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練習が苦にならない曲

 去年の4月からフランシスコ・タレガの曲をレッスンで指導いただいている。4月の発表会では、<プレリュード1番>および<エンデチャとオレムス>を弾かせていただいた。どちらも哀愁が漂う美しい小品で、特にエンデチャとオレムスは歌のような曲である。
 <ラグリマ>や<アデリータ>はもとより、タレガには美しい小品がたくさんあるのがありがたい。発表会が終わってから、レッスンしていただいているのは<アラビア風綺想曲>で、こちらは少し長い曲になる。タレガと言えばギターを弾かない人にも<アルハンブラの思い出>は知られていると思うが、この曲と並んでタレガの代表的な名曲とされているのが<アラビア風綺想曲>であろう。
 だから、いつかはレッスンを受けて身につけたい曲だったのだが、この一年間タレガを指導していただいて、いよいよという感じである。耳に馴染みがある曲だから、譜面を読むのも楽だ。何より弾いていて楽しい。
 <アルハンブラの思い出>を練習し始めたのは、今から11年前のことだったと思う。その時も、練習しながら楽しいと感じていた。今でも、毎日おさらいしているくらいに、練習が苦にならないのである。これが名曲というものかなぁ、とその時に思ったものだが今、アラビア風綺想曲を練習しながら、同じようなことを感じている。
 もっとも、同じタレガの曲で小品でも<ゆりかご>や<マリエッタ>のように難しそうで手が出ないものもある。だから、単に自分の好みだというだけかも知れないのだが、アルハンブラの思いでとアラビア風綺想曲が名曲であることは間違いない。それを飽きずに毎日練習できているのは嬉しいことである。
 正直なところ、バロック時代や古典派の曲では、なかなかこうは行かないのである。バロックならダウランド、ヴァイス、バッハなど、古典派だとソルやジュリアーニなどの作品が好きなのだが、代表的な曲を自分で弾こうとか、練習しようという気には何故かなかなかなれない。
 もしかすると歌うような曲が好きなのかも知れない。タレガの作品には、そのような曲が多くあるし、タレガ以外だと歌曲をギターにアレンジしたポンセのエストレリータは好きで、この曲も練習が楽しかった。ギターでタレガを教わり始めたのが昨年4月からで、ヴォーカルを教わり始めたのがやはり昨年3月からだから、何か同期化している気がする。そこらへんが自分の音楽の嗜好なのだろうか。


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