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ディレクションという仕事

相変わらずパソコンと向き合っています。時には外で陽を浴びたり。

有難いことに仕事は頂いているので、なんとかやっていけてはいるのですが、ディレクション業は作家業とは違い、上から降りてくる仕事だけに集中し、自分の世界に閉じこもることも出来ないのが難しいところです。

この業界で、外注でディレクションを担当するのも珍しいと思うので、ここ数年で何をやっていたか書き起こしてみようと思います。アートディレクションや総合デザインのような肩書きでパッケージングされてますけど、この業界ではディレクション業の範疇です。

  • 企画の監修

  • ロゴデザイン(タイトル・ブランドロゴ案)

  • サイトの監修

  • グラフィックの監修

  • コンテ・レイアウト制作

  • 舞台設計

  • 各ゲーム素材(絵素材・UI)の監修

  • 原画監修・調整

  • 彩色監修・修正

大凡このような感じです。GLOVETYだと、新島さんの判断でロボットを描いてと言われたり、CGをゼロから作ってほしいと言われたら要望に合わせて原画から制作したりもします。

正直、この程度の作業量なら、会社に所属しているディレクターに比べるとずいぶんと楽な方ですが、僕の場合はEVCGや汎用背景の制作作業が加わります。

ロゴに関しては、アイこめや創作彼女ではタイトルロゴやブランドロゴ案を提出しましたが、ほぼラフデザインのまま正式デザインとして決まりました。コンテ制作に関しては、重要な場面やパッケージビジュアル等、動的ではないイメージを描き起こす事が多いです。

監修としているのは、企画者や作家から上がって来たものに対して、所感を述べたり、代替案を出したり、時には異議申し立てをしてみたり。実はこれが難しい仕事で、自分は慎重に考えるタイプなので苦手な作業です。

アントリの特典本のコメントにも軽く書いたのですが、ゲーム制作はいろんな人の思いが重なり合って作られてます。

原画家が描いた一本の線も、グラフィッカーが塗った肌のハイライトの位置も、作曲家が思い浮かべた主旋律も、その作家自身が頭で考え、意図的に創作されたものです。ディレクターは自分の感覚を信じて客観的に判断しながらも、それらにメスを入れていくという作業は非常に辛い思いがあります。

これは間違っているから直さなきゃいけない、とか。こうあるべきだ、みたいな理屈重視な判断をしてしまうと、ただの自分の思い通りに行かずに嘆いている我儘なディレクターになってしまいます。下手をするとゲームデザイン全体にも影響します。

目の前にあるものを凝視して、自分がイメージしたものと釣り合っているか、どうバランスを取る事が最善か。同時に、限られた時間内でどのような判断を導き出すのが正解か。なんてことを考えながら、ずっとやり続けるのがディレクターのポジション、というか、そんなことをやり続けていたのか僕は…笑

おそらく、洞察能力に長けていて、整理整頓が好きな人にはディレクターに向いてるんでしょうが、自分はのほほんと空を見上げてぼんやりするのが好きで、部屋の中は多少ごちゃついてるくらいが丁度いい人間。日々の作業の中で、もう勘弁してよう、と言った感じです。

そんなこんなの思いで作った、Archiveのアントリも発売です。よろしくお願いします。


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