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楽園ならざる場所だからこそ


学校は楽園であってはならない。

あえて……あえての表現で、乱暴な言い回しを許していただけるならば……
学校という場所は、子どものための遊園地であってはならない。
というのが私の持論です。
この場合、遊園地という表現は、楽しい場所、楽しませるサービスのある場所。
という意味になります。
では何をするかと言えば、辛いこと、苦しいことを学び取る場であると私は認識します。
いわゆる、子どものわがままが抑えられ、好むと好まざるとに関わらず、集団の論理で一日の物事が進む。
その実態を学ぶ場が、学校だと思うのです。
そして……その
『集団の論理』
というものも、先生たちの思惑で、いくらでも都合のいいように解釈され運用されます。
では……学校において、先生は絶対の権力を持った独裁君主なのか、といえばさにあらず。
子どもさんから見れば、それなりに大きな権力を持っているように見える先生も、実はややこしい大人のルールでがんじがらめにされています。
そういう……生きにくさ、過ごしにくさを体感する場所として、学校というものがある、と思うのです。
でも、これはあくまで私の意見。
所詮は一個人の一意見に過ぎないものです。
中には……
『そんなことはない。自分の学校生活は楽しかった、幸せだった』
という方もいらっしゃるでしょう。
しかし、よく思い出してください。
『学校が楽しかった』
という、幸せな体験をした方は……
先生と話すのが楽しかった。
友だちと過ごす時間が楽しかった。
授業が面白かった。
ということで、巡り合わせが上手くいって,楽しく過ごせていたのかも知れません。
つまり、相性のいい友だちに出会えなかったり、子どものことを見てくれない先生が担任だったりすれば、
たちまち、楽しかったものも辛くなり、それまで見えていなかった、苦しい面が見えて来るでしょう。
遊園地というものは娯楽の場所です。
最初から、訪れた来客を楽しませる場所としてそこにありますが……
学校というのは、そうではありません。
学校の本分は、生きる力を身につける場であります。
学校が楽しいという子は…必ずしも学校という場所そのものが楽しいのではなくて……
あくまでも、先生、友だち、授業……といった
『繋がり』や『巡り合わせ』
が楽しいのです。
これは、学校そのものが場所として楽しい、というのとは違う……と、私は考えます。
学校生活を楽しめない子どもさんは、自分の力で校内に居場所を作り、気の合う友だちを増やし、どうしたら授業が面白くなるのか……
居心地の悪さを跳ね除けて、自分で考えていかねばなりません。
そういう経験こそ、大人になってからの、生きる力の……
大事な土台、人生の基礎になっていくものかもしれないのです。
もちろん、居心地の悪さが自分の限度を超えれば
『学校を休む』とか『学校に行かない』
ということも、選択肢に入れて構わないと思います。
『学校』という場所が地域にあることを通して
『そこから逃げる』
ということを学ぶのも、人生の危機管理という意味では大切な経験です。
逃げることを考えず、逃げ道を探さずに真正面から向き合えば……心を病んだり身を壊してしまうかも知れません。
難しい課題にぶち当たった時、先に進むか一旦休むか、はたまた、別の場所に移るのか……そういう判断力を身につけるのも
『学校』という場所があればこそ……可能になる事だと思うのです。
『障害のある子をどの学校に通わせるか』
という話になってくると、
よく『障害児はいじめられる』とか『障害が理由になって授業に着いて行けない』
なんてことが話題になり
『だから特別支援学校、または支援学級が必要になる』
という結論になってしまいがちですが……
授業についていけない子なんて、普通校にいるような、障害のない子にも、実はたくさんいるものです。
であれば……いっそのこと、授業の遅れがあったとしても、障害児が普通校の、普通教室に通って悪いという道理がありません。
いじめというのも、あってはならない、あって欲しくない事ではありますが……
いじめや差別はどこにもあります。誰でも経験者になる可能性があります。
人間に思い込みや偏見がある限り、無くすことはできないものです。
そしてそれは、子どもの頃だけでなく大人になってからも、ずっとついて回ります。
であれば、小さなうちからこれに慣れておき、被害を最小にする対処法を身につけることも大切です。
もちろん、先に述べたように、一個人の努力や対処だけでどうにもならない場合には、登校を拒否したり、転校したりして居場所を変え、一からやり直すことも必要になるかと思います。
学校という場所は、良くも悪くも社会の縮図であり、社会の有り様が投影される鏡だと私は考えます。
そこは決して楽園という訳では無いけれど……
むしろ楽園ではないからこそ、そこから学べることは大きい。
社会に出る上で、きっと子どもさんの役に立つ、と私は考えています。

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