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# 女性を守るという大義は、障害者差別を正当化するか vol.4 何があったか_注意喚起文公開・拡散

「女性を守るため」という大義のためであれば、障害者差別を扇動することが正当化されるでしょうか。

もちろんそんなことが許されるはずがありません。

女性差別をなくすという目的のために連帯した男性たちが、プロジェクト発起人であり精神疾患を持つ梶谷健太郎氏危険人物であるかのように印象づけ、接近・接触の注意喚起を促す文章を不特定多数の人に向けて拡散する、という事件についての検証、今回は第四弾です。

よかったらこの問題を一緒に考えてください。

この一連の検証記事は、梶谷健太郎氏個人の名誉回復と、悪質な差別扇動行為に対する糾弾を目的に書いています。

イベント発起人の梶谷健太郎氏が、なぜ深刻な名誉毀損被害を受けることになったのか、なぜ梶谷氏を「危険人物」であると印象操作し精神疾患であることを明記した上で接近・接触の注意喚起文を広く拡散するという障害者に対する差別扇動行為が行われるに至ったか、この疑問を解くべくひとつひとつ検証してきます

まだの人は最初の記事からお読みいただくと、この事件の問題点がわかります。


なにが起こったかをみていくのは今回がラストです。問題の「注意喚起文」が公開されたあとの関係者の発言を中心に検証していきます。

※ スクショ画像は重要だと思われる箇所にマーカーを引いています。

本記事に関係する主な人物(敬称略)

- 梶谷健太郎

- [石川優実]( https://twitter.com/ishikawa_yumi

#AgainstSexismProject

- [くぼゆうすけ]( https://twitter.com/yskkun )
- [Sohei Mukoyama]( https://twitter.com/MukoyamaSohei )
- [涅槃の今日一]( https://twitter.com/iitaikoto1u )
- [くまくま]( https://twitter.com/kyorokuma )
- [まけまた]( https://twitter.com/katsumatashoot )
- [Ryuichi 'Risto' Miyazaki]( https://twitter.com/Risto_suomi )


## 9月21日 注意喚起文 公開

問題の「お詫びと注意喚起」の文章がだされました。

注意喚起文


問題箇所抜粋

注意喚起文抜粋

問題点については検証第一回を参照してください。


### AgainstSexismProject メンバー拡散

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トークイベント登壇予定者の石川優実氏のみ、個人名をあげて「非がなかった」と強調しています。このことは後にふれます。


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くぼゆうすけ氏は「酷似した事案について聞き及んでおりました」と述べています。「反差別の観点」という言葉を使っている点も後にふれる論点で重要です。

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くぼゆうすけ氏の精神障害に対する無理解がよくわかるツイートです。

この前日に梶谷健太郎氏は自身が双極性障害であり、それがイベント中止にいたった原因だと説明しています。

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梶谷健太郎氏の病気のことを十分に知った上で、くぼゆうすけ氏は「更生」という言葉を使っています。精神疾患は「更生」が必要な犯罪などではありません。適切な治療と周囲の理解・サポートが必要なのです。


### 石川 拡散

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石川優実氏はこの文章を、イベント中止の経緯説明やお詫び文としてではなく「注意喚起」として約3万6千人超のツイッターフォロワーに対して拡散依頼しています。

何に対する注意喚起であるかを再度確認しておきます。

注意喚起文抜粋


「精神疾患を持つ梶谷氏が危険なので接近・接触を注意するよう」注意喚起する内容です。この点が、今回最も重大な点です。精神障害者に対する明白な差別扇動です。


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梶谷健太郎氏とのDM公開や差別扇動文の拡散依頼の動機として、石川優実氏は「自分の名誉の回復のため、必要なことをしているだけ」と説明しています。

石川優実氏の名誉が梶谷健太郎氏のどの言動によって毀損されたのか、公開されている情報からではよくわかりませんが、名誉回復のためなら詳細な経緯の説明と責任の所在を明確にした文がだされれば十分です。「注意喚起文」は、経緯も責任の所在についても説明不十分で、部外者にはよくわかりません。

