仕事をやめる基準/人生はジャズだ

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もともと「涼しい」という意味だったCOOLがいつから「かっこいい」という意味を持つようになったか知っていますか?実はジャズ演奏の世界で、「悲しみを表に出さない様子」という形容詞として使わたのがきっかけです。

2018年4月に就職し、そして最近になって退職した人たちの話を聞いた。ブラックだパワハラだという簡単なものではなく、様々な人生の事情が複雑にからみあっていた。

特に印象的だったのは、「このまま続けたら人生のルートが決まってしまうから」というものだった。「その前に自分のできることをやり切りたい」という人に対して、私は10年前の自分を見たような気持ちになった。

応援も兼ねて、私は彼にジャック・ケルアックの小説をプレゼントした。ビート・ジェネレーションのように外へ、外へと飛び出してほしい。(実際そうして退職した人たちの中には、TOEIC900点を取った猛者もいた。)

まったく別の用事で、先週ハローワークに行った。3年前の休職時に支払うべき保険金に差額があるとのことだった。少しだけお金がもらえるというので喜んでハローワークに行ったところ、自分と同世代か、あるいは年下らしき人がたくさんいた。平日の午前中だったけど、20人近く居たと思う。

仕事をやめる理由、やめるキッカケは何だろう?私たちは、どういう時に今の仕事をやめればいいだろう?実は就職することで若者の自尊心が向上するという研究結果が(アメリカで)報告されている。ならば、退職すると自尊心が落ちるのだろうか。

今の時代は、本当にわずかな時間で物の価値感がガラっと変わってしまう。結晶性知能よりも流動的知能のほうが大切だと言われ、「お勉強で培ったこと」よりも「その場を切り抜ける判断力」を求められる。前者は人工知能にとって代わられると学者たちは言う。

スキマスイッチじゃないけど、積み上げたものをぶっ壊し続けなければいけない。加えて、日本では「災害」も問題視されているから、もはやクレヨンしんちゃん風の過程を築くことは若者にとって叶わぬ夢のようにも思える。

これからの時代は、ジャズの精神が必要だ。楽譜どおりでは通用しない。自分の感じること、思うことをそのまま表現し続ける即興のライフプランが求められる。というか、大半の若い子たちはそうせざるを得ないはずだ。HIPHOP風にいうならフリースタイルの力を試される。

若者たちがクールじゃなくなる日は来るだろうか。いつか彼ら、彼女らに「あの時はクールな時代だったな」と、ぼんやり振り返る余裕が与えられてほしい。


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