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AmazonKDPで二冊目が売れない理由の考察

AmazonKDPで、電子書籍を二冊、セルパブしている。
どちらも、ショートショート、短篇、中編で構成された大衆小説である。しかし、一冊目に比べて、二冊目がじぇんじぇん売れないので、その理由を自分なりに考察し、三冊目以降の成功につなげる。

本の内容

まず、二冊の本の内容について整理する。

1.ドッペルゲンガーを殺せ: ショートショート・短編集

【価格】99円
【出版日】
2017/2/11
【本の長さ 】167ページ(※装丁した場合の目安のページ数)
【紹介文】
ドッペルゲンガーに出会うと人は死んでしまうというのに、最近、僕のドッペルゲンガーが人気アイドルになったらしく、頻繁にメディアに顔を出すようになって困っている――表題作の『ドッペルゲンガーを殺せ』。星新一の「友情の杯」をオマージュした『夫婦の杯』(全国高校生創作コンテスト入選)。密室殺人の謎に二人の刑事が挑む『物音』など、過去に書き溜めた作品を自選し、加筆、改訂。ミステリ、SF、ホラーなど、多様なジャンルのショートショート20編に、短編ミステリの「マジック・ビデオ」を加えた、計21編を収録。
【収録作品】
オセロの天才/かかあ天下/孤独の0/夫婦の杯/咳/雨男/「を」の悲劇/恋人はクローン/庭の山/お礼/空の穴/オハヨウ/物音/秘密の道具/ドッペルゲンガーを殺せ/ラブレスシンドローム/ダイイング・バイブレーション/ノンストップ・メール/つまらない仕事/ひとりの男/マジック・ビデオ


2.猫の証明: ショートショート・短編集
【価格】99円
【出版日】2021/6/6
【本の長さ】179ページ
【紹介文】
吾輩は人間である。前世が猫だった――野良猫から人に転生した主人公と、近所の猫たちとのおだやかな日々。姿かたちは人間でも、自分が猫であることを疑わなかった。あの、誘拐事件が起こるまでは(猫の証明)。最新のAIを搭載したヒューマノイドが活躍する世界で、人はゴリラに安らぎを求めた(GORILLA)。セックスをすると記憶を失う女にプロポーズした。返事はセックス。あなたのことを覚えていたら結婚してもいいということだった(失われぬ物語)。
SFでもない、ミステリでもない、ホラーでもない、ジャンル分け不能なショートショート14編に、短編を加えた計15編を収録。
【収録作品】
悪魔のレシピ/ラーメン探偵/ラーメン男爵/世界チャンピオン/右目との付き合い方/トップランナー/他人の不幸/マフラー/歯磨き粉とシュークリーム/キツネのインサイダー取引/GORILLA/プランE/失われぬ物語/気ままなスピリット/猫の証明

どちらの本も、ショートショート、短篇を十数作、最後に原稿用紙百枚程度の中編を収録という構成である。
表紙は、二冊とも素人がPhotoshopで作成したものであり、訴求力のなさは変わらないので比較対象外とする。

売り上げ比較

ここで、2021年10月度の売り上げを比較してみる。

1.ドッペルゲンガーを殺せ: ショートショート・短編集

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本の注文数は1、KENP(読まれたページ数)は4,362
本の価格は99円(無料を除けば、AmazonKDPにおける最低価格)のため、注文数に対して支払われるロイヤリティはたかがしれている。
そのため、重要なのはKENP。KindleUnlimitedに登録している場合、読まれたページ数ごとのロイヤリティが発生する。ロイヤリティ単価は月ごとに変動するが、ざっくり0.5円/ページ
1冊目は販売して4年以上たつが、売り上げは毎月、安定しており、平均すれば一日の缶コーヒ代をまかなえるくらいにはなっている。職業作家になる技量も、度胸もない素人にとっては、十分すぎる収入である。
次に、二冊目の売り上げである。

2.猫の証明: ショートショート・短編集

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ごらんの有様である。
本の注文数は0、KENP(読まれたページ数)は272
2021年6月に出版してから5ヶ月が経つが、毎月、この調子である。二冊目の売り上げでは、何もたとえようがない。
一冊目の場合、同じ時期(2017年6月)の注文数は28、KENPは約12000あったことを思うと、比較するべくもない。

なぜ、売れないのか

作者にとって、一冊目も、二冊目も大差がない。
どちらも、ショートショート、短篇、中編という構成である。過去作を多く収録している関係上、一冊目の方が思い入れが強いが、クオリティに差はない。どちらかといえば、学生時代に書いたものの焼き直しが大半を占めている一冊目に比べれば、ほぼ新作が収められている二冊目の方が文章力は向上している。

