見出し画像

協調関係から考える!Local muscleとGlobal muscle

皆さん、こんにちは!

LOCO LAB.ライターの塚田です(^ ^)
今月はこの一年間の全記事の中で、各関節に関係するものをまとめるということがテーマになっています。

今回自分がまとめる関節は「脊柱」です!
脊柱に関する評価やアプローチは、どの疾患・関節の記事でも少しは触れられるくらい、本当に重要視されるポイントでした。

ただ、どの記事も共通して視ている脊柱のポイントは「力学的に負荷を少なくする柔軟性の確保と、動作に先立って制御される安定性の確保」です。

これを実行するために、Local muscleとGlobal muscleの関係性を理解することが重要であると思います。

そこで今回は脊柱の中でも、Local muscleとGlobal muscleについての機能と、その評価及びアプローチについてまとめていこうと思います。


●Local muscleとGlobal muscle

皆さんはLocal muscleとGlobal muscleというものを聞いたことがありますか?

体幹のLocal muscleとは
体幹の深層に存在する筋であり、脊柱や骨盤帯に直接付着し、骨性支持の少ない腰部においては腰椎自体の安定性を高めるとともに、腹圧を高めることにより腰部全体の安定性を向上させます。

一方でGlobal muscleとは
体幹の浅層に存在する筋であり、脊柱には直接付着せず、胸郭と骨盤を連結します。その為、骨盤に対して胸郭のポジションを調整し腰椎部における支持性を高めています。

このLocal muscleとGlobal muscleに関して、Comefordらは筋機能の特徴をより詳細に捉え、以下の3つに分類しました。
(M. J. Comerford et al:Functional stability re-training: principles and strategies for managing mechanical dysfunction.Manual Therapy (2001) 6(1), 3–14)

◯ local stability muscle
◯ global stability muscle
◯ global mobility muscle

これらの筋の特徴と機能については以下の通りになります。

スクリーンショット 2021-12-15 18.28.37

スクリーンショット 2021-12-15 18.28.41

スクリーンショット 2021-12-15 18.28.45

これら3つの分類のうち、それぞれどの筋が分類されるのかは以下の通りになります。

スクリーンショット 2021-12-15 18.59.09

ただこれは一例であり、動作によってはstabilityとしての機能ではなく、mobilityとしての機能を有することもあり、逆のパターンもありえます。


●Local muscleとGlobal muscleの協調

ではこれらの機能が実際の動作では、どのように使われているでしょうか?

動作が安全に円滑に行われる為には、関節周囲が安定する必要性があります。関節の安定性には構造的安定性と機能的安定性の二つがあります。

構造的安定性は椎骨・靭帯・椎間関節・椎間関節関節包などの受動的組織によって得られる安定性で、関節の最終域付近の制御に最も寄与します。例えば、腰椎の最大伸展位では、前縦靭帯、椎間板の前方部、椎間関節にて制限されます。 これらの組織があることにより、動きを (強制的に) 止めることが可能となります。

一方で、機能的安定性とは関節周囲の筋の収縮によって得られる安定性になります。これを主に行っているのはlocal stability muscleやglobal stability muscleであり、脊柱の分節一つ一つの動きを制御しています。
この制御が発揮されるのは関節可動域の中間域で、受動的組織にかかるストレスを最小限に抑える働きがあります。

動作の際は、先行してこの機能的安定性である、local stability muscleなどが収縮し、単関節を安定させます。この単関節の安定性が得られることにより、よりモーメントの大きいglobal mobility muscleが働くことで負荷の大きい関節運動や速い関節運動に対し、安全に遂行することが出来ます。
ただし、急な外力や大きな外力が生じる時はglobal mobility muscleがより働き、衝撃を吸収します。

このようにLocal muscleとGlobal muscleの相互作用により体幹全体の剛性が高まることで、体幹はもちろんのこと、四肢の円滑な運動を遂行することが出来ます。

スクリーンショット 2021-12-15 20.32.20


しかし、痛みなどが生じた場合、多裂筋深層や腹横筋などのLocal stabirity muscleの筋活動のタイミングの遅延や活動低下が生じます。これにより脊柱の分節間における安定性は低下し、中間域での運動制御が困難となります。

そのようになると構造的安定性を担う、靭帯や椎間関節、関節包などの受動的制御の組織に安定性の確保を頼らざるを得なくなり、これらの組織に異常なストレスや歪みを生じます。それによりまた疼痛へとつながり負のループが生じます。

スクリーンショット 2021-12-16 0.43.43

また臨床上よく見られるのは、local stability muscleの活動低下によりglobal muscleの過活動が生じ、分節的な制御が困難となっている状態です。その状態で動作を行うと、最も動きやすい分節に挙動が集中し、その分節の周囲組織にストレスがかかり痛みにつながります。

スクリーンショット 2021-12-16 1.03.10


●Local muscleとGlobal muscleの協調を図るポイント

では、このような状態を改善する為にはどのようにしたら良いでしょうか?
ポイントはいかにLocal muscleの運動制御を賦活し、Global muscleの活動につなげるかです。

その為のポイントは以下の3つです!

スクリーンショット 2021-12-19 0.10.25

この段階に沿って、アプローチを進めて行くことにより、local muscleとglobal muscleの協調を図ることが出来、疼痛の軽減や動作の安定性向上につながると考えています。

次の章からはこれら3つのポイントに対し、評価とアプローチを紹介していきます。なおその内容は、今まで臨床+の記事内で紹介されたものの中から、まとめてお伝えしたいと思います!

ここから先は

5,292字 / 24画像
この記事のみ ¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?