マガジンのカバー画像

ホロコーストを疑っている人のために

330
かつてナチスドイツが行ったホロコーストを「なかった」という人たちがいます。それらの主張の代表的なものを、ある海外サイトを参考に論破する試みです。
運営しているクリエイター

2020年9月の記事一覧

アウシュヴィッツに関するマットーニョの反論、その3:目撃者たち

イタリア人の修正主義者であるカルロ・マットーニョの『アウシュヴィッツ:その健全な真相』への、Holocaust Controversiesブログサイトの執筆者の一人、ハンス・メッツナーによる批判の三つ目です。テーマは「証言」。 もちろん、修正主義者たちはホロコーストの肯定証言など絶対に認めません。修正主義者の証言否定の一般的手法は、内容に誤りがあれば、事実と矛盾しているから嘘である、として証言者を嘘つきにしてしまい、全面的にそれら証言者ごと証言を証拠から取り除いてしまう、と

アウシュビッツの火葬場に関するマットーニョの反論:その2火葬場でのガス投入について

イタリア人の修正主義者であるカルロ・マットーニョによる『アウシュヴィッツ:その健全な真相』に対する、反修正主義派のブログサイト、Holocaust Cotroversiesの執筆者の一人、ハンス・メッツナーによる反論記事シリーズの2回目です。(2022.9全面再翻訳) ユダヤ人絶滅の現場となったアウシュヴィッツ・ビルケナウ収容所にあったガス室は、クレマトリウムに併設されていました。ビルケナウには基本的には四つのクレマトリウムがありましたが、うちⅡとⅢ(アウシュヴィッツ第一収

ホロコースト否認論を否認するテスト-18「否認論者が無知な人を騙す手口の一端とホロコーストの雑多な証拠類」

否認論者たちはあの手この手であなたを否認論へ誘います。ホロコーストの証拠ってなんですか? と言われるとそこそこに詳しい人でも、一瞬キョトンと考えるのではありませんか? ごくごく一般的には、そもそも証拠など知る必要はありません。ホロコーストはあった、と普通に思ってりゃ良いんです。でも…… 実は『シンドラーのリスト』は史実ではなくフィクションであり、証言を元に創作したものであるに過ぎず、例えばプワシュフ収容所の司令官であったアーモン・ゲートがバルコニーから囚人を狙撃したという事

ホロコースト否認論を否認するテスト-17「ゲルシュタイン報告とはなんぞや?」

えー、この件、よく知らなかったんです。「お前ゲルシュタイン報告も知らんかったの?」と、もしかしたら言われるかも知れません。私はひたすら嗅覚・勘だけで生きており、名前は知っていましたが、ゲルシュタイン報告にはどうも触手があまり働かなかったのです。 今、熱中と言うか、ホロコースト関連ではまってる調べ物は、『アイヒマン調書』(岩波現代文庫)でして、「大尉殿!それは違います!」がなかなかに面白くて(笑)。 『アンネの日記』も『夜と霧』も読んでないという、ホロコーストに興味を持つと

クレマトリウムⅡのチクロン導入穴の発見と、主収容所のクレマトリウムⅠのチクロン導入穴。

アウシュヴィッツ・ビルケナウ収容所のガス室で使われた毒ガスが、チクロンBと呼ぶ害虫駆除剤から発生する青酸ガスであったことはよく知られています。 第二次世界大戦後以降、わりと大きな誤解として、この毒ガスがシャワーを通じて部屋に導入されたものと思われていたことがあります。たとえば以下のようなイメージかと思います。 シャワーから毒ガスが出てくる、とは戦時中の噂としても流布していたようですが、シャワー配管(のようなもの)を使ったのは、安楽死作戦(T4作戦)であり、流された毒ガスは