また、ラストの中編はどちらも書下ろしである。一冊目は、手品を題材にしたミステリの「マジック・ビデオ」。二冊目は、ミステリ要素もあるが、どちらかといえば寓意性に重きをおいた「猫の証明」。どちらも気に入っているが、自分が書きたかったことをストレートに書いた「猫の証明」の方が愛着があり、表題作にもしている。

販促活動の内容も共通している。
特に、何もしていない。
周りの友人、知人に宣伝をする程度だ。最近になってtwitterを始めたことを鑑みれば、二冊目の方が販促活動に力を入れている。

しかし、二冊目は売れない。
本の価格、構成は同じ、内容も、宣伝活動も、個人的には、二冊目の方が若干、優れていると思っているのにである。
一冊目を買ってくれた人に「なぜ、読んでくれたのですか?」と直接、話を聞ければてっとりばやいのだが、そんなことはできないので、一冊目が売れて二冊目が売れない理由を自分なりに考察する。

考察1:タイトルがキャッチ―でない

一冊目のタイトルは、ドッペルゲンガーを殺せ
ショートショートの一作を表題作にした形だが、はっきりいってそんなに面白くない。
アイデアはいいのだが、文章と構成がイマイチで、オチの意外性が乏しいのである。はじめは、いちばん気に入っている「マジック・ビデオ」をタイトルにするつもりだったが、さんざん考えた結果、「ドッペルゲンガーを殺せ」を選択した。なぜなら「ドッペルゲンガー」と「殺せ」、いずれの言葉もインパクトがあり、収録作の中では、これがいちばんキャッチ―やしよさげやんと思ったからである。

かたや、二冊目のタイトルは、猫の証明。
当初の仮題は「吾輩は猫であった」だが、あまりにもあざとすぎると思い、オマージュ先を「人間の証明」に変えた経緯がある。
ただ、人間に転生した猫が自身のアイデンティティに苦悩する、という物語のテーマには即しているので、それほどおかしいタイトルだとは思っていない。
ただ、いかんせん、キャッチ―ではない

読者の立場になって考えてみる。名も知らぬ、ただの素人が書いた「猫の証明」というタイトルの小説を自分は買うだろうか。
考える必要もない。
手に取りさえしないだろう。
「ドッペルゲンガーを殺せ」がそれほどいいかと問われれば、首をかしげたくなるが、少なくとも「猫の証明」よりは目につくはずだ。

考察2:紹介文がキャッチーでない

紹介文は、二冊とも、収録作の中から三作品をピックアップしてあらすじを書き、さいごに小説の全タイトルを羅列する形式だ。
一冊目の方が優れている点としては、「全国高校生創作コンテスト入選」と申し訳程度のアピールをしていることだが、しょせんは高校生を対象にした、一般に知られていない文学賞である。読み手に与える印象は、「ふうん」だろう。
つまり、一冊目が秀でているのではなく、二冊目の紹介文に読者の購買意欲を削ぐような、明らかなマイナス要素があると考えるべきだ。再度、二冊目の紹介文を確認してみる。

吾輩は人間である。前世が猫だった――野良猫から人に転生した主人公と…

冒頭でやらかしている。
客観的に考えるまでもない。
著名な作家ならまだしも、「吾輩は猫である」の書き出しをマネた素人作家の小説など、誰が読むものか。こんなパロディをよしとする感性の持ち主が書いた小説など読むまでもない。面白くないに決まっている。
せっかく、本のAmazonページを開き、内容に目を通してくれたユーザさまに泥をかけるような紹介文。
さいわい、紹介文は専用の管理画面からすぐに修正できるので早急な改善が求められる。こんな考察などしている場合ではない。

考察3:カスタマーレビューが1つもない

自分がAmazonで小説を買うとき、星の数とともに、カスタマレビューには必ず目を通す。
2021年11月29日時点、ありがたいことに、1冊目にはカスタマレビューが11個もついている。いい評価もあれば、当然、わるい評価もあるが、感想は頂けるだけで嬉しいものである。

かたや、二冊目のカスタマレビューは0
ありがたいことに星は付いているが、レビュー数は0
「レビューが1つもついていない素人作家の小説を買うか?」と自問自答するまでもない。
地雷だと判断し、そっと閉じる。
商業的な成功になりふり構っていられないのであれば、モラルなど無視してサクラを使うのだろうが、いまのところ結果にコミットする必要がないので、こればかりは見守るしかない。

まとめ

以上の考察より、三冊目を出版するときは「本のタイトルをキャッチ―」にし、「読者の購買意欲を削ぐようなふざけた紹介文は書かない」ことを徹底し、同じ失敗を繰り返さないように意識付けすることを今後の再発防止策と致します。誠に申し訳ありませんでした。


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