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メタルとメンタル~音楽的思考がちょっとだけ変わった話

今年(2023年)の5月末以来、今に至るまで家庭の事情で無自覚のうちに気遣いとストレスに心身が蝕まれている。

今まで音楽(メタル)を聴くことはストレス解消につながり,気分転換してリフレッシュできる良薬だったのだが,心身の疲弊,とりわけメンタルが本当に疲れているときは,大好きなメタルを身体が受け付けなくなることを初めて知った。

毎日仕事帰りの電車ではメタルを聴いているのだが,5月末〜10月ごろまではほとんど聴かなくなってしまった。もちろん好きなバンドの新譜は買って聴いたし,ライブにも行ったし,それらを楽しんだ。でも,以前のように日々積極的に楽しんでメタルを聴くことができなくなってしまったのだ。

あまりにも疲れすぎた私の頭には,堅牢で重厚な建築物の如きメタルという音楽は,あまりにも重たすぎて受け止めきれなかったのだと思う。細部に至るまで計算し尽くされた精緻極まりないメタルという音楽を解釈するだけの余裕が,私の心にはなかったのである(なお,ヘヴィ・メタルという音楽を建築物に例える話は脳科学者・中野信子の『メタル脳 天才は残酷な音楽を好む』に詳しい)。

この“メタルお休み期間”を経て,私の音楽的嗜好は微妙に変化したようだ。メタルほど情報密度が高くなく,適度に隙間があって軽い音楽が私の興味を引くようになったのである。そんな私の耳をつかんだのは,BAND-MAIDである。

もちろんBAND-MAIDのことは以前から知っていたし,MVも見たりしていた。しかしメタラーの私にとって彼女たちの音は軽くて物足りなく感じてしまい,そこまで好きにはなれなかったのである。より正確を期するなら,そこまで興味を持てなかったと言うべきか。

ところが,である。無自覚のうちにかつてないほど疲弊していた私の心身にとって,BAND-MAIDのサウンドは絶妙にフィットしたのであった。メタルほど重くも激しくもなく,適度にハードでカッコいい楽曲は,私に元気と癒しを与えてくれた(テクニカルなが曲とスキルフルな演奏も当然素晴らしい)。YouTubeでMVを繰り返し視聴しているうちに,失礼ながら「BAND-MAIDって,こんなに良かったっけ?」と何度思ったことか。そしてついに今月(2023年12月),ベストアルバム2枚(「10th Anniversary Best Vol.1」と「10th Anniversary Best Vol.2」)と企画モノ「BAND-MAIKO」を購入したのである。

試練の時が始まって約7ヶ月。今では私の心もだいぶ元気を取り戻し,以前のように毎日メタルを楽しんで聴くことができている。もちろんBAND-MAIDも継続して聴いている。まさかこうして音楽的嗜好が変わるとは思いもしなかった。楽しみの選択肢が増えた今,私の音楽生活は以前よりちょっぴり充実している。


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