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アルミの特性(3)

 アルミニウムは、腐食しやすいが故に、腐食しづらいという特性を持っています。

は? 何それ?

また、反射率が高いの二番煎じなの?
と、思われた方、お見事です!

個人的には、冒頭でデジャヴュを感じつつ、書き始めております。

 アルミニウムのイオン化傾向は、12番目と高い部類に入ります。
イオン化傾向とは、溶液中でイオンになりやすい金属かどうかの指標です。
これが、高いということは、水分のあるところで、溶けやすい(溶かされやすい)ということです。

  • 溶かされやすい金属(酸化されやすい)を卑金属

  • 溶かされにくい金属(酸化されにくい)を貴金属

といいます。

金や銀が、貴金属と呼ばれるのは、ココからです。

イオン化傾向の高い金属の代表例は、リチウムです。
リチウムイオンバッテリーが出回っているのは、このためです。
(相当にザックリな表現ですが・・・)

で、アルミニウムもまた、卑金属として、イオン化されやすく、
バッテリーとしての使用が可能な金属になります。

個人的には、アルミニウム電池に注目が集まる時代が来るのではないか?

と、思うこともしばしばあります。
(次世代は全固体リチウムイオン電池というのが定説なんですけど・・・)

理由としては、リチウムイオン電池で重要となるコバルトの埋蔵量が少ないという点です。
アルミニウム電池の場合、構成される元素は潤沢な埋蔵量をもつものだけで構成可能となっています。

性能の面ではリチウム電池にはかなわないが、安さと安定供給性という面では有利になるので、大型バッテリーであれば、代替可能と予測しているためです。
まあ、あくまでも個人的予測に過ぎませんが・・・
それでも、オーストラリアでは、研究が活発に行なわれているようです。

さて、腐食しやすいというお話から、電池に向いているお話になってしまいましたが、ここから、腐食しにくいというお話へシフトチェンジしていきます。

アルミニウムは、空気中ですぐに腐蝕し、表面に酸化被膜を形成します。
この酸化被膜は、非常に強固で腐食しにくい性質を持っています。

電気も通しません。

そして、何らかの方法で、この酸化被膜を破壊しても、アルミニウムが空気中にある限り、即座にキズの下に酸化被膜が再構築されることになります。

何度破壊しても再生してしまう。

反応がない、ただの屍のよう・・・って、歩いてるやんか!?

アンデッド(ゾンビ)なみですね。はい。w

さて。この強力な酸化被膜。
これを利用しない手はない、として、開発されたのが、

アルマイト処理

です。
人為的に酸化被膜を作ってしまうわけですね。
被膜の厚みをコントロールしたり、カラーリングしたりして商品の付加価値を上げたりしています。

さて、こういったアルミの特性は、一般消費者の皆さんには、あまり知られていません。

アルミは腐食されやすく、腐食しにくい

という特性がありますので、

アルミを他の金属と接触させない。(特に水分の多い場所)
アルミを酸性やアルカリ性の洗剤で掃除しない。(中性洗剤でお願いします)
アルミを土に埋めない。(特に酸性土壌で植物が育たなくなります)
アルミは人間の汗に弱い。(腐食が進みます)

以上の点には、気をつけて欲しいかなと思います。
反対に、開発サイドとしては、
アルマイト処理を施して、出来るだけ腐食しにくい状況になるように配慮
をすることが必要になります。

その一方。
空気中で、中性環境で使用する場合は、アルマイト処理が無くても問題が生じない。
となります。

アルミの特性として、活用して頂ければ幸いです。

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