読書記:「チャイナ・ナイン中国を動かす9人の男たち」(遠藤誉著、 朝日新聞社出版)(2012.7.13日経産業新聞寄稿)

----後日のコメント-------

現在、外観的体制はチャイナ・セブンであるが、実質的にはチャイナ・ワンとも言える。これはその前の体制で鄧小平以降の体制の話。

-----以下掲載時本文-------------------

日本にとっても世界にとっても大変重要な存在である中国。ビジネスを含めたあらゆる分野へ大きな影響を与えている国であるにも関わらず、いまだ実態を理解することが難しい。そういった中国の動静について理解を深めるに資する作である。
本書において「チャイナ・ナイン」とは、中国共産党中央委員会政治局常務委員会を構成する9人を指す。中国の意思は、この9人の多数決によって決せられるものであり、従って国家主席が誰になるかよりも、この9人が誰になるのかが重要なのだという。
「チャイナ・ナイン」の人間ドラマを描くことで、中国の権力構造を解き明かしているが、重慶市共産党委員会書記を解任された薄熙来氏の背景など、興味深い内容が満載されている。現実に仕事などで関わっている中国の人々と会話をすると、さらに本書の真実味を感じる。中国とのビジネスを考えるにあたり、目を通しておくべき書である。

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