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ホロコーストを疑っている人のために

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かつてナチスドイツが行ったホロコーストを「なかった」という人たちがいます。それらの主張の代表的なものを、ある海外サイトを参考に論破する試みです。
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2021年4月の記事一覧

バビ・ヤール渓谷の虐殺に関する追加資料(1)

今回は、前回の続きとしてソビボルの否定論にしようかなと思ったのですが、なかなか探し出す事ができず(否定論だけじゃなく、反否定論とセットでないといまのところ理解が難しいので)、今回はバビ・ヤールの追加資料を紹介したいと思います。 バビ・ヤールについては以前に、翻訳しておりますが、これだけで十分なのですけど、実際には証拠資料はもっとあるそうなのです。バビ・ヤールについては、自称航空写真専門家の失踪したジョン・ボールがアホなことをやって、アンチ否定派にあっさりバレてしまい、ジョン

アウシュヴィッツ以外の絶滅収容所を知る(5):ソビボル絶滅収容所の基礎

今回は、アウシュヴィッツ以外の絶滅収容所を知るシリーズの第二弾として、ソビボル絶滅収容所を紹介します。英語Wikipediaの翻訳となりますが、めちゃくちゃ充実しています。日本語オンリーでこれほどの情報を得ることは出来るのでしょうか? 多分ですけど、日本語で知ろうとすると、日本語版Wikipediaに現在紹介されている四冊程度の書籍+アルファくらいしかないと思います。従って、英語版Wikipedaを紹介する意義は十分あると判断し、翻訳いたします。Wikipedia記事の翻訳で

ホロコースト否定者は馬か鹿か、それとも豚か〜ゲルマー・ルドルフを例にして。

馬さんも鹿さんも豚さんも、別に差別する意味で言っているのではない。ただ、我々人間様は、「発達した脳」というある意味とても厄介な邪魔者がある。馬・鹿・豚さん達だって、その限られた脳力を精一杯使っているだろうが、我々人間様は、その脳に関し、馬・鹿・豚さんよりもはるかに高度に出来ている。「高度に」という言い方は差別的なので本当は言いたくないが、分かりやすくそう言っているだけである。 その意味でホロコースト否定者は、ほんとに脳を使っているのか? と思うわけである。実例で説明しよう。

アウシュヴィッツの様々な議論(31):ホロコースト否定論の動画をみてみよう-5 & 死亡記録の改竄

Denialbudの動画、ラストです。今回は、短いので別の記事をついでに最後におまけで翻訳しておきます。それは何かというと、ソ連(ロシア)の公文書館にあったとされる、アウシュヴィッツに関する大量の資料が冷戦後公開され、その中にあったアウシュビッツの囚人に関する死亡簿が、実は死因などが虚偽報告されている証拠です。 否定派は死亡簿を使って、殺されたという事実はない、のような主張をしてくることがありますが、死亡簿は全く信用できません。裏付けがあれば別ですが、今回の翻訳記事はその逆

アウシュヴィッツの様々な議論(30):ホロコースト否定論の動画をみてみよう-4

このレベルの、ほとんど資料参照もない「脳内議論」ばかりの動画に付き合ってると、こちらもレベルが下がりそうな気もしなくもありませんが、そこは、HCサイトブロガーのハンス・メッツナーが色々な情報を含ませてくれますし、また、動画であるが故、見たこともない動画もいくつか出てきますので、それなりに情報収集の機会にはなってます。 今回の記事はこの冒頭文を書く前に翻訳済みですが、この動画で集中攻撃を浴びているダリオ・ガッバイ氏が俳優だったなんて全く知りませんでした。ガッバイ氏は私が以前自

アウシュヴィッツの様々な議論(29):ホロコースト否定論の動画をみてみよう-3

私自身は、動画のDenialbudのような議論を「脳内論理」とよく呼びます。火葬能力の議論やガス質に関する議論のほとんどは「脳内論理」に過ぎず、実証性がありません。科学理論の証明は、仮説と実証の二つが必須です。例えば、あの相対性理論のアインシュタインは、一般相対性理論に関し、水星の近日点移動について説明出来たのでホッとしたという話も聞いたことがあります。 では、否定論があるとして、否定論者にとってほんとに必要な仮説と実証ってなんなのでしょう? それは可能な限り通説側に立って

アウシュヴィッツの様々な議論(28):ホロコースト否定論の動画をみてみよう-2

Denialbudのような議論はネットでもよく見かけるものであり、「どうしてそんな簡単にそんな屁でも無い疑惑を信じる人がいるのだろう?」と私などは思ってしまうわけですが、自分の考えたホロコースト物語に合わないからと、資料もほとんど見ずに思い込んでしまうのは何故なんでしょうね? 私なら、疑問があれば資料を調べたくなります。 早速どんどん翻訳して確認していきましょう。 ▼翻訳開始▼ 「アウシュビッツ 驚きの隠された真実」の視聴者ガイド(10~16分) 視聴者ガイド「アウシ

