチェックマークが入っていきます。

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トラックごとの情報を入力する画面がこちらです。細長!

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ここでは、1.暴力的な表現があるか?、2.歌詞の言語は何?、3.ライブバージョンか?、4.オリジナルソングか?といった項目を入力します。ほとんどの場合↑の画像みたいになるんじゃないかと思います。

オリジナルソングの場合は、作詞および作曲が誰なのか?というのを入力します。↑の画面では、すでに作成済みのSONGWRITERとして私のバンドメンバーが全員登録されています。そして私たちは、"作曲のクレジットはその曲の一番モトになるネタを考えたメンバー+バンド"というのを原則としているため、ここで例に挙げている”碇”という曲だと、こんな風になります。

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Does XX have a publisher for XX?というのはおそらくこの曲のリリースに関して音楽出版社的なところと関係してるかみたいな項目だと思うので、我々みたいなミュージシャンであればNoでいいと思います。

全曲の情報を入力し終えると、こんな感じに。

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マスター音源のアップロード

ALBUM & SINGLES > TRACK & AUDIOを見ると各トラックの残りの項目はAudioのアップロードだけだということがわかります(アルバムの情報として、ジャンルの入力などが残っていますが、適当に近いものを入れればいいので割愛)。

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ここで重要なことは、マスター音源の種類です。WAVもしくはFLACでサンプルレートが44.1kHz、16ビットのオーディオファイルのみをサポートしています。要するにCDの音質です。マスター音源を作成する場合はこの規格に沿ってファイルを出力しましょう。mp3もサポートはしているようですが、推奨されていません。cdbabyサイト内でも、mp3ファイルは"it's like we print out the picture of a picture"と表現されています。何しろ、各社への配信の大元となるファイルですから、音質が良いものを選択する方がいいのま間違いありません。

アップロードを仕掛けると、音符が踊ります。かわいい。私のマスター音源のファイル名は終盤に差し掛かると"Fix"となったあと"20201017Fix"とか"FinalFix"とかその後さらに"LastMix"とか"HontoniFix"とかいうファイル名に変化していきます。なんともわかりづらい。

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そうすると、各トラックがこんなふうに全項目チェックマークみたいになります。

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アルバムジャケット画像の登録etc

アルバムジャケットのデザインは、以下の画面の”Add AlbumArkwork"の文字をクリックし、画像をアップロードします。

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アルバムジャケットの画像は、以下の条件を満たしている必要があります。私もこれを事前に確認せずにデザイナさんに何度もファイルの作成をやり直してしまう手間をかけてしまったことがあります。大変申し訳ない気持ちになりますので、事前に確認しておきましょう。

- 3000 x 3000 ピクセル(推奨)もしくは 1400 x 1400 ピクセル
- 拡張子はPNG/GIF/JPG/JPEGのいずれか
- 72 - 300dpi (300dpiが理想的)
- ファイルサイズは25MB以下
- カラー形式はRGB(CMYKのファイルはアップロードに失敗します)
- 他の作品で利用しているデザインはNG
- 物理のアルバムと同じである必要がある(これはおそらくcdbabyで物理のCDも制作する場合だと思います。

バーコードの発行

アルバムに付与する一意のバーコードを発行するか否かをここから決定します。

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今から配信しようとしているアルバムが、他の業者からバーコードを発行してもらっていないのであれば、このcdbaby内で発行して貰えば良いでしょう。その選択をした場合は、上記の画面のようにUPC has been requested となります。今回我々は、先に物理のCDをリリースするため、事前にプレス業者から発行してもらったバーコードを利用しました。

配信日時を決定する

Release Date のところをクリックします。随分前の日付が入っちゃってるなこれ・・・

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このリリース日時は、各種配信ストアの兼ね合いもあり、必ずしもこの通りになるものではない、という点に注意が必要です。また、当日や過去の日付を入力すると最短の日程で配信されます。経験上1週間程度・・・だと思います。

さあ、配信しよう

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全て入力を終えました。UPCバーコードは、プレス業者からもらったものを入力して、 (念のためモザイク)ReleaseDataは2020/12/30にしてあります。

あとは支払いのみなので、こいつをAdd to cartして支払いを続行。クレジットカードやPayPalでの支払いが可能です。

料金はこちらのページで確認できます。今回はStandardAlbumで配信するので、$29です。前述のバーコード発行なども同時に実施する場合は、+$20必要になります。

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支払ってしまえば、あとは待つだけ・・・なのですが、配信に関わるなんらかの問題があった場合などは、登録されているメールアドレスに英語のメールが来たりするので、、、迷惑メールだと思って無視しないようにしましょう。

なぜcdbabyを利用しているのか

最後に私たちがなぜcdbabyを利用しているのか、という点について書こうと思います。

デジタルディストリビュータへの支払いの体系とcdbabyの良いところ・悪いところ

cdbabyを含むデジタルディストリビュータというのは、AppleMusic(iTunes)/Spotify etc...といった音楽配信ストアへの楽曲配信を代行してくれるサービスです。このディストリビュータも色々とあるようですが、代行サービスなので、それを代行する料金と、楽曲が販売・再生された際の売り上げから手数料を差し引いたりしてアーティストからもらって、儲けている(他に言い方が思いつかない)方々です。

国内最大手はおそらくTUNECORE JAPANだと思います。(調べていないけど多分そう) TUNECORE JAPANを実際に利用したことはないですが、おそらく手軽に利用できて、サイトも日本語で、かつ、そこそこ安い料金で配信してもらえて、さらには、どうやらTUNECORE JAPANは楽曲販売の料金は100%アーティストにバックされる模様。(各配信サイトでの手数料は別)

こいつはいいサービスだぜ・・・と思っているのですが、そもそもの配信にかかる費用がちょっと私にはひっかかるのです。なぜかというと、配信にあたり、利用料を年額で支払わないといけないんです。

例えばアルバムの配信には年額4,750円 (税抜き)がかかります。当然、年額になっているので、毎年支払いをし続ける必要があります。自分たちの楽曲が売れても、売れなくても。

AmazonPrimeの年会費とはわけが違います。何しろAmazonめちゃくちゃ使ってるしPrimeVideoめっちゃみてるし、日常に完全に浸透していますので。

ここでの問題点は、"年間4750+税の分だけ楽曲が売れなければ損をし続ける"ということです。はっきり言って音楽なんてものはどんなに売れているアーティストであってもある程度旬のようなものがあるわけで、ずっと聴かれ続ける、売れ続ける、というのはまずあり得ないことだと思います。我々のような半端な副業ミュージシャンなんか考えるまでもありません。

cdbabyのメリット

なんと言っても、支払いは配信をする最初の1回のみ、というところです。あとはほっとけば良い。翌年以降、売れなくても損はしません。、これが一番のメリットです。

cdbabyのデメリット

たくさんあります。
・メールもホームページも全部英語
・ハイレゾには対応していない(TuneCoreはしている)
・楽曲が売れると配信ストア+cdbaby側にも手数料が取られる
たくさんあるんですけれど・・・たった一つのメリットがこれをめちゃくちゃに上回る、というのが私の個人的な感想です。従いまして、私はcdbabyを利用しています。

ということで、たった今2020/12/30に配信する手続きを完了したアルバムのダイジェストがこちら。ぜひお聴きください。そして、ぜひご購入ください。よろしくお願いいたします。

おわり

 - 2020/11/4 支払い料金の部分をちょっと修正・誤字脱字を修正しました


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