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短い架空のお話

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短くて、奇妙な妄想にも似た架空のお話
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#僕と僕

穴の中

今まで気づかなかったのが謎ではあるが、部屋の隅っこに穴が開いていた。
穴は卓球の球ほどの大きさで、穴は僕を誘惑しているようであった。
遠目から見ると黒く塗り潰された円にも見えるが、近づくとその闇は僕を吸い込んでしまいそうなほど大きく感じた。
僕は穴を覗きたい衝動にかられた。かき立てられてゆくその感情が抑えきれなくなった時に僕は気付くとその闇に瞳を近づけていたのだ。

穴の中には僕の部屋があった。正

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