エンジニア経験の無い一般人男性が、AIマンガアシスタントを作っちゃう話
2024年2月から3月にかけて開催された、東京AI祭内のハッカソンイベント「技術大合戦」に参加し、セミファイナリストに選ばれました。
残念ながら、セミファイナルを突破することは叶いませんでしたが、楽しい挑戦ができたので、セミファイナルピッチをここに記事化します。
誰かのヒントになれば幸いです。
私について
私は普段、企業で企画や内部監査の仕事をしていて、非エンジニアで、独学でAIを学んでいます。
プロダクトの実装までできなかったので、今回はプロトタイプを提出しています。
仕事以外の時間は、だいたいマンガを描いています。
日本、マンガ家が早死にしすぎでは?
日本って、マンガ家が早死にしすぎじゃないですかね。
マンガを描くには頭も使うし、身体も酷使するし、自己の内面に向かい合う孤独な戦いでもあります。
過酷すぎるんですよね。
マンガ家先生方には、素晴らしい作品をこれからもたくさん続いてほしいですよね。
もちろん私も、たくさん作品を作りたいです。
マンガ制作のためのAIアシスタントを作って、思考の負担と孤独を解消しよう!
そこで、これまで学んだマンガのドメイン知識を活かして、マンガ制作のためのAIアシスタントを作って、思考の負担と孤独を解消することに挑戦しました。
取り組む範囲
今回取り組む範囲は、マンガの企画部分。
マンガのテーマ、キャラクター、これってどうゆう話なの?の部分を作りました。
制約条件
クリアしなければいけない制約条件としては、
AIが取り組める、単純なタスクに分解しなければならない
タスクが全て完了するまで、コンテクストを維持しなければならない
これが一番大事ですが、面白い作品を作る他めには、作家性を反映したい
があります。
実験:マンガの企画を考えるAIを作る
細分化して変数名を与える
まず、マンガの企画部分の構造を細分化して、全てに変数名を与えていきます。
コンテクストを変数に代入して次のタスクに渡せるようにする
コンテクストを変数に代入して、いつでも呼び出せるようにすることで、コンテクストを維持できるようにします。
コンテクスト同士の依存関係を明らかにする
次に、細分化されたコンテクスト同士の依存関係を明らかにします。
アイデアの元になるキーワードから、メッセージや萌え要素、作品のテーマなどを連想してコンテクストを拡張していくプロセスを可視化していきます。
ドメイン知識と気合が、これを実現します。
1問1答形式で処理する
Google colabを使って、一問一答形式で朱織していけるようにします。
基本的に全てのタスクはこの形式
変数ごとに、決まっていたら直接入力
決まってなかったら、AIに提案してもらいます。
今回はGPT3.5と一部gpt4を使っていますが、何使ってもいいと思います
AIの提案が気に入らなければ、修正して入力します
これを変数の数だけ繰り返します。
この過程で自然に作家性がコンテクストに混入していきます。
企画書形式で出力される
これをひたすら繰り返すと、最終的に企画書の形式で出力されます。
ついでに画像生成用のプロンプトも出力されるようにして、DALL-E3やMidjouney、niji・journeyのような、自然言語の指示が通りやすいものでビジュアルを出力しました。
ドキュメントに貼り付けて企画書の完成です。
企画書の例
出力例を紹介します。
タイトル:異世界肯定感旅行
概要
内なる力と自己肯定感を信じることで未来を変える能力を持つ主人公が、孤立と自己否定の恐怖と戦いながら、異世界を旅しメッセージを伝える冒険をする話です。
時間旅行能力を持ち、内なる力を信じることで未来を変えることができる主人公が登場します。
異世界を旅し、メッセージを伝える役割を担いながら、自己否定の恐怖と戦い、多様な存在と交流して自己肯定感を手に入れる冒険を描いています。
主人公
時間旅行能力を持ち異世界と交流することができる主人公。未来を変える力を有し、強い自信を持つことでその能力を強化できる。
異世界を旅し、メッセンジャーとしての役割を果たしながら異世界地図を作成することを目的とする。
異世界の支配者であり、主人公の力を恐れている存在
自らの力を維持するために主人公の能力を抑制しようとする
彼は他者の自己肯定感を奪うことで力を増幅させ、宗教的指導者のように人々の内なる力を否定して自分自身を信じさせないことで力を保持する。
主人公が自信を持ち、内なる力を信じてさらに強くなることを恐れている。
幅広い知識を持った時空を旅する賢者
主人公を導く者は、他者との交流を通じて共感を与える特別な能力を持っています。
この能力を使い、主人公に新たな視点や価値観を提供し、成長と自己肯定感の向上を助ける時空を旅するガイドの役割を担っています。
こんな感じで、15分ぐらいで企画書が1つできます。
マンガを描いたことない人でも作れると思います。
ふりかえり
細分化して言語化することで、暗黙知化しているドメイン知識を、再現可能なタスクとして記述できます
小さなタスクに分解すれば、AIが取り組みやすいです
人間による修正を組み込むことで、少ないコストで作家性を反映できます
次にチャレンジしたいこと
プロットを作る、文字ネームを作る、作画する、などの工程に展開できると思います
作家性とか、外部の資料などを反映したベクトルデータベースを接続すれば、自動化することもできそう
他の領域のドメイン課題に転用できるだろうと思います
最後まで読んでくださりありがとうございます。
ハッカソンは残念ながらセミファイナルどまりでしたが、今回のチャレンジでマンガを作るプロセスを細分化して言語化し、構造を明らかにできたのは大きな収穫でした。
ハッカソンの提出には間に合いませんでしたが、この先のプロットを作るところまで言語化できているので、今回書いたコードを拡張し、まずはプロットまで作れるもの。
その次は文字ネーム、ネーム、作画までAIのアシストの元制作できるか、挑戦してみようと思います。
下記のgithubページに、Google colabで動くデモが置いてあります。
(OpenAI APIキーの取得が必要)
企画書を作って見た方は、ぜひ共有してください!
参考
ハッカソン、プロダクトページ
github: Manga-planning-assistant
東京AI祭
技術大合戦のファイナルは、2024年3月23日-24日に渋谷で行われる、東京AI祭内で開催される予定です。
東京AI祭-技術大合戦
関連記事
2024年3月18日 公開
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?