また石川優実氏は、「イベント出演を依頼された一出演者」と述べていますが、前回記事で検証したツイキャス配信内では、「パージ(追放)はたぶん簡単だと思う」というモバイルプリンス氏らに「なんとかしてよ」と直接の行動を促しています。

【モバイルプリンス】
	
	パージ(追放)はたぶん
	簡単だと思うんですけど
	
【石川優実】

	なんとかしてよ

ただの「イベント出演を依頼された一出演者」にしては、かなり踏み込んだ発言です。


### マスナリ 抗議

注意喚起文」をみて問題を感じたぼく(マスナリジュン)は、ツイートで抗議しました。

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梶谷健太郎氏が関係者にどんな言動をしたのか部外者であるぼくにはわかりません。一般論で言えば、梶谷健太郎氏はイベント発起人として関係者と参加希望者に説明と謝罪が必要でしょう。
ですが、梶谷健太郎氏は事情の説明として自身の双極性障害をカミングアウトし、自殺企図を伺わせるところまで追い詰められています

イベント中止の文章に「精神疾患を患っていた」と書く必要は全くありません。この「注意喚起文」は精神障害者に対する明白な差別扇動であることを強調しておきます。

### マスナリへの反論

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梶谷健太郎氏が病名のカミングアウトをしたのは「注意喚起文」がだされる前日です。

また、病名のカミングアウトのタイミングは、「注意喚起文」に梶谷健太郎氏が「精神病を患っていた」と明記することを正当化しません。


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「本人(梶谷健太郎氏)からは病名も合わせて公表するように依頼され」たのであれば、なぜ病名も書かなかったのでしょうか。

梶谷健太郎氏は、今回の「問題行動」双極性障害躁状態に起因することを強調し、双極性障害に対する世間の偏見を是正したかったのではないでしょうか。

私共は専門家でもなく精神疾患と本人の行動の因果関係がはっきりしない」のであれば、公表すべきではないのは病名だけではなく、精神疾患であることではないでしょうか。もちろん、仮に専門家であっても精神疾患を理由に接近・接触の注意喚起をしていい理由にはなりません。


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精神疾患が梶谷健太郎氏の「本性」で、それを見抜けなかったと涅槃の今日一氏は言っています。端的に精神疾患への無理解であり、差別です。

回復されるべき信頼は誰の信頼でしょうか。先に指摘したように、ここでは石川優実氏の信頼だと読むのが順当でしょう。


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時を間違えているのはくまくま氏です。ぼくが問題視しているのは「注意喚起文」です。この「注意喚起文」が精神障害者に対する差別扇動だと抗議しています。そしてこの「注意喚起文」がだされたのは、梶谷健太郎氏のカミングアウトのあとです。

双極性障害は「心の病」ではなく「脳の病気」です。「心の病気」とすることは、この病気が当事者の性格や考え方に起因するとミスリードしてしまいます。


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くまくま氏はここではっきりと、精神障害者と比較して女性を優先すべきと言っています女性を守るためには精神障害者を差別扇動しても良いという考えのようです。まったく容認できません

「逸脱した行動を制限」する権限は、くまくま氏をふくむプロジェクトメンバーらにはありません


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くまくま氏は「その疾患は私の母が体験今も戦っています」と言います。これはいわゆる「I have black friends 論法」です。身近に当事者がいることは差別の免罪符にはなりません差別者がしばしば使う論法です。

双極性障害は約100人に1人がもつ疾患です。多くの人が「一般的」な社会生活を営み、社会運動を行っています
くまくま氏は「リスクが高い」という言葉で、双極性障害を持つ人を社会的に排除することを正当化しています。間違っています。


### 梶谷氏 深刻なダメージを受ける

これらの動きの裏で、当の梶谷健太郎氏は精神的に追い詰められていきます。たいへんに心配な状況でした。

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ここで、双極性障害について説明してある厚生労働省のサイトを紹介します。

