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ダンジェルヴィーユのアリゴテ

その村は南東向きのおだやかな斜面にひっそりと佇んでいます。
まわりはブドウ畑にかこまれた小さな村。ヴォルネイ村。

歴史的にはヴォルネイのワインは王侯貴族の憧れの的でした。
ヴォルネのブドウ畑はマルタ騎士団が1207年に所有したことによって、1300年代にはブルゴーニュ随一のワインとしても名声を博していました。
1328年ヴァロワ家のフィリップ6世がフランス王の戴冠式の際に飲んだのは「カイユ・ド・ロワ」というヴォルネイのワインで、現在の「レ・カイユレ」という区画から生まれたものです。
また、1477年にシャルル豪胆公の死後ブルゴーニュ公国をフランス王国に編入したルイ11世は、ヴォルネイのワインを独り占めにするほど夢中になったそうです。

そんな歴史的にみてもすばらしい畑をもつこの村は、人口わずか300人ほどの小さな村で、そのほとんどがなんらかの形でワインに携わっています。
その中でも最も尊敬されている造り手がこのMarquis d’Angerville(マルキ・ダンジェルヴィーユ)。
ちなみにMarquisというのは「侯爵」という意味です。

約200年にわたりワインを造り続け、INAO(フランス原産地呼称統制協会)の創立メンバーの1人でもあります。

ドメーヌの理念「偉大なワインは葡萄の収量を制限した収穫から生まれる」に基づき、1株につき6房に抑えて凝縮した質の高い葡萄を作っています。

Bourgogne Aligote 2015

このアリゴテはもうアリゴテと思えないほどやわらかくて。
2009年から完全にビオディナミに転向したからか、その華やかな香りがいやらしくなく、もう7年も経つのにドライでフレッシュ、そしてみずみずしく繊細な味わいが長くつづきます。

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