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年間休日の誤解
金融機関さんや、商工会議所さんが主宰されているビジネスマッチングで、一覧表にある企業さんに申し込みをするか? どうか?
を考えるために、検索をかけていたのですが・・・
該当する会社さんのクチコミ欄で、
この会社は、年間休日が95日しかなく、105日未満なので労働基準法違反です。
となっていました。
オイオイ! 間違えてるぞ!?
と思いました。
経営者であったり、労務関係の規定を作ったことがある人なら、すぐにこの間違いに気づきます。
そう。最も重要となる労働時間計算が行なわれていないという点にです。
なんでこうなるのかな~? と思い、google検索をかけてみました。
株式会社カオナビ という転職支援サービスの会社さんですね。。。
お~~~い! 労働基準法に関する間違った知識を広めるのは、やめてくれ~~~!!
と、思いました。
記事を隅々まで読んでみましたが、
基本中の基本である年間労働時間に関する記述も考察もない
のです。。。
マジかよ・・・
間違った記事が、googleで最上位表示されるなんて・・・
ということで、正しい記事を書きます。
まず、
年間休日が105日未満でも違法だとは限らない!
これが、正解です。
なぜなら、労働基準法には、最低年間休日数なる項目は存在しない、からです。
ではなぜ、最低日数が105日だという表現が、まことしやかに出回っているのか?
それは、労働基準法第36条に起因しているのです。
105日は、1日8時間週40時間勤務で「のみ」成り立つ数字です!
1年は、何週間でしょうか?
365日/7日=52.143週間
366日/7日=52.286週間
です。ざっくり52週間と言っても良いでしょう。
その場合、週40時間労働x52週間=年2080時間労働となるわけです。
2080時間を1日8時間で割り算すると・・・260日の勤務日数になります。
1年は365日ですから、365-260=105日
ここから、年間休日105日という幻想が誕生したのです。
これが、いかに間違った法解釈であるのか、下記で説明します。
まず、36条の前に35条から、説明を始めます。(結構重要なので)
労働基準法第35条では、毎週1回 または、4週間に4回以上の休日を与えることが定められています。
これを法定休日と言います。
1年間は52週程度ですから、単純計算で52日から53日の休日があれば、第一段階はクリアとなります。
(これこそが法が定める年間最低休日数と言えるかもしれません。)
次に、第二段階として、労働基準法第36条があります。
こちらは、法定労働時間として、1日8時間以内、週40時間以内という定めがあります。
たとえば、1日の労働時間が5時間だった場合、週6日勤務だったしても、1週間の労働時間合計は30時間となります。
この時点で、第36条はクリアとなります。
ここで、日曜日のみの休日とし、年間52日または53日の年間休日を定めたとします。
1年は、
365日/7日=52.143週間
366日/7日=52.286週間
でしたから、毎週1日の休日とした場合、年間休日が52日ないし、53日しかないという計算になります。
少ないと感じますよね?
でも、これで、第35条はクリアになるのです。
その結果、上記の労働形態は合法となるわけです。
つまり、平日及び祝祭日は出勤日とし、日曜日のみを休日とするという労働契約であったとしても、
40時間/6日 ⇒ 1日6時間39分以内の労働時間
であれば、合法となるわけです。
私たちが土曜日とかに休みが取れているのは、1987年に週48時間から週40時間へ労働法が改正されたからです。
その際、週2日休めという法律は作られなかったのです。
あくまでも、週1日の法定休日義務と週40時間の労働時間上限が設定されただけなのです。
したがって、年間休日日数が105日を下回っていたとしても、ただちに労働基準法違反にはならない、となるのです。
上述のように、キチンと計算した上で法律の範囲内かどうかを確認しないといけないのです。
さて。たとえ、合法だからといって、
1日の労働時間を6時間30分とし、週1日の休みしか設定しなかった場合・・・
労働者の応募は、見事に少なくなることでしょう。
そこで、法定外休日を色々と設定していくことになるのです。
ここから先は、各企業の経営判断次第 です。
そして、
休みの多い会社を選ぶというのは労働者の自由です。
採用試験を受け、合格すれば、その待遇で働くことが可能です。
好きな労働条件の会社に応募すればよいと思います。
なお。私も色々と勉強しましたし、考えました。
例えば、週休3日制です。
1日10時間の変形労働時間制で週40時間勤務という形です。
これだと、
年間休日が156日
になります。
一つのアイデアでしかありませんが・・・
さて。
私が指摘したいのは、
年間休日の最低日数は52日か53日であって、105日ではない、
ということだけです。
「労働基準法」+「年間休日」とした時に、
google検索で最上位表示されていること
しかも、間違えていること(法解釈がド素人レベル)
実際に、風評被害に遭う企業が発生していること
以上の3点で、問題が大きいとして、記事にしました。
間違った知識で違法だ違法だ、と騒がれる中小零細企業の経営者や労務担当者の苛立ちを代表した格好です。
なお、件のカオナビに対し、記事の修正を要請するかどうかは、現在検討中です。
ホント。転職サイトの企業で記事を書かれている皆さん。
まずは、労働基準法の解釈論から勉強し直して、記事を書いてください。
あなたたちの影響力は絶大なのですから。
以下の記事は、比較的正しい記述になっています。
書き方に少し難があるものの、正解としても良いのが下記の記事です。
しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。