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ホロコーストを疑っている人のために

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かつてナチスドイツが行ったホロコーストを「なかった」という人たちがいます。それらの主張の代表的なものを、ある海外サイトを参考に論破する試みです。
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2022年12月の記事一覧

「赤十字」をホロコースト否定に利用したがる否定派の悪あがき〜赤十字の「失敗」について。

ホロコースト否定派(修正主義者達)が、戦後に出された赤十字による第二次世界大戦中の活動報告書を悪用して、否定論の道具として使ったことは、以下で示した通りです。 ここで扱ったリチャード・ハーウッドによる『600万人は本当に死んだのか?』は、カナダ在住ドイツ人修正主義者のエルンスト・ツンデルがばら撒いたが故に告発されて有名なツンデル裁判が開かれるに至ったのですが、裁判でどのようにこの小冊子の赤十字に関する内容が検討されたかについては存じておりません。このツンデル裁判自体について

ホロコースト否定派による「赤十字報告書」のウソの紹介〜"Did Six Million Really Die?"(600万人は本当に死んだのか?)のデタラメを暴く。

追記:この記事は、以下の記事と併せてお読みください。 今回は、戦後の国際赤十字作成の報告書を大胆不敵に悪用した修正主義者による否定論についてです。この赤十字報告書とは、『赤十字国際委員会の第二次世界大戦中の活動に関する報告書(1939年9月1日〜1947年6月30日)(Report Of The International Committee Of The Red Cross On Its Activities During The Second World War (Se

アウシュヴィッツ・ビルケナウの「プルシアンブルー」

ロイヒター・レポートの最も重要な示唆は、殺人ガス室で本当にシアンガスが使われたのかどうかを検査するために、ガス室だったとされる箇所からサンプルを採取し、そのサンプルからシアン成分を定量的に検査したことです。その結果、否定派もシアンガスが使われたと認めている害虫駆除室と、殺人ガス室だったとされる箇所のシアン成分濃度に大幅な違いがあることがわかったのでした。桁数で3〜4桁も害虫駆除室の方がシアン成分濃度が高く、殺人ガス室跡ではそれに比べればほとんど検出されなかったと見做さざるを得