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仕事と作業

 99%の人は仕事していない・・・
オイオイ、それはやばいんでないの? と思いました。

で、中身を読んでみると・・・

う~ん・・・言っていることは分からなくもないんですが・・・
ちょっと極論過ぎるかな~とも思いました。
※)まあ、こういう極論的な記事がマスメディアでは好まれるのかもしれません。

記事は99.9%が作業であり、残り0.1%しか仕事になっていない

というものです。

本来の仕事は、「顧客を生み出し、顧客を幸せにして、その対価として顧客が喜んで報酬を支払ってくれる」ようなものでなければなりません。そうでない仕事は「仕事という名前がついている作業」に過ぎません。

記事からの抜粋

我々製造業における直接工数に近いお話かなあと思います。
もしそうであるのなら、99.9%も間接工数になると会社は潰れます
他に考えるとすれば・・・お金をもらえる仕事であっても喜んで報酬を支払ってくれるぐらい「完成度の高い仕事のみを仕事」というという極論じみた設定しかなくなるわけですが・・・

顧客から絶賛されて売上になる仕事って少ないです。
記事の通り0.1%ぐらいしかないんじゃないかな?
大多数の仕事が、仕様通り、規格通りのものを納期通りに納めるだけなので、特段、顧客から感謝されたり喜んで代金を支払ってもらうことはないです。

それこそ。普通に淡々と(苦笑)、製品を納め代金を支払ってもらってる。

これが仕事でないと言われれば・・・
それって評価軸限定しすぎやろ? と思いました。

さて、記事がいかに極論なのか単純に考えれば分かるのですけれども・・・
軽く計算しておきましょう。

1日8時間の労働として480分になるわけです。
0.1%とは0.48分。
すなわち28.8秒になるわけです。
1日の実稼働が30秒未満の0.1%で成り立つ業界・・・
投資家がFXで儲けるとか、不動産仲介業者が電話一本で契約をまとめるぐらいのお話です。
全部が全部、そういった業界にいるわけでもないですし、そもそもそういう業界の人ですら30秒以内で今日の売り上げ目標達成なんていうのは、本当に限られた一部の人達だけのことでしょう。
とてもとても一般化してお話しできる頻度ではありません。

普通に考えると世間一般の直間比率は80:20(直接工数80:間接工数20)を基本に上下します。
業界や職種によっても色々ですが、顧客からの対価を得られない間接工数が全体の半分を超えたら危険信号と思った方が良いです。
そして、これが一番重要なのですが、間接工数というのは絶対に無くなりません
減らしていくことは可能ですし、減らすことを指向すべきなのは間違いありません。

それはさておき。この記事は途中で話の角度が変わります。
(もしこれ以降が有料だったら最後まで読んでなかっただろうなあ・・・)

 現代の多くの官僚制組織に共通する条件を次のように仮定してみましょう。

条件1:組織はピラミッド状であり複数の階層(職階)が存在する
条件2:ある職階において最も成績が良かったものがより上位の職階に就く
条件3:複数の職階において求められる能力はそれぞれ異なる
条件4:個々人が持つ能力はランダムに割り振られ、異なる能力間に相関関係はない

さて、この4つの条件がそろうとどうなるでしょうか?
ある職階で優秀であっても新しい職階では優秀ではない人が、その上の職階に進むことができずに適正ではない職階にとどまり続けるという状況が起きるのです。
その結果、あらゆる上司は「自分の適正ではない職階」まで出世し、そこにとどまることになるので、組織の上層部は無能だらけになってしまうのです

記事より抜粋

ごめん。条件4が意味不明だわ・・・
例えば・・・条件3において
係長:肉体労働力
課長:企画立案能力
部長:根回し力
ていう感じで求められる能力が異なり、それらが相関して作用しないという条件を言ってるのかな???

基本的に、ピラミッド型組織の場合、条件1は当てはまります。
ところが、条件2以降は微妙です。
その職階でNo.1の奴が出世する? そんなわけないじゃないですか・・・
基本、派閥ですよ派閥。
あるいは運よくポストの空きにめぐり合った人。
どんなに優秀でも上がつかえていて、それ以上職階があがれず停滞する人なんてザラにいます。
そうこうしているうちに、適齢期を超え下の世代にポストを奪われるなんてこともあります。
純粋に実力No.1だけが繰り上がるという条件を出す時点で世間を知らなすぎでしょう・・・

条件3も無茶なお話です。
日本の会社組織はジョブ兼任型が圧倒的に多いのです。
欧米のようなジョブ型雇用がなかなか浸透しないのは、この兼任型という働き方によるところが大なのです。
ということは・・・職階が上がったとしても下の職階の仕事をカバーしないといけないことが多々出て来るのです。
つまり一階層下の得意とする分野での業務を加味したプレイングマネージャーとして働けるということです。
最後に降格人事の存在を忘れているし、そもそも昇格試験を受けずにあえて職階を自身の適正に合わせる人も存在しています。

こうしてみると、99.9%が仕事をしていないとか、あらゆる上司が適正外で無能になるというお話は、絵空事の論理の上に成り立っていると言えます。タイトルで吊り上げ閲覧数を伸ばせば勝ちみたいな状況になっているのが頭の痛いところです。
たしかにタイトルで閲覧数は伸びますからね・・・
羊頭狗肉になってしまうのも無理はないのか。

さて。この記事を見て自分なりに思ったのは・・・

無能な上司が増えたのは減点主義社会だから。

というものです。
日本の会社組織の中で生き残っていくためには積極的に加点を狙うより減点されないように立ち振る舞うのが重要です。

その結果、企画会議なんかでも「とにかくリスクを回避する」という方針になります。
だから誰も責任を取らないように稟議書を回しまくるわけです。

みんなで承認したんだから誰か一人が減点されなくて済むよね

というスタイルに行き着いたのは理の当然ですし、こんなことをやってるから、

日本企業にはスピード感がない

とか

無能な上司がはびこる

といった批判が出てくるわけですね。

その根源部分を何とかしない限り、どうしようもないでしょうね。
世の中がもっと前向きな失敗に寛容で再チャレンジ可能な社会になれば、日本から無能な上司が消えると思うんですけどね。

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