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推し漫画家山中ヒコ先生の新作「イキガミとドナー」を読んだ話

私の初の商業BLは山中ヒコ先生の「初恋の70%は」である。
中学生の時古本屋で出会って試し読みで絵柄や作品の空気感にとんでもないものに出会ったと感じてすぐにレジへと向かった。

家に帰って初めてBL漫画を買った少しの罪悪感と凄まじい高揚感で読みふけった。
モテ男と、陸上部のカタブツの話である。
主人公のモテ男が陸部の彼の練習風景をを校舎から眺めているときの夕暮れの空気感が今でも私をドキドキさせている。
昔BL写真を撮っていたのだけれど、そう言ったシリアスな空気感が好きなのは確実にそこに由来している。

それからその漫画も新品で買い直したり、
「このBLがすごい」にも選ばれた「500年の営み」や「王子と小鳥」などの他に、BLでない「死にたがりの雲雀」など単行本になっている山中ヒコ作品は多分全部揃っている。

BLでないものの連載が重なって、
あぁ、ヒコ先生はもうBL市場には帰って来ないのかなーって少し寂しく思っていた。
一般漫画ももちろん面白いのだけれど、好きになったきっかけのBLがやっぱり好きなのだ。

そう思いながらもずっと追っかけをしていていると、2年前に「イキガミとドナー」の連載開始のツイートを目にして、思わずヒコ先生にリプをした。
そうするとヒコ先生からまさかの返信が来た
「頑張ります!」と言ってくださってもう本当に本当に嬉しくてちょっと泣いた。
また…またヒコ先生の新たな本をお家に迎えることができる!!としばらく家で踊った。

そして、2020年に単行本の報せがきた、
アニメイトで迷わず前金予約した。
前金予約なんて初めてした、というか漫画の予約なんて初めてした。
山中ヒコ作品は私の初めてをたくさん持っていく。
しかし、漫画の予約は書店にも作家さんやその漫画の人気の目処を図るものだって聞いたので少しでも貢献したかった、ヒコ先生の素晴らしさを書店にも分かって欲しかったのだ。

来る25日バイトの休憩中に取りに行った、
帰ってきてから速攻読んだ、というか帰り道にはもう読んでた。
帰宅してから読みながら泣いた。

結論から言うとヒコ先生はとにかく「運命」というものを描く天才。

だと思っている。
そして、その運命が必ずしも
出会えたことの素晴らしさと、その相手を好きになってしまったイバラ道の両方が描かれておる。
「王子と小鳥」しかり、「ギブス」や「エンドゲーム」では分かりやすく濃く描かれている。
もう本当にお互い出会って好きになるのは、運命なのよ!!!
でも、一緒にいられないかもしれないという葛藤を二人とも抱いててもう見ててこっちまで本当に辛くなってる、泣いちゃう。
でも、ヒコ先生は必ず二人なりの形で幸せになってくれるから信じて読むことができる。(だからこそバジリスクの道は本当にびっくりした)
このヒコ先生の重みを知ってしまうと、もう本当に沼にはまります。

今回もイキガミという体を張って自国を守る人間兵器のような存在と、ドナーという唯一イキガミの怪我や病気を治せる存在同士がカップルなんだけれど、
序盤はドナーの体液で怪我や病気を治すので「うわ〜、色っぽい〜」なんてニヤニヤしながら読んでいくと、
イキガミがもしも体の部位を欠損するようなことがあったらドナーは差し出さなければならないという描写が出てくる。
そのシーンが本当にしんどくて、
ドナーからしたら今まで普通に生きてきたのに突然目や皮膚や腕を国のためだからといって持ってかれるのだから普通に辛すぎる。
主人公のイキガミ・鬼道もそれで途中苦しむ事になる、自分の怪我のせいで自分のドナーであり恋人である吉野の体がボロボロになっていくのだから絶対にやるせないだろう、しかしそれでも鬼道は戦わなくてはいけないのだ、吉野の体を敵に「お前はスペアがあっていいな」なんて煽られても戦わなければならない。
もー、本当に辛い。

そして、もう一つの魅力はキャラたちの愛らしさだ。

みんな人間臭い不器用さや温かみがある。
そのおかげでヘビーな設定でもクスッと笑えて、感情移入をしてしまう。
鬼道もクールに見えていつか自分を愛してくれる誰かのために強くなろうと励んでいた、それを知ると序盤の鬼道の横暴さすらも凄く愛らしく思えてくる。
鬼道のみならずどの作品のどのキャラも人間味溢れてて本当に愛らしいのだ。
一般誌の「死にたがりの雲雀」の雲雀も少しずつ暖かい愛情を知っていくところが凄くいい、
今まで受けてきた愛も間違いだらけではなくとも、違う形の深くて暖かい愛情を受けて本人も柔らかくなっていく姿がとても可愛い。
ヒコ先生にかかれば石油王だって完璧な人間ではなくなる、何でも持っているのに何にも持っていないような隙のある姿に愛を与えたくなるのだ。
凍った心がどんどん溶けていくキャラたちを見るのは私までなんだか優しい人に慣れたような気がしてきて誰かに愛をあげるって素晴らしいな、と感じることができる。
これだけ骨太な話をかけるって本当に偉大だよ…、もう本当に好き。

今回の「イキガミとドナー」がすごくSNSでも盛り上がっててキャンペーンなども行なったり(私はうっかり乗り遅れてしまった)
同時に刊行された「クラスで一番可愛い子」などもすごく話題になったりしていて、
毎日ニヤニヤしながらTLを眺めてる日々。
これから「イキガミとドナー」のスピンオフも連載なさるそうなので、これからもっもとっと市場が盛り上がれ〜と念じております。

しかし、読み返したいのですが、先日引越し作業をしてしまいどのダンボールに入っているか検討つかず歯がゆい思いをしています。
誰か助けてください。

ヒコ先生がツイッターで試し読み上げてらっしゃるので是非読んで


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