司法書士試験に受かったけど会社員になった話①

1.はじめに

 昨日11月11日は司法書士試験の合格発表の日だったということで、これから就職活動をされる方もいらっしゃるかと思うので、自身の体験談を書いてみることにしました。記事タイトルのとおり、私は司法書士試験に合格しましたが、その後は一度も司法書士事務所に勤めることも自ら開業することもなく、一貫して民間企業の法務またはそれに類する部門で働いています。
 司法書士試験の受験者は、当然合格後に司法書士となるべく資格を取得している中ですが、一つの資格の活かし方として記事にしてみようと思います。

2.資格を取得したきっかけ

 大学は法学部に進んだので何か法律に関わる仕事をしようと安直な考えで、司法試験か司法書士試験の選択肢から、前者については、当時は旧試と新試の過渡期で、ロースクールへの進学以外のルートがほぼ考えられなかったところ、貧乏公立大学生の私は消去法で司法書士を選択しました。
 司法書士試験は大学在学中に受験するも合格しなかったため、同級生がみな社会人生活を謳歌する中、2ちゃんねるの資格版で取っても食えないといったネガティブな情報と孤独な受験生活で気が滅入るも、まあ受かってからこの後どうするか考えようと、決断を先送りにしながら3回目の受験でなんとか合格したため、いよいよ働かねばならなくなりました。

3.いざ就活

 合格後はしばらくアルバイトをしながら新人研修等に参加して束の間のモラトリアムを楽しんでいましたが、認定考査が終わるといよいよ働かざるを得なくなったので、就職活動をすることにしました。
 就職活動の方法としては、まず予備校が開催する合同事務所説明会に参加することにしました。ちなみに、今もあるそうですが「ブラック事務所リスト」なるものが新人研修中に流通しており、同説明会に参加している事務所はそのリストに掲載されているところが多かった気がします。
 現在サラリーマンになってしまい業界との接点が無くなってしまいましたので、結局そのリストの内容の真否は不明ですが、採用に注力をしている事務所は人の出入りが激しく、労働環境は良くないことが推察されます。
 ただブラックか否かというのは、その人の置かれている環境(例えば、労働時間が長くハードで給与が安くても独立までの修行と割り切れる)によると思うので、よくよく情報収集をした上で、判断した方がよいのではないかと思います。
 
 そんなこんなで、本当にこのまま司法書士を目指してよいのか悩みながら就職活動をしていた所、たまたま書店でこちらの本を手に取りました。
 著者は司法書士の資格を取得後、企業の法務部門で法務業務に従事しており、企業内での法務部門の業務の内容等をうかがうことができます。現在はこうしたテーマにした書籍も多々ありますが、当時としては珍しく、また内容も類書にない赤裸々なもので面白く読めました。2013年の初版以降改訂されていないようですが、興味のある方はお手に取ってみてください。

4.なぜ司法書士ではなく会社員になることにしたか

 大学生の頃は一般的な新卒での就職活動をほとんどしていなかったので、事業会社の内情を知らなったのですが、この本をきっかけに企業の法務部門という選択肢があることを知り、そちらを選ぶこととしました。
 会社員を選択した理由は、司法書士が向いてないのではないかという消極的な理由によるものです。
 基本は独立を前提とした資格であるところ、自営業者としてやっていけるだけの営業能力があるとは思えませんでした。また、これは新人研修で講師からも散々言われると思いますが「司法書士は友人が少ない人ほど懲戒にあうリスクが高い」とのことです。そのココロは、同業者と業務について相談できる人間関係が構築できないと、懲戒事例に関する知識や情報を得ることができず、意図せずとも懲戒に遭ってしまうおそれもあるということです。
 要するにコミュ障だとキツそうだなということで、会社員の方がマシかもしれないという後ろ向きな選択でした。まあ会社員がコミュ力不要かというと当然そんなこともないし、むしろ必要なんじゃね?という気もしますが取り合えずなんとかやってます。
 社会人経験もない中どうやって事業会社の就職活動をしたかについては、こちらの過去記事等をご覧ください。

 ところで、実際に司法書士の資格は本当に事業会社でも活かせるのか?せっかく苦労して取得した資格なのに会社員になって投資に見合ったリターンはあるのか?という点はまた後日書くことにします。つづく(かもしれない)。

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