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「いつまでも先に進めない」

水道代が高いと嘆いていたら、誕生日の近かった友人から節水シャワーヘッドをプレゼントして頂いた。この世から「ありがとう」という言葉が消えてしまったら、ゾッとする。毎夜、シャワーを浴びるのが一気に楽しみになった。光熱費を気にしながら入る風呂なんて脳みそから涙が出る。そう、誕生日の近かった友人からプレゼントを貰っていた。ありがとうございます。先ほども顔面にシャワーをぶちまけながら、神聖かまってちゃんのフロントメモリーを風呂場で爆唱しました。ACAねバージョンが公開されてました。

夏はいつまでも先に進めないでほしい、いつまでも先に進めない季節です。頑張りたくなるような、頑張りたくないような。昼間はどこまでも行けるような、夜中はどこにも行けないような。言葉では説明できないくらいガリガリ君が美味しくなる。活動的になるのに、アンニュイな気分にもなる。不思議な、不思議な、夏。涙が出ているのか、汗が出ているのか。叫びたくなる季節。堪能したくなる全部。雲が高い。緑が濃い。もうすぐ8月が終わる。

「人を責めるのは人だけ」って誰が言ってたんだっけ。愚痴を吐くとスカッとする。普段は抑えている毒が、自分の知らないところに感染する可能性がある。その恐怖感に耐えながら、でも、スカッとする。傷つけることより、傷つくことより、許せなくなることのほうが怖い。正気と狂気を行ったり来たり。「それで?」は聞こえない。「つまり?」も聞こえない。「そもそも?」、「たとえば?」、耳をふさぐ。青空に意味なんていらないように、人間もそのままでいることを完全に許されていたらいいのに。

何も聞こえなくなった。何も見えなくなった。肩に自己憐憫が乗っかっている。教えてもらう道徳。価値観がひっくり返るような出来事。徐々に収まっていく感動。すぐに喉が渇く。まずは自分が飽きないことだ。思い出せ。アイデンティティーを取り戻してきた日々を。ママチャリに付けた名前はチャーリー。どこに向かって進んでいるのかわからなくて、不安で、泣きながら漕いだペダル。頼れない親、へたれてくすんだソファ。不安定な情緒に巻き込んだ、巻き込まれた。古い写真に色づいた思い出なんてなかった。水槽の中を泳ぐ熱帯魚を見つめる瞳。映ったのは自分自身。頑張れないよ。

苦しいからこそ、もうちょっと生きてみる。