双極性障害で困ること

躁状態の時は現実離れした行動をとりがちで、本人は気分がいいのですが周りの人を傷つけたり、無謀な買い物や計画などを実行してしまいます。
再発しやすい病気なので、こうした躁状態をくりかえすうちに、家庭崩壊や失業、破産などの社会的損失が大きくなっていきます。
また、うつ状態はうつ病と同じように死にたいほどの重苦しい気分におしつぶされそうになりますが、躁状態の時の自分に対する自己嫌悪も加わり、ますますつらい気持ちになってしまいます。
双極性障害の治療法

双極性障害の治療には薬による治療と精神療法的アプローチがあります。
「こころの悩み」とは異なりカウンセリングだけで回復が期待できるものではありません。薬物療法を基本に治療法を組み立てていきます。


検証記事第二回にも、双極性障害についてふれています。梶谷健太郎氏の行動や責任について考える上でとても重要なので、ぜひお読みください。


### 梶谷氏とくぼゆうすけ氏のやりとり

梶谷健太郎氏はくぼゆうすけ氏に説明を求めます。

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くぼゆうすけ氏は冷たい態度で梶谷健太郎氏の説明要求を退けます。


### 半年前から病気のことを知っていた?

石川優実氏とくぼゆうすけ氏はいつから梶谷健太郎氏の双極性障害を知っていたのでしょうか。

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石川優実氏が前から知っていたことをくぼゆうすけ氏は知っていたことがわかります。

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くぼゆうすけ氏も半年前に知っていて、そのことを「周囲に触れ回る」ことは「差別や除外にあたる」と述べています。
梶谷健太郎氏の「過去の問題行動」ではなく、「触れ回る」と「差別や除外にあたる」ことを知っていたようです。
今回の「注意喚起文」が「差別や除外にあたる」ことをくぼゆうすけ氏は自覚しています


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なにかに気がついたのか、数時間後にくぼゆうすけ氏の証言がかわります石川優実氏が知っていたのは病気のことではなく騒動のことだ、と。
ここでツイキャスで話された該当部分をみてみます。

【くぼゆうすけ】
	ほぼ面識はないけど
	ちょっと半年前くらいから
	
	他のところでも
	
	そういうちょっと
	トラブルを起こしていたと言うか
	
	同じような事例があったんですよ
	ってことはなんとなく
	
	耳に入れてもらっていたんで
	ちょっと注意しといてくださいって
	
	聞いてたんだけど
	
	そのことを これから始まって新しく
	
	がんばってやっていこう っていうときに
	
	俺がみなさんに注意喚起しちゃうと
	
	それはそれでよくないというか
	のがあったので

【モバイルプリンス】
	ちょっとこれまあ
	最後の方の部分ですけど
	
	一応ご本人はその
	病気であるって言うことで
	
	今回一連のトラブルは
	
	病気に起因するものだっていうことを
	おっしゃられて
	
	おそらく くぼさんも
	最初はそういう形で聞いてたと
	
	ただやっぱりこれ
	
	本当にくぼさんがおっしゃるように
	
	割と早い段階で本人の同意なく
	そういうの言うのは
	
	ある種 そのやっぱり
	
	アウティングに近いものが
	すごくあるなあと思うので
	
	トラブルを起こしてない限りは
	
	まあまあちょっとね
	
	とめる理由がないと言うか
	
	今となってはちょっと
	
	言い訳っぽく
	聞こえるかもしれないですけど
	
【石川優実】
	いや でも本人から
	聞いたわけではなかったし
	
	確定もしてなかったわけだし
	なんだろ その
	
	トラブルを起こしたところを
	わたしは見てた
	見てはいたんですよ
	
	当時 ちょうど
	
	半年くらい前に 見てたけど
	そのあとに 戻ってたと言うか
	
	解決したような感じで
	過ごしてらしたので
	
	みなさん
	どっち側も 双方も
	
	一回 何かあったとしても
	なんていうんだろ そんなに
	
	あんまりね なんか
	なんていうんだろ


石川優実氏本人の口から「確定もしていなかったけど知っていた」ということが語られます。
くぼゆうすけ氏はなぜ石川優実氏が以前から梶谷健太郎氏の病気を知っていたという証言を撤回したのでしょうか。


