堂島さんの『君の髪がなびくのを見ている』を聴いて、ある絵画を思い出した
標題の楽曲は『A.C.E.2』というアルバムに収録されている。今から10年以上前に発表された曲なのに、恐らく20年後に聴いても今と同じ懐かしさと温かさを感じる一曲。堂島さんの楽曲はそういう曲が多いけれど、とりわけこの曲は普遍的なメロディーが印象的。
この曲を聴いて思い浮かべたのが、ある有名な絵画。それは、モネが最初の妻カミーユを描いたと言われている『散歩、日傘をさす女性』。
カミーユは32歳の若さで亡くなった。モネの『日傘をさす女性』は後にあと2枚描かれるが、この曲を聴いて思い出すのはカミーユを描いたと言われている1枚目の絵だ。
この部分が、特にモネの絵を彷彿とさせる。さらに終盤に連なる次の歌詞も切ない。
モネは、カミーユを亡くしたあと、元々モネのパトロンだったエルンスト・オシュデの妻アリスと再婚する。一説によるとモネとアリスは、カミーユが生きている頃から不倫関係にあったとも言われている。
そしてモネは後に「光の画家」と呼ばれるほど睡蓮の花を数多く描き、ついに人物は描かなくなってしまう。
一説には、「カミーユの死まで描ききり、人を描くことから光へ興味の対象が移ったのではないか」という見方もある。しかし私は、カミーユ以上に、描きたいと心から思える対象がいなかったと思えてならない。
真偽の程は明らかではないが、彼の描いたカミーユはとても美しい。それだけは事実だろう。