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数・単位・暦等のおはなし(4)

 今回はMKS単位系や、ヤード・ポンド法の単位の中身に手をつけていくことになります。
まずは、モットモポピュラーとなる「長さ」の単位についてです。

人間にとって、長さというのは非常に身近な単位です。
そのため、世界各国で様々な呼称があり、色々な体系が存在しています。

私たち日本人が、日常で耳にする可能性のある呼称を列挙してみると、

メートル  :言わずもがな。長さの代表的な単位
マイル   :飛行機に乗る人は、良く耳にしますよね。
インチ   :パイプの直径を表わすのによく使います。
ヤード   :ゴルフでの長さの単位ですね。
すん    :裁縫で使うことが多いです。
しゃく   :建築で使われますね。
けん    :建築で使われます。
     :文章の中で出て来ることがあります。

いかがでしょう? 聞き覚えの無い単位はありましたでしょうか?

長さの単位には起源がありまして、

・「自然」を基準に定められた長さ
・「人間」を基準に定められた長さ

に大別されます。

人間由来の長さとして代表的なのが、フィートになります。
王様が成人した時の足の大きさに由来しています。

1フィートは約30cmぐらいになりますので、かなり大きいですよね。
日本人だと25.5cmぐらいが平均でしょうか?
米国人でも28.5cmぐらいが平均とされていますので、やや大きいです。

となると考えられるのが・・・

王族は、めちゃくちゃ足がでかいのか?
もしくは、靴を履いた状態で計測したのか?

いずれかだろうと思います。
チャットGPTで質問してみたところ、裸足の可能性が高いという回答でした。
理由は、靴はデザイン次第でつま先部分が長くなったり短くなったりして安定しないと思われるから。

なるほど。王様、足デカいんやねえ・・・(笑)

さて。フィートが決まると、今度はインチになります。
インチは、ラテン語由来でして、uncia(ウンキア)という単位に起源があります。
ローマでは、12unciaが1ペス(pes)という風に表現されていたそうでして、1ペスの長さは約29.6cmでした。

これに対し、1フィートは30.48cm 1インチは2.54cmという格好になります。
インチについては、親指の幅ということなのですが、足同様に大きいです。
日本人にとっては、フィートもインチもデカすぎる感覚になりますね。
なお、インチは、[in] フィートは[ft]と表記されます。
漢字表記では「吋(インチ)」「呎(フィート)」と書かれることもあります。

この単位系に含まれるのがゴルフでお馴染みのヤードです。
1ヤードは3フィートのことで、[yd]と表記します。
漢字表記では、「碼」となりますが、まず使われているのを見たことがありません。

なお、ヤードの語源は、「まっすぐな棒」という意味らしいですが、詳細は不明です。
異説もありまして、イングランド王のヘンリー1世が、自分の鼻の頭から親指までを腕をぴんと伸ばして測定した数値をヤードの標準値として採用したというものもあります。

両手を開いて左右の指先までの長さが自分の身長になるといいますので、ヘンリー1世で考えた場合、親指から体の中心線までと表現しなおせるので身長の半分弱という感じでしょうか。

となると、1ヤードは91,44cmですから、この二倍。
すなわち、ヘンリー1世の身長は182.88cm以上あったと推測することが出来ます。
どうりで、インチもフィートも大きいわけです。
※)こんなところで納得してしまった。w

ヤード・ポンド法では長さの単位が続々と出てきます。
英国限定だとチェーン。22ヤードのことです。

このチェーンという単位は、ハロンの後に出来た単位でして、1/10ハロンが1チェーンとなります。
1チェーンは1/10ハロンで作られた測量用の鎖のことです。
また、ハロンについては、かなり変わった決め方になっています。
日本だと、牛に鋤を引かせて畑を耕していましたが、英国では馬にやらせていたんですね。
で、その鋤をひく際に馬に小休止を与えていたのですが、丁度良い休憩感覚が1ハロンだったそうです。
ですから、かなり曖昧な単位でして、220ヤードで1ハロンとなった次第です。
日本では競馬でよく使われる単位ですが、端数を切り捨てて200mで使っています。
※)本当は、201.168mになります。

なお、ヤードポンド法で最長の単位がマイルです。
これはラテン語の千から来ているもので、千歩を意味しています。
では、一歩はどれぐらいの長さなんだ? となるわけですが・・・

右一歩+左一歩ということで左右の足が一歩ずつ出たときの長さとなります。
大体5フィート前後で一歩になったそうですから、1マイルはざっくり5000フィート前後になるということになります。

1593年にエリザベス1世が、他の単位との換算に便利になるようにということで、

1マイル = 8ハロン

に定めました。
これを法定マイルと呼びます。
※)実は、マイルは何種類もあります。

さて。このマイル。
海でも用いられることになっていきますが、こちらはなんと自然由来になるんですね。
海里とも書きますが、地球の赤道の長さを基準にしています。

赤道で1分の弧の長さを1海里と定めたのです。

1分は、1/60度ですから赤道の長さの21,900分の1となります。
当時は正確に赤道の長さを測定できていませんでしたので、誤差があるのですが、約1,855mとして定められました。

なお、自然由来のメートル法では、長さの単位をいくつも用意することはなく、接頭語をつけたメートルで表記しています。

地球の赤道と北極点の間の海抜ゼロにおける子午線弧長を 1/10000000 倍した長さ

を1メートルと定義したのですが、測量制度が上がるたびに修正を余儀なくされました。

そこで、1983年に
「1秒の 299792458 分の1の時間に光が真空中を伝わる長さ」
を1メートルと定義づけました。

どうしてこんなややこしい数字で割り算したのか?

検索結果では、光の速さに由来するというのですが・・・
秒速30万Kmとなるようにメートルの長さを変えれば済んだんじゃないのか???
と思いましたが、これはやはり歴史上の伝統を重んじた結果なのでしょう。

従来、使っていたメートル原器を基本にすることで、今までに製作されたものが微妙にずれてしまうのを避けたのだと考えられます。

この辺、歴史を学べば学ぶほど、色々と出てきて面白いですね。

さて、次回は東洋(主に中国と日本かな? )の長さについてお話ししていきたいと思います。
(いつになるかは分かりませんが・・・w)

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