アウシュヴィッツの様々な議論(27):ホロコースト否定論の動画をみてみよう-1。

ホロコースト否定論は、全世界的にネットなどで規制されることが多くて数年前に比べるとホロコースト否定論動画はYoutubeなどからめっきり減ったそうです。なのに何故か日本では規制が緩いようで、日本人作成の動画は規制されないようです。日本なんか無視、なんですかね? まー、特に影響も微々たるもののようなのでそんなに気にする必要もないとは思いますが、欧州ではスウェーデンがホロコースト否定の規制に乗り出すとのニュースも見かけました。 とは言っても、YoutubeやFacebook、T

アウシュヴィッツ以外の絶滅収容所を知る(4):マイダネク博物館によるガス室の解説

マイダネク収容所には、ソ連による解放時に大量の遺体や骨などもあったことも知ってる人は知ってると思います。「Majdanek bone」などで画像検索すると大量に画像がヒットします。まー、否定派に言わせれば「疫病死体の骨だろ!」でお終いにされるのでしょうけど、こうした写真をたくさん見せつけられてしまうと、ほんとに八万人弱しか犠牲者がいないの? と思えてなりません。八万人弱でもものすごい数ではあるのですが、他の絶滅収容所は十万人は軽く超えているので、絶滅収容所と呼ぶ割りには少ない

アウシュヴィッツ以外の絶滅収容所を知る(3):マイダネク収容所の第7ガス室は実は存在しなかったという話。

マイダネク収容所を学ぶシリーズ、ではなく、アウシュヴィッツ以外の絶滅収容所を学ぶシリーズなのですが、マイダネク収容所に苦戦しております。何せ、図面などをの情報が少なく、出回っている図面を見てもどこに何があるんだかわからないレベルですので、とにかく少しでも理解を進めたいと思います。 今回は、マイダネクに関連した記事で最も翻訳したかったいつものHCサイトの記事です。この記事で取り上げられているのは、前回のマットーニョの記事にあったこれです。 マットーニョの記事では、この部屋Ⅶ

アウシュヴィッツ以外の絶滅収容所を知る(2):マイダネク収容所のガス室の謎〜否定論をまずは読む。

アウシュヴィッツ収容所の理解が割と簡単なのは、ルドルフ・ヘスの自伝や裁判での証言などで仔細に分かりやすく説明されているからです。アウシュヴィッツはホロコーストの象徴でもあって、ヘス以外からの情報も非常に豊富であり、また否認論もアウシュヴィッツばかり攻撃するので、その分、細いことまで多くの情報に溢れています。 それに引き換え、同じ種類の収容所であるはずのマイダネク強制・絶滅収容所については、議論でもほとんど名前すら出てきません。もちろんそれなりに否定論を目にすることはあります

アウシュヴィッツ以外の絶滅収容所を知る(1):マイダネク収容所の基礎と収穫祭作戦

ホロコーストに関しては、ナチスの強制収容所、あるいは絶滅収容所を色々と知る・語る・議論する、のは当然避けられないのですが、私などは数多くのホロコースト関連記事を作ってきて(大半は翻訳)いるというのに、その数さえ未だ知りませんし、アウシュヴィッツのことですら未だクレマトリウムのうちⅣとⅤはよく知らないくらいに、実際のところ全然わかっておりません。ですから、せめて主要な収容所程度は、ある程度は知っておかないといけないなぁと常々思っています。 そこで、今回から何回になるのか分かり

ソ連のホロコーストでは誰が加害者だったのか?(3)

今回のトプ画写真もソ連のホロコーストでのものですが、これもまたよく間違えられる写真の一つです。確か、私がネットで見た中ではバビ・ヤールのものと誤って紹介されていましたが、これはウクライナのヴォルィーニ州(今はもうないらしい)、あるいはリヴノ州にあるミゾックスという名の集落にある谷での虐殺光景(1942年10月14日)を捉えた写真だそうです。これまたWikipediaで説明されてます。英語版Wikipedia恐るべしですね。 で、ソ連ホロコースト加害者は誰か?シリーズの続きの

ホロコーストのたった一枚の写真が、ウクライナ・ミロポルで起きた虐殺の真相を暴き出す。

今回もまたトプ画写真で先ず話題提供。流石にこの画像をご存知の方はいないんじゃないでしょうか? こちらのサイトの写真です。 こうした現地射殺の場面を写した写真は、前回までにいくつか紹介しているものの、流石にこれだけの至近距離の撮影で、撃った瞬間の写真は珍しいと思われます。 さて今回は、この記事を全訳紹介したいと思います。記事は、この写真についてなんと10年もかけて調査をした、アメリカのホロコースト記念館で働く歴史家のウェンディ・ロウアーの著書『THE RAVINE』からの引