音楽のすゝめ

去年生まれた娘は、たぶん他のすべての赤子がそうなのだろうけれど、始終泣いている。抱っこしてもおしゃぶりを加えさせても泣き止まない時、反町隆史のPOISONを流すとこれが不思議と泣き止む。お陰でspotifyに去年一番聞いた曲だと言われてしまった。上位0.5%のリスナーだってさ。反町さんありがとう。でもさ、言いたいことも言えない世の中じゃ、POISON、じゃあないんだよ。どういう意味だよそれ。

これではなんだか悔しいので(反町隆史ファンの皆様すみません)娘と二人で留守番している時、僕の厳選プレイリストを聞かせている。鬱々とした29年間を詰め込んだ渋い名曲たち。これで娘はセンス抜群のナウいナオンに成長するかもしれない。

休日の昼間にダフトパンクで僕と一緒にダンスしている(無表情で抱えられている)娘に、別に僕の好みを押し付けたいわけじゃない。もちろん、大きくなったら一緒に宇多田ヒカルのライブに行きたい気持ちが無いわけではないが、別に全く趣味が被らなくても問題ない。

あるいは古今東西のクラシックやジャズの名曲を聴かせて、天才ピアニストにしたてあげようとしているわけでもない。僕と妻の子どもなので、絶対音感はそもそも期待していない。

ただ僕は、娘に音楽が側にある人生を送ってほしいと思っている。これは親のエゴかもしれないけれど、娘にとって悪い話ではないと思うので胸を張っていつもいろんな曲を聞かせている。

僕の両親はいつもビートルズのCDを流していた。僕は今もビートルズが好きだけれど、ビートルズを教えてもらったことには別に感謝していない。自然と音楽に触れる生活を送らせてもらったことに、今もありがたいと思っている。あの頃、家でこんなに流れているビートルズってどんなバンドなんだろう、と思ったことで、youtubeとwikipediaでロックの歴史をディグる思春期がはじまり、TSUTAYAでレンタルしまくったCDたちをwalkmanに入れて、ひたすら勉強中に聞きまくる学生時代を過ごすことになった。

生きているといろんなことがある。

嬉しいことがあって、うきうきと踊りだしたくなる帰り道に、お気に入りの曲を聴きながら、周囲の視線を気にしつつも控えめに全身でリズムを取りながら帰る夕方

どうしたって耐えられない不条理に押しつぶされそうで、布団にくるまって悶々としている時、そっと寄り添ってくれる落ち着いた歌声にじっと耳を澄ませて何度もリピートする夜

次第に満員になっていく電車の中で、今日一日の仕事に向けて気持ちを奮い立たせるためにガツガツしたビートの音量をいつもより上げる朝

即ち音楽これ人の心

日食なつこ/音楽のすゝめ

日食なつこもこのように歌っているとおり、喜怒哀楽全ての感情に必ずぴったりの曲がある。そして音楽は自分の感情を増幅してくれる。

もっと言うと、自分一人ではどうしようもできない時に、音楽に助けを求められるようなそんな人生を送ってほしい。根拠はないけど、そんな人生はとても豊かだと思う。

娘ちゃん、これからいろいろあるだろうけれど、遠回りに見えても自分一人でうんうん悩んでみることも、必要だと思うよ。そしてそういう時、音楽聞いていると、なんかいい感じかもよ。



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