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啐啄同時

啐啄同時そったくどうじ

という言葉があります。

啐は、雛が自ら殻を破ろうと嘴で内側からコツコツと殻をつつく行為です。
啄は、親鳥が雛の殻破りを手伝う行為です。

教育の進捗・深度が最高レベルで実現するには、
この【啐啄同時】が欠かせません。

私もこの年齢になり、多くの人々を指導教育してきたわけですが、

【啐】・・・自ら殻を破ろうとする行為

が出来た教え子は、ほんの一握りしかいません。
さらに、どんな話題であってもどん欲に吸収しようという人は、私の人生の中で、わずか数名(五指で余るぐらい)です。

近年、教育者側が教わる人間の興味を惹くように誘導することが求められています。
もちろん、私もそれは心がけています。

が・・・

本人自らが殻を破ろうという意志を持たない限り、成長速度は極めて遅いままです。

人が成長するには、

  • 多くの情報を吸収する。

  • 情報の分類と分析を行なう。

  • 分析結果をもとに考察を行ない、仮定を得る。

  • 仮定を実践し、不備を確認する。

  • 不備を修正し、より強固な自論を確立する。

というサイクルを回さないといけません。

特に、初学者になればなるほど、一段階目の多くの情報を吸収する作業が必要になります。
そして、二段階目の分類と分析を行なうのも最初は師匠について学んだ方が良いです。
師匠から離れ始めるのは、仮定を得て以降、自ら検証を進めていく段階でしょうか。
それでも、時に自らに偏りはないか? を第三者の目線で確認してもらうために、師匠の下を訪れ、指導を仰ぐのが良いでしょう。

ただ。
いかに優れた師匠についたとしても、自ら研鑽を積む意志がない人は、いつまでたっても成長しません。
こういう人は一定割合存在します。

自分で月謝を払って通う人たちの場合、あまり、そういうことは発生しません。(お付き合いで受講しているのなら別ですが・・・)

でも、会社に給料を支払ってもらい、会社から月謝を支払ってもらい、受講する生徒の場合、学ぼうとする意志がない人がたくさん存在します。

その場で興味を持たせ、一定水準まで仕込むことは可能ですが、所詮は付け焼刃。
数か月ともたずに元の木阿弥になることが多いです。

教わる側に【学ぼうという意欲】がなければ徒労に終わる。

これが、過去の経験から導き出された答えです。

上述のサイクルを回していこうとした場合、自らの強い意志がなければ継続することはできません。
継続できなければ、まず成長することはありません。
喩えるなら、オリンピックで100M走の金メダルを取りたいと言って、世界的名コーチにコーチをお願いしている人がいるとして・・・
毎日、ポテチをつまみながらTVを見てゴロゴロ寝ているだけだったらどうでしょうか?
多分、コーチはさっさと見切りをつけて帰っていきますよね。

でも、会社員の場合はどうでしょう?

金メダル級の難易度を求められるわけではないので、努力なしで運と才能だけで切り抜けられる人もいます。
努力しても報われないままの人もいます。
なにしろ、ビジネスは複合技であり、人間関係に左右される世界ですから、学問的な姿勢というのは、どうしても比重が小さくなるからです。

ただ・・・

どんな仕事に就いたとしても、自分の仕事で、上述のサイクルを回せる人は成長し、成果を残します。
それが出来る人が多い会社は強くなり、そうでない会社は弱くなる。
だから、経営者は、会社は、社員が自己成長を目指してくれる人物であることを好むわけです。

この辺りを理解できていない日本人が急速に増えているので、将来が心配ですね。

どうなる日本?

しがないオッサンにサポートが頂けるとは、思ってはおりませんが、万が一、サポートして頂くようなことがあれば、研究用書籍の購入費に充当させて頂きます。