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知的生産のためのインパクトリーディングという読み方

なんのために本を読むのでしょう。
問題の答えを知ることでしょうか。
今までにない問題を発見したり、新たな発想をすることでしょうか。

この二つは読み方は真逆のように工夫するとよいと考えています。簡単にご紹介します。

答え探し読み

効率的に答えを探す読書の極端な例は、犯人を知ってから読むミステリー小説のようなものです。驚きがありません。迷いもありません。心的な負担はあらかじめ取り除かれています。時間は短縮されますが、衝撃はもたらしません。

近年の多くの読書法は、この効率的な答えを探す読書がおおいと思います。たとえば「50本の名著を一冊で」といった要約本は売上上位の常連です。本はまず目次を眺めたり、ぱらぱらと全体を読んだり、各章のまとめを先に読むことから始めたりします。翻訳書であれば訳者あとがきも始めに見ておきたいところです。犯人を見つけてから読みはじめる読み方です。

解法を見出して読み終えたとき、答え探しとしての読書に成功したといえます。

しかしこの読み方は答えを探すことには向いていても、新しい発想から遠ざけると私は考えています。


インパクトリーディング(衝撃読み)

今までにない問題や解法の発見は、動揺や心的な衝撃によって生じることがあります。感情が刺激されることによって思いがけない発想へと繋がるからです。

それなら、本からは効率的に情報を得るのではなく、いかに自分自身に衝撃を与えるかを評価基準とした読み方もできるでしょう。

読書を通じた衝撃体験を考えてみましょう。

1.予測の裏切り

衝撃とは、自分の予測とは異なる事実が目の前に現れることによって生じます。あらかじめ予想できていたら驚きようがありません。ですから、いかに「はじめて」を維持できるかがポイントになります。ですから、目次や、まとめといったところを避けて読むのです。概要の把握は予測に繋がり、衝撃が和らいでしまうからです。

2.解像度の高さを味わう

また、めちゃくちゃ詳しくて驚いたりします。「解像度が高い!!」といった衝撃です。ところが、各章のまとめを先に読むと分かった気になってしまいます。すると、他に類を見ないほど解像度の高いの文章を読んでも、先のまとめに意識が走り、細かな描写は読んだつもりで飛ばしてしまったりします。このように考えると、著者のまとめといった配慮は、必ずしも読者の心的衝撃には繋がりません。

3.自分なりの驚き最大の法則を見つける

驚くことは人によって異なります。簡単に感動する人もいれば、じっくりと集中することで驚きに到達する人もいるでしょう。自分の驚きが最大になるように、過去の読書体験から、自分が驚いてメモや発想が止まらなくなったときを思い出してみましょう。

そこで分かったパターン、つまり自分の驚きが最大になる法則を見つけると、発想のための読書に役立つでしょう。

インパクトリーディングでしないこと
 目次を読むこと
 最初に章ごとのまとめを読んで概要を把握すること

インパクトリーディングで推奨すること
 目次やまとめといった、読書のまとまりを避ける
 過去の驚き体験から、驚き最大の法則を見出す

これらはあたかも非効率的な読み方のように見えるかもしれませんが、心に衝撃を与えやすくする点で見れば効率的になるでしょう。

衝撃を持って読み終え、メモや発想が止まらないとき、発想としての読書に成功したといえます。

次に手に取る本でやってみてください。

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