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人材育成に新たなエネルギーを吹き込む「6つの加速化メソッド」

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世界93カ国、年間25万人以上のリーダーシップ開発に携わるDDI社が変化のスピードが速く、複雑さが増している時代において、自社のビジネスを成功に導く優れたリーダーを継続的により多… もっと読む
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記事一覧

第5章<成長する>リーダーが重要な職務に就く準備を成長課題によって、より速く整えることができる

1.未知のリーダーシップポテンシャル~昇進のリスクと報酬未知数のリーダーが現在就いている上級管理職階層から2階層上に昇進させる、または人事担当役員を未経験の製品担当リーダーのポジションに就かせるリスクを考えてみよう。主要な職務での失敗はビジネスに痛手となるばかりでなく、前途有望な人材のキャリアを損なうことにもなる。一方で、成功すればその人のキャリアの素晴らしい転機となり、組織にも大きな価値を生む。 その人が適切なサクセス・プロフィールを持っているのであれば、新たな課題を乗り

第5章<成長する>より早くリーダーをゲームに引き入れる

1.早急にスキル、知識、経験を積む任務を作り出す本コラムではすでに、リーダーをゲームに引き入れる必要性について述べてきた。さあ、ゲームの時間だ。将来のスター選手がサイドラインの外に立っていては、必要な成長は実現しない。リスクを冒す必要があるし、経験という概念について考え直さなければならないかもしれない。組織にはたいてい、有能でリーダーシップのポテンシャルはあるが、まだ主要な役割に就くほどの経験がない者がいる。彼らのような経験の浅いリーダーをもっとビジネスに関わらせたいが、本当

第5章<成長する>感情的知性(EQ)

1.インタアクション・スキルはEQの裏の側面感情的知性(EQ)が認知的知性と等しく重要であるという考え方は、論理的に好ましいばかりでなく、リーダーとしての成長と成功を予測する上で正当であることが証明されている。特にアデル・リンによるEQの定義は人材開発の加速化との関連性が高い。EQを高めるための自己管理行動を開発することが重要だとしているのである。リンは、EQを「自分および自分と他者との関係を管理して、自分の思う通りに生きる能力」と定義している。遠大な志に感じられるかもしれな

第5章<成長する>なぜ阻害要因の心配をするのか?なぜただ強みを活用しないのか?

1.阻害要因が生まれた強みの「負の側面」阻害要因が生まれつきの性格なら、なぜ管理しようとするのか?リーダーは既存の強みを最大限に活用し、持って生まれた傾向に身をゆだねてはいけないのか? この前提に説得力があるのは容易に理解できる。 🔶🔶🔶第5章記事の一覧はこちら!🔶🔶🔶 リーダーはみな、生まれながらの強みをさらに研ぎ澄ます方法を探すべきだ。例えば、カリスマ性を持った個人は、話し方をさらに磨くトレーニングを受けて、この分野を大きな強みにすると良い。 また、リーダーもその

第5章<成長する>挫折しつつあるリーダーを支援するコーチ

1.エグゼクティブ・コーチのアクションスコットは工場長として、規律のとれた組織管理をしていたが、彼の優しい性格が、海軍で学んだ厳しい指揮管理系統を和らげていた。この組み合わせは工場の同僚たちにとっては非常に効果的だった。しかし、品質保証の責任者に昇格すると、彼の親しみやすくはあるものの支配的なやり方が障害となった。新しい職務での成功は、組織上の権限よりも彼の説得力と影響力にかかるようになった。スコットは、自分のやり方を変えなければならないことを認識できなかった。 🔶🔶🔶第5

第5章<成長する>性格~阻害要因を管理し、促進要因を最大限に活用する

1.失敗を避けるよう積極的に対処する前にも述べたように、性格に良いも悪いもない。大事なのは行動である。性格は状況やそのときの事情と作用し合って行動の効果に影響を及ぼす。例えば、もともと社交的なリーダーが新しい職務でパートナーのネットワークを築く場合、特性は促進要因となる。彼は多くの人と交流し、さまざまな人を集めたグループをすぐに作るだろう。しかし、同じリーダーでも、分析業務を主とするような時間をかけないと関係構築ができない(やり取りの頻度が少ない)環境の中では、苦労することに

【書籍紹介】次世代リーダーシップ開発 人材育成に新たなエネルギーを吹き込む「6つの加速化メソッド」

1.背景 今、企業は未曽有の変化にさらされています。AIやIoTといった革新的なデジタル技術は、従来とは全く異次元のビジネスの競争原理を生み出しています。またビジネスのグローバル化や国内生産労働人口の減少を背景に、企業は多様な人々を活用して、より高い付加価値や生産性を実現するマネジメントに転換することを求められています。 パラダイムシフトを余儀なくされる変化の時代に、未来に向けて組織を率いることのできるリーダー人材をどれくらい準備できているでしょうか。 多くの企業は危機感