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くぼゆうすけ氏はここでまた「更生」という言葉をつかっています。以前から梶谷健太郎氏の双極性障害を聞いており、その後プロジェクトを一緒に行ったメンバーとしてはあまりに無理解です。

こう‐せいカウ‥【更生・甦生】
〘名〙
②精神的、物質的、社会的にたちなおること生活の態度がたちなおること。また、もとの状態に戻ること。
③キリスト教で、と滅びとのなかにある人間が、神の恵みによって、霊的に新しくなること。再生。新生。

精選版 日本国語大辞典

双極性障害は「更生」が必要な生活態度や罪ではなく、適切な治療と周囲のサポートが必要な脳の疾患です。


### 石川 ヨイショ

石川優実氏はプロジェクトメンバーやフォロワーから、「優しい」と声をかけられます。これは前回検証したツイキャス配信後のことです。

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ツイキャス配信内でも謎の「やさしー」コールがあります。くぼゆうすけ氏が促している点も注目です。


## 経緯の検証でわかったこと

何が起こったかを見てきた中で、わかったことをあげてみます。

- 石川優実氏・くぼゆうすけ氏・モバイルプリンス氏は以前から梶谷健太郎氏の精神障害について知っていた。

- 病気の症状による逸脱行動を「本性」という言葉で批判するなど、双極性障害について無理解である。

- 双極性障害をカウンセリングや「自分と向き合う」ことで改善される疾患であるという間違った認識を持っている。

- イベント中止の説明として行なわれたツイキャス配信では酒を飲みながら、梶谷健太郎氏に対する差別・排除発言と、石川優実氏の性差別に関する講演会の宣伝が行なわれた。

- 「社会的制裁・パージ(追放)・保護施設に行ってもらうしかない」などのツイキャス内発言をみても明らかなように、強い排除意図を持って「注意喚起文」を出している。

- 梶谷健太郎氏が自殺企図をほのめかすツイートをしても批判の手を止めず、対話にも応じない。

- 石川優実氏のツイートをきっかけに、プロジェクトメンバーは表立って梶谷健太郎氏を批判し始めた。

- 石川優実氏の名誉を守るためにDM公開や「注意喚起文」の発表を行っている。

- 石川優実氏を「優しい」と複数の関係者が過剰に持ち上げる関係性の中で差別扇動が行なわれている。

- 女性を守るためであれば、精神障害者を差別・排除することが正当化されると考えている。

## 次回予告

次回は、石川優実氏の「犬笛」問題について掘り下げて検証する予定です。

予想を遥かに上回る数の人に読んでいただいています。ありがとうございます。
反差別運動内で起こる別の属性に対する差別。残念ながらよく見かける光景です。同じことを繰り返さないためにも、次回からはなぜこのような事件が起こったのかを考察してみます。

この記事を執筆時点で「注意喚起文」は公開されたままです。梶谷健太郎氏の名誉は毀損され続け、障害者差別扇動文は拡散され続けています。
よかったらこの問題に注目してください。

※ この件に関係するみなさまにおかれましては、関連するツイートを削除されませんように。すでにスクショで保全してあります。
もし間違いがあったと気づかれたら、あったことをなかったことにするのではなく真摯に謝罪されることをおすすめします。

## 有料部分について

荒らしコメントをさけるために有料記事にしていますが、有料部分にはなにもありません。金を払ってでもひとこと言いたい人はどうぞ。

この記事に売上があった場合は、同額を上乗せして、11月初旬ごろを目処にぼくとは無関係の反差別系団体に寄付します。その際は有料部分に入出金の明細画像を貼ります。

サポートに関してはぼくのコーヒー代にあてさせていただきます。
ありがとうございます。

2020-11-10 非公開部分に寄付の報告について追記


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