見出し画像

取り返しがつかないことをしてしまった

タバコを加湿しようとジップロックに水で濡らし丸めて絞ったティッシュとアメスピ・ハイメンを二つに分けて入れた。近所のスーパーで買ってきた惣菜が美味で、食後の幸福感に酔いながら、ほどほどに加湿されたであろうアメスピを手に取り、安物のライターで火を付ける。一口吸う。うまい。やっぱり俺はアメスピが好きだ、こいつを愛して止まないと思った。だが数口吸った後になにかがおかしい。燃焼速度もいつもより早い。メンソールでないはずなのにメンソールのスーッとした感じがする。おかしい。手元を見ると俺が吸っていたのはハイメンだった。己の味覚を疑った。もしも仮に、メンソールが入っていなかったら、俺は最後まで自分が吸った銘柄がハイメンだったと気が付かなかったかもしれない。ゾッとする。途中、違和感があったことだけが救いで、だがしかし一口目の、やっぱり俺はアメスピが好きだ、こいつを愛して止まないと思ってしまったのは事実。もう取り返しがつかない。楽しくおしゃべりをしながら一緒に歩いていた隣の人間が気が付いたら別の誰かに入れ替わっていたくらいの衝撃を受けた。たしかにさっきから声色が違うと感じていたのに、どうして。でもハイメンも美味しかったのである。でもやっぱり途中で「こんな味だったかな、もう少し美味しかったような」と思った瞬間もあったわけなのだから、アメスピのほうが好きだ。お願いだよ、信じてくれ。俺はハイメンよりアメスピのほうが好きなんだよ。

生きてます