LEADERS READY NOW!次世代リーダーシップ開発人材育成に新たなエネルギーを吹き込む「6つの加速化メソッド」

1.前書き日本の産業界はこれまでにない大きな変化とスピードにさらされている。AIやIOTといった技術革新は、従来とはまったく次元の異なるビジネスの競争原理とスピードを生み出し、今、企業はパラダイムシフトを余儀なくされている。またビジネスのグローバル化や国内生産労働人口の減少により、国籍や性別、世代の異なる多様な人々を活用してこれまで以上に高い付加価値や生産性を実現するマネジメントスタイルの確立も必須である。こうした変化の時代に、未来に向けてグローバルな組織を率いることのでき

<序章>「良い」慣習が、いかにリーダー育成の努力とエネルギーを消耗させるか

将来有望なリーダーたちのプロフィールを経営陣とともに読みながら、CEOは顔をしかめて頭を抱えた。野心的な成長目標と、せっかちな株主たち、そしてはやる理事会の重圧を感じた彼らは、新たな優先事項に着手し、早急な変革の必要性に迫られた。じきに、経験の浅いリーダーにも、多岐にわたる難しい業務を強制せざるを得なくなるだろう。 新しいリーダーには支援が必要だと考え、経営陣は人材開発を加速化させるプログラムを積極的に取り入れた。そして現在その成果を得て、主要業務にリーダーを配置し始めると

第1章<コミットする>人材開発の加速化をビジネスの最優先とする

0.シートベルトをしめよう、今こそ加速するときだ!即戦力をつけるには、「常に加速し続ける旅」を始める決意を固めなければならない。人材開発の加速化の6つの必須要件は順番があるように見えるが、実際に順番通りに行うことは稀である。経験豊かな組織も、そうでない組織も、独自のスタート地点から旅を始め、それぞれの強みを活かし、自社のビジネス状況の中で最大の見返りが得られる分野を発展させていく。 本コラムでは、人材開発の加速化を持続させ、成果をあげるためのエネルギーやリスク、協力、当事者

人材開発加速化の6つの必須要件および各事項と関連する主要なシステム

全6章は6つの人材開発加速化の必須要件です。その6つの人材開発加速化の必須要件を通じてリーダー育成のあらゆる取り組みを評価し強化するレンズのようなものであるが、成長速度が最高潮に達したときに最もうまく適用できるものでもある。そのため、これらの事項が特に後継者管理に有益だと感じる人も多い。後継者管理は、空きポストの補充という緊急性の高い問題に関わるからだ。本コラムは、主に後継者管理に重点を置き、 6つの必須要件の機能を示していく。また、これら必須要件はリーダーシップ能力開発にお

第1章<コミットする>人材開発の加速化戦略

1.誰の成長を加速させるべきか?誰もがリーダーになれるわけでも、なりたがるわけでもない。即戦力になるリーダーを多く作り出すには、加速化を集中的に行う個人やグループを特定しなければならない。誰の能力開発をいつ加速させるか、難しい選択が求められる。能力開発を選抜的に行い一部の人を除外すると組織文化に傷がつくと考え、出発点で苦心する組織もあるが、そういった考え方ではうまくいかない。人材開発の加速化は組織文化への投資ではなくビジネスへの投資だからである。 もちろん人材開発の加速化

第1章<コミットする>成長に重点をおく~人材開発の加速化をビジネスの最優先事項に引き上げる

0.人材開発の加速化戦略ための5つの要素の概要戦略とは、ゲームではない。ゲームに勝つための計画である。道路地図、青写真、素案…呼び方は自由だが、最高経営幹部が実施するリーダーシップ人材開発の加速化戦略は、経営陣、ハイポテンシャル人材、その上司、人事部門、そして組織全体の行動を舵取りするものだ。戦略なしで、あるいは中途半端な戦略のみで動こうとすれば、大きな成果は得られない。 人材開発の加速化は、より多くの人材をより早い段階でゲームに引き入れて、自社のビジネスに必要な能力を身

第1章<コミットする>リーダーシップ開発の加速化戦略チェックシート

あなたの組織の経営陣は、リーダーシップ開発の加速化戦略にコミットしているだろうか?当てはまるものにチェックをつけよう。 1.リーダーシップの最優先事項(ビジネス・ドライバー)2.リーダーシップ能力のギャップ3.成長エンジン4.人材開発加速化のダッシュボード 5.持続性6.リーダーシップ人材のギャップを計算するためのガイドライン 以下は、リーダーシップ人材のギャップの計算(図 1.3)に補足する詳細である。 対象とするリーダーシップの階層や重要な役割:まず、組織内でリーダー