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生活習慣病の代表「高血圧」の予防は減塩から

予防医療について以前記事を書きました。
しかし、日本人は国民健康保険制度が充実しているため、健康上のリスクが解った時にはじめて、病気の予防について強く意識しはじめます。実際に病気になる前に、小さなリスクを日常生活でいくつか抱えているものです。

1.日常に潜むリスク


例えば、高血圧の患者さんが医師の指導のもとで薬を正しく服用し、脳卒中の発症リスクを下げることは、とても有効的な予防アプローチです。しかし、実際に脳卒中を発症する人は、高血圧の診断基準を満たすグループよりも、血圧がやや高めなグループが多いのです。
血圧とは、全身を血液が流れることによって血管壁にかかる圧力のことです。血圧は、いつも一定に保たれてい る訳ではなく、時間帯や季節、運動、精神的ストレスなど、様々な要因により変動しています。 血圧が高くても、多くの場合は自覚症状がほとんどありません。また、健康診断などで高血圧と指摘されても、受診 をせずに放置している人が多いともいわれています。
血圧が高い状態を放置していると、血管への負担が大きくなり、血管が傷つき、弾力性が無くなったり、内壁が狭くなったりしてしまうことで高血圧症につながり、「心臓病」や「腎臓病」「脳卒中」などの重大な疾患のリスクを高めてしまいます。高血圧症と指摘されている人は勿論のこと、基準値内の人も日頃から血圧のチェックを心掛け、血圧を上げない生活を心掛けましょう。

2.血圧を上げないライフスタイルを


自宅に血圧計がある家はあまり多くないと思います。
血圧測定は、自分で健康状態を確認することができる大切な指標の 1 つです。 血圧は1日の中でも変動しています。病院などで測ると、緊張していつもより高くなってしまうことも多いようです。 血圧を上げないライフスタイルを心掛けましょう。

血圧が上がる要因は、食べ過ぎや塩分の摂取過多、過度な飲酒、喫煙、睡眠不足、ストレス、運動不足、寒冷な気 温差、加齢など、様々な日々の生活習慣が影響しています。また、肥満や体重の増加は血圧上昇のリスクにつながるため、日頃からの体重コントロールも大切です。
血圧の値が高くなってから慌てて改善するのではなく、早めに取り組みを始めることが、将来の健康につながります。

3.まずは減塩から始めよう


お食事の味付けの好みは、「濃いめ」「薄め」どちらが好きですか?
血圧のコントロールでは、調理で味付けに使用する食塩の摂取を控えることがとても大切です。食塩の過剰摂取は 血圧に影響することに加え、濃いめの味付けは、食欲増進効果により体重増加の原因にもつながり、血圧への負 担につながります。諸外国と比べても、日本人の食塩摂取量はいまだに多いといわれています。 血圧が高い人はもちろんのこと、基準値内の人にとっても、減塩に対する意識が大切です。
塩分の目標摂取量・日本人の食事摂取基準 2020
18 歳以上男性 : 7.5 未満
18 歳以上女性 : 6.5 未満
高血圧の人 : 6.0g/日未満
*参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」267ページ
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf


血圧が高い人では1食につき 2g、血圧に問題がない人でも1食につき約 2.2g~2.5g までが目安となり、気をつけな いとあっという間に目標摂取量を超えてしまいます。まずは、日頃の食パターンを振り返り、減塩に有効なコツを身 につけましょう。

1.漬け物は摂取の回数を減らす。もしくは量を減らす。
2.麺類の汁は残す。
3.野菜や果物を積極的に摂る。
4.お味噌汁やスープは具沢山にする。もしくは、控えめに盛る。回数を減らす。
5.料理は一口食べて味付けを確かめてから、調味料を使う。
6.減塩の調味料を使う。(減塩醤油、減塩ソース、減塩味噌など)
7.香辛料、香味野菜や薬味、果物の酸味を利用する。
(こしょう、七味、一味、生姜、にんにく、ハーブ、柑橘類の酸味や果皮、お酢、ケチャップ、マヨネーズなど)
8.外食やお惣菜などは、控え目に楽しむ。
お惣菜などは、食品表示を確認して、食塩の量が少ない物を選ぶ。
9.食塩を多く含む食品は、控えめに楽しむ。
干物、漬物、加工食品(ハム、ソーセージなど)、缶詰、練り物(かまぼこ、ちくわ、さつま揚げなど)、 汁物・スープ、麺類、カップラーメン、どんぶりメニュー、スナック菓子、お煎餅など

まとめ


こうしてみると制約が多いように感じますが、食事をしない人はいません。誰にでも関係する身近な食事だからこそ、今の現状を把握したうえで、少しずつでも減塩していきましょう。また、食物繊維には食塩(ナトリウム)を吸着し、体外へ排出する働きが食物繊維にあるので、雑穀ご飯、海藻類、きのこ類、ごぼうなどもおすすめです。

塩分摂取量を減らすことは、医療費の削減だけではなく、労働力の確保や健康寿命の延伸となります。一人ひとりの体質や体調等を考慮しながら、適切に正しく塩分を摂取することが大切です。自分の生活主観を見直し、塩分摂取量を控える工夫をしていきましょう。


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