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きふたとyoisa hoisa(Pinot Noir2021)

諏訪湖から南に下って入笠山の麓に沿って車を走らせること30分、ちょうど八ヶ岳の入り口との間にある、標高1000mを超える高原にある原村。
1日の寒暖差が激しく夜はかなり冷え込みます。
それでも地球温暖化の影響で、かつては不可能であった果樹の栽培が標高1000mを超える原村でも可能になりました。


この寒暖差はここに住む村の人たちにとってはちょっと辛いけども、ブドウにとっては素敵なご褒美で、夜に気温が下がることによって酸は保たれ、そのおかげで糖度が十分にあがるまで収穫を待つことができます。
そのおかげでこの村はブドウにとっては理想郷、とても香り高いワインに仕上がります。


この村に「原山農園きふたと」というぶどう園があります。

家族経営のこの農園は、きりこ(双子姉)、ふうこ(双子妹)たかこ(母)としゆき(父)の名前の頭文字をとって「きふたと」といいます。
現在の原山農園きふたとではシャルドネやソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールやメルローなどを中心に1.2haの面積に10種類ほど栽培しています。


地球温暖化の影響で暖かくなったとはいえ、冬になると氷点下15度まで下がるため、まだまだ霜害や凍害のリスクとの闘いは続きます。
病気や悪天候に弱く、繊細なピノ・ノワールは、ビニールハウスの中に植えられています。
このおかげで雨を遮り、病気を抑え、水分ストレスもコントロールすることもできています。
ほかのぶどう樹たちも、冬の前には1本1本に藁を巻き、厳しい寒さから守ります。

すっぽりとダウンを着込んだブドウたちは、八ヶ岳に見守られながら越冬します。


この、エチケットもかわいいyoisa hoisa(Pinot Noir2021)には
「ピノ・ノワールの隣にあるため池に、毎年やってきては池を優雅に泳ぐカモたち。ゆったりと自由な時間を過ごす鴨のように、このワインもあなたの癒しになってほしい。」
というコメントが添えられています。


そしてこのエチケットは双子の妹さんが担当していて、農業のかたわら、作家としても活躍しているみたい。


さて、このワインを開けてみる。

グラスに注ぐとちいさな泡があって微発泡しています。
香りには、おなじ長野にある小布施ワイナリーに通ずるものがあって、それを言葉にするのは難しいんだけれども、ここに、日本の、というよりも長野のピノ・ノワールで現せるひとつのスタイルがあるんじゃないかな、というような気がしています。


こんど長野のピノを並べて飲んでみたい。
そのなかで共通するなにかをみつけられたらいいな。

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