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グミとサイダー

先日、知人が、自宅の庭では茱萸の実が赤くなってきたと写真をSNSにアップしていた。残念ながら、この難しい漢字が読めなかったのだが、コピペして調べて「ぐみ」と読むことがほどなくわかった。赤く熟した果実は渋いが食べられるらしい。ただ、この茱萸という難しい植物の名前の由来は、はっきりしない。

そうすると次に気になったのはお菓子のグミの名前の由来である。なにか、グニャグニャして甘い飴のような菓子だが、あれは、どうしてグミというのだろうか?これについては、すぐにわかった。

グミ(独: Gummi、またはFruchtgummi)は、果汁などをゼラチンで固めたドイツ発祥の菓子の一種である。 名称はドイツ語でゴムを意味するGummiに由来する。 ドイツと北米では熊をかたどったグミベア(Gummibär、Gummibärchenとも)が、様々な形のグミの中で最も親しまれ定着した形状である。

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ということだ。ドイツ発祥のお菓子で、その柔らかい食感をゴムに喩えたわけである。そういえば、と思いだしたのはチューインガムのガムもゴムのことだったよな、ということである。グミはドイツ語で、ガムは英語、ちなみにゴムというのはオランダ語らしい。

これと似た話はまだある。例えば、カード(英語)もカルテ(ドイツ語で、お医者さんが患者の記録に使っているカード)も同じ言葉。ソース(英語)もサルサ(スペイン語)も同様である。だから、日本人がサルサソースというのは言葉が重複している感じがする。

同じ語源なのに、伝えた国が異なるために、あたかも別の言葉のように認識されているヨーロッパからの外来語が、いろいろあるということである。こういうことを知っていると、外来語を理解するのに少しは役に立つのだろうか。よくわからない。

ついでに、もう一つ。ワインは葡萄(ぶどう)から造る醸造酒だが、同様に林檎(りんご)からも醸造酒が造られる。それを日本ではシードルと呼ぶが、これはフランス語でcidreと綴るそうだ。ところがイギリスでも同様のりんご酒が造られているそうで、それはciderという。見るからにシードルと同じ語源だとわかるが、読み方はサイダーである。

サイダーといえば、炭酸がシュワシュワした甘酸っぱい清涼飲料水のことではないか。それが、りんご酒と何か関係があるのか?というと、大アリだった。まず、前置きとして、1868年に横浜の外国人居留地でノース&レー商会がシャンペン・サイダー、つまり発泡性のりんごワインを販売したという。

後に三ツ矢が炭酸飲料を製造販売した時にシャンペン・サイダーのエッセンスを味付けに用いたことから、日本では炭酸が発泡する清涼飲料水の商品名としてサイダーが定着した、と一応は考えられる。ただ、それ以前から並行してサイダーを名乗るいろいろな飲料水が発売されていたようでもあり、どうもはっきりしない。

ヨーロッパの国民どうしであれば、違う国の間でも、お互いに似たような言葉は語源が同じだと見当がつきそうな気がするが、日本人にとっては、グミとガムがもともと同じ言葉だなんて、わかりっこない。初めて見るフニャフニャした甘い飴はグミ、クチャクチャと噛んだ後捨てるのはガム、とラベリングするだけである。

サイダーがりんご酒のことだと正しくラベリングされないで、発泡する飲み物のことだとラベリングされた結果が三ツ矢サイダーなのだろう。広東とか天津とかの地名が中華料理のラベルになってしまった結果、八宝菜をご飯にかけて中華丼、芙蓉蟹(フーヨーハイ=蟹玉)をご飯にかけて天津丼という名前の料理が日本で誕生したのだろう。ややこしいが、芙蓉蟹は天津ではなくて広東の料理らしい。

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