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オッサンの弁明

 哲学科出身の文化人さんの記事。

オッサンの劣化について論じておられます。

私は、問題提起となる無料部分のみを読みました。
正直なところ・・・
無料部分を読んだ限りでは、有料部分の1,000円は高額だな、と思ったので購入しておりません。
※)価格と価値の感覚は、人それぞれなので、安いと思う人もいると思います。

さて。ソクラテスの弁明になぞらえてオッサンの弁明としときます。

記事を読んで疑問に思ったのが、下記です。

1)世代データの扱いで無次元化されていない点に違和感を覚えました。
  また、データ年代も意図的抽出を感じました。
2)原因となる【飲酒】に関する世代考察が含まれていませんでした。
3)お客とホストの関係性に関する世代間ギャップが含まれていませんでした。

1)世代データの扱いで無次元化されていない点について

 なぜ、世代間の人口比率を取り上げないのでしょうか?
そしてなぜ、記事が投稿された2024年3月時点で2021年度まで公開されているのに、平成27年(2015)という9年も前のデータで論じているのでしょうか?

公平性を期すために、最新データを取り扱ってみましょう。
下記にデータが公開されています。

2021年度の世代比率を見てみましょう。
60代以上:25.4%
50代  :17.2%
40代  :15.8%
30代  :17.0%
20代  :17.5%

最新データだと、オッサンの劣化を証明するデータにならないんですよね。。。

20代から50代まで有意な差は感じられません。

つまり、根拠となるデータを意図的に自説に都合が良いものだけを切り取ったという風に受け止められるわけです。
その一方で、昔のデータになるほど高齢層の比重が増えていく点は気になりました。

ここで考えられるのが、人口比率です。

人口が多ければ多いほど該当者の【数量】は増えます。
例えば、都心で自動車の事故件数が多く、郊外で少ないというのは母数を考慮すれば【普通】のおはなしになります。
その辺りへの考察が無いことも気がかりです。

つまり、団塊の世代や団塊ジュニアの世代で該当数が増えるということです。

団塊の世代は今は75歳前後となります。
くだんの筆者のデータである9年前であれば66歳前後。
団塊ジュニアの世代は、今50歳前後です。
9年前は40代でしょうね。
そのひとつ前の世代となるとバブル世代でしょうか。

総務省統計局のデータによると


人口統計によるグラフ

という人口分布になっています。

さて、上の暴力事案の比率と比較してみましょう。

60代以上:25.4% 人口比:30.92%  0.82倍
50代  :17.2% 人口比:12.83%  1.34倍
40代  :15.8% 人口比:13.20%  1.20倍
30代  :17.0% 人口比:14.28%  1.19倍
20代  :17.5% 人口比:10.87%  1.61倍

となります。
倍率が高いほど問題が多い世代となります。
20代のところに10代後半を加味すれば、無次元化した場合の若者の数字の悪さを改善できるかもしれませんので、そこまで突出しているかは微妙ですね。
基本的には、10代前半や、ご高齢の場合、暴力を行使しにくくなるので、妥当な分布ではないでしょうか?

つまり、統計的数字からは、 ”世代別の有意性はあまりない” という結論が導かれるわけです。

実際、暴力事件の発生件数15年前から比べると半減しています。
構成比率では著しい変化が無いのですが、件数自体は減少しているわけです。
ですから、昔のオッサンに比べると今のオッサンの方が暴れなくなったと考えられるのです。

つまり、統計上、オッサンは進化していると言えるのではないでしょうか?

むしろ、気になるのは、社会がドンドンとオッサンを悪者に仕立て上げていく傾向が強まっていることです。


2)飲酒による暴力沙汰が多いことについて

  飲酒すると気が大きくなるというか、感情を抑制する機能が低下します。
 また、現在のオッサン世代は一気飲みの強制に耐えてきた世代ですので、酒の飲み方が荒いです。
酒を飲んで腕相撲大会が始まるとか、相撲を取り始める、なんてことは日常茶飯事でした。
その影響もあるのか、我々より下の世代以降は、飲みニケーションに否定的な世代になりました。

つまり、若者世代は、酒の上での失態が少ない世代になっているということになります。
これを同じ土俵で論じあうというのは、かなり無理があるかなあ? と思います。
裁判でも心神耗弱状態というのは罪を問わない、減刑の対象になります。
もちろん、そんなに酔いつぶれるな、というのが正解です。はい。

ただまあ、酒を飲みすぎる最後の世代が今の50代だとすれば・・・
50代の無次元数がやや高いのは、分からなくもない、と思えます。


3)お客とホストの関係性に関する世代間ギャップについて

これはもう明確に違ってきていますよね。
我々の頃は、

お客様は神様です。
お客様が白といえば真っ黒でも白、黒といえば真っ白でも黒。

と言われ、教育を受けた世代です。

お客としての振舞いが若い世代よりも横柄なのは、そういう育ち方をしてきたから、となります。
もちろん、今の時代にはそぐわないので、上手く環境対応できているオッサンと昔の感覚のままのオッサンがいてるわけです。

だから、問題のあるオッサンの存在自体は否定しません。
が・・・必ずしもオッサンが全体から見て、目に余るほど著しい割合で暴れているわけではありません。(統計数字からも明らかです)

たしかに、往時のオッサンは社会の中核を担う存在として幅を利かせていました。
でも今は・・・奥様や、娘さん、若者たちに馬鹿にされることが多くなっています。

威圧的なオッサンは確実に減ってきているのですが、今はネットの普及により簡単に拡散され、いかにも・・・となっている。
この辺りも関係しているのかなあ、と思います。

ということで、

大げさに言うほど、オッサンが暴れているわけではないこと。
昔から見れば、暴れるオッサンの数は減ってきているということ。
この流れから考えると、オッサンが劣化しているとは言い切れないこと。

以上、オッサンの弁明でした。

しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。