#20 forever you
あれからもう17年です。
2007年5月、人気バンドZARDのボーカル、坂井泉水さんの突然の訃報は衝撃とともに全国を駆け巡りました。実は入院されていたことも私を含め、あの時初めて知ったという方がほとんどだったのではないでしょうか。
ZARDといえば、次々にヒット曲を連発し、数え切れないくらいたくさんのタイアップも付きました。1990~2000年代は坂井さんの歌声が絶えず街に流れていたものです。仲間内のカラオケに行くと、決まって誰かがZARDを歌い、結成前はキャンペーンガールも経験するくらいのビジュアルだけに、「俺の理想は坂井泉水さんだな」と言ってはばからない友人もいました。
福岡に住む友人にZARDの大ファン(以下Nさん)がいます。妻と私はあの時、真っ先にNさんのことを案じていました。その悲しみはいかばかりか、と思っていたらその通りで、仕事のお昼休みに上司から訃報を聞かされ、職場で泣き崩れたそうです。
妻が、東京は青山にあるZARDの音楽事務所で献花とメッセージを受け付けるとの情報を得ました。「Nさんのためにも献花に行こうよ」と提案してくれ、Nさんは辛い中だったとは思いますが、気丈に連絡に応じてくれました。
「お花代も後で払うよ。メッセージもメールするので代筆して欲しい」Nさんが提案に賛同することに時間はかかりませんでした。
よほどのショックだったのか、最初に送ってきたメッセージはごく簡単なものでした。しかし、デビューからずっと憧れて、聴き続けながら応援し、貴重なライブにも行くことができたことなど、思いの丈をたくさんの文字に変えて再度送ってくれました。
献花の日。「坂井さんに分かるように、送り主の名前も入れてもらったの」妻が前もってお花屋さんにお願いした2つのお花を持って、青山に向かいます。仕事終わりの夜、強めの涙雨が降り続けていました。
30分くらい並び、献花台の前にたどり着くと、坂井さんの写真の周りには今まで見たこともない、ものすごくたくさんのお花が。隙間がないくらいに埋め尽くされた数々のお花が夜のライトに照らされて、まぶしささえ感じたほどです。改めてZARD、坂井さんの人気を感じました。各々が書くメッセージも、どれも何行にも渡って綴られています。スタッフの方も書く時間が長くなろうとも止めることはせず、Nさんからのメッセージを一言一句、もちろんそのまま全て書かせていただきました。
その3年後、出張で東京に来たNさんと会うことができました。「やっと直接お礼が言える。あの時は本当にありがとう」飲み屋さんの次にカラオケ店に繰り出し、亡くなってからしばらくは歌えなかったZARDの曲を、あの日は何曲か歌ってくれたのでした。
ZARDの公式ホームページでは先日、無料でWeb献花とメッセージを募集していました。今もZARDの歌をiPodなりYouTubeで聴いていますし(今回のタイトルは一番好きな曲から選びました)、ここまで書いた思い出もありますから、私も一筆書いてお花を贈りました。現在募集は締め切られ、たくさんの人から贈られたWebによるお花の集合体が下記サイトからダウンロードできます。17年前と同じ、まぶしさとキラキラした輝きがそこにはあります。
ZARDは2026年に結成35周年を迎えます、リクエストによるベストアルバムリリースなど、様々な企画があるようですね。今もZARDの楽曲は決して色褪せることはなく、私たちの心に鳴り続けています。
結びに。Nさんですが、10年ほどご無沙汰しています。それまでは「近所のピアノバーで『ZARDを歌う人』に時々なってて。機会があればまたカラオケでも行きましょう」などと近況もちょくちょく寄せてくれていましたが、体調が優れないと風の噂で聞きました。4年前、渋谷でZARDカフェなるイベントに行き、写真をSNSで送ったのですが、既読になれど返信はなく。命に関わるものではないと思いますが、体調のこともあるでしょうから、自然体でいようと考えています。結成35周年で何らかの反応があるといいのですが・・・
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