Day.13 「アイネクライネナハトムジーク」 #読書感想文(良い本に出会ったので、2コマすすむ)


今日は読んだ本の話。

最近、映画化された「アイネクライネナハトムジーク」。

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私が手に取ったのは、BOOK LAB TOKYOと明日のライターゼミのみなさんがコラボしていた #帯ワングランプリ
「人って、世界ってこうやってみんな繋がっていくのかも。」
という一言。これに惹かれた。

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伊坂幸太郎さんの本を未だに読了した記憶がない。
怖い話や、推理小説といった類のものが得意ではない私にとって、東野圭吾さんに次いで、"読まないと思っていた"作家さんだった。

そんな伊坂幸太郎という人が、斉藤和義に、詞を書いて欲しいと言われた解として、世にだした「アイネクライネ」。

短編集と言いながら、物語が細い糸で繋がっている本を読んで、ハッとして読み返すことを繰り返した本だった。

物語は佐藤というサラリーマンを中心にはじまる。
彼が主人公なのに(と私は思ってるのだけど)、物語は、彼の話から彼の友人の一真と由美さらには、由美の友人にまで広がる。
彼は一向に幸せを掴んでいないのに。
わからない…誰が主人公で、誰がこの物語の幸せを掴んでいるのか。
更に言えば、この物語の誰を三浦春馬が演じ、誰を多部未華子が演じたのか。全く見えないまま、物語は進む。

佐藤はいつ幸せになるのか。そう思いながら、幸せと思い込みについて考える。

きっと彼らは結婚しない。

きっと彼は誤解している。

そうやって読みながら、私もたくさんの思い込みを解きほぐしていく。
伊坂幸太郎という人が推理小説を書くのはきっと、伏線をはるのがうまいからだろう。恋愛のように読めないものと戦うより、彼はゴールにいて、逆算して伏線をはるのがうまい。
そして、帯ワングランプリの中にもあった「つなぐ」は、この本の中でたくさんの色が繋がれていて、しかもそれらは、丁寧に繋がれていた。

その特性を発見したとき、もしかして、佐藤が幸せになるかを考えている私こそが、よくある恋愛小説の主人公はいつだって恋愛がうまくいくという思い込みだったのか。とハッとした。

推理小説家はこんな風に恋愛小説を書くのかとまた改めて読むのが楽しみになる本に出会った。

次も、もう一度、伏線を見逃さないようによみたい。


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