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重心位置と脊椎のつながりから考える!頸部痛に対する評価とアプローチ

こんにちは^ ^
LOCO LAB.の塚田です。今月は頸部・上肢帯についての特集になっているため、ボクの方では頸部痛に対して触れていこうと思います。

今回頸部痛に対する評価やアプローチについて書きますが、頸部は神経や椎骨動脈が近くを走行する為、直接アプローチを行う内容を書いてしまうと、力加減や介入方向が上手く伝わらず、重篤な症状を引き起こしてしまうリスクが生じます。

その為、今回ボクが伝える内容は、脊椎の運動学とつながりを元に、重心位置の偏位によって頸部にどのようなストレスが生じ、疼痛につながるのかということをポイントに書き、それに対する評価とアプローチについて書いていこうと思います。

◯頸椎の運動学

頸椎は環椎(C1)〜隆椎(C7)まで7つの骨で構成されています。そしてこれらは上位頸椎と下位頸椎に分類されます。

上位頸椎は後頭骨(C0)、環椎(C1)と軸椎(C2)により構成されます。
環椎はその名の通りリングの形をしており、椎体が存在しません。そのリングの中に軸椎の歯突起がはまり込み環軸関節を成します。

軸椎は大きな歯突起と大きな棘突起が特徴です。また他の頸椎と異なる点として環椎との椎間関節をなす上関節面と、第3頸椎と椎間関節をなす下関節面が同じ直線上にないことが挙げられます。

その為、上位頸椎は下位頸椎と比べて椎間関節がやや前方に位置しています。

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一方で下位頸椎に関しては、ボクたちイメージしやすい形をしており、椎体と後方に椎弓が伸びて棘突起が存在し、それにより椎孔が形成されます。

下位頸椎の椎間関節の角度は、前額面に対して45°傾斜しています。その為、屈曲-伸展、回旋、側屈の3軸方向に自由に動かすことができます。


このように構造上、自由度が高い頸椎ですが、運動方向により可動しやすい部位は異なります。

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上記の図を見た傾向を簡単にまとめると

屈曲ー伸展では、上位ではC0-C1、C1-C2が最も動きが大きく、下位ではC4-C5、C5-C6が最も動きが大きい傾向にあります。

側屈では上位よりも下位の方が比較的可動域を有しており、C2-C3、C3-C4、C4-C5と比較的中位の頸椎が動きやすい傾向があります。

回旋は、上位のC1-C2が最も大きな可動域で、その他はわずかです。ただその中でもやはり中位頸椎(C3-C6)が比較的可動域を有しています。

このように各運動方向により分節間で動く範囲は異なりますが、傾向として上位頸椎とC3-C6は可動域は大きく、逆に上位と下位の境界であるC2-C3、頸椎と胸椎の境界であるC7-Th1は可動域が小さいことが挙げられます。

 

◯重心の位置と頸椎運動

頸椎は、4〜5kg程度ある頭部を支持するとともに、身体活動において常に先導的に動作を誘導したり、偏位した重心位置を修正しようとするバランス制御機能としての働きがあります。

それが故に重心位置や胸椎・腰椎のアライメントに大きく影響を受け、連動性を有します。この章では、その重心位置や胸椎・腰椎のアライメントと関連する頸椎の運動性について説明していきます。

まずは矢状面上の重心位置と運動方向における連動性についてです。矢状面上での重心位置は前方偏位と後方偏位があります。

上半身重心はTh7−9の椎体前面に存在します。

この上半身重心が後方に偏位すると、骨盤は後傾し、胸椎・腰椎は屈曲します。それに伴い、下位頸椎は屈曲し、上位頸椎は伸展傾向となります。

反対に上半身重心が前方に偏位すると、骨盤は前傾し、胸椎・腰椎は伸展します。それに伴い、下位頸椎は伸展し、上位頸椎は屈曲傾向となります。

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また逆に頸椎の運動においても胸椎や肩甲骨が連動します。

頸椎が屈曲した際は、上位胸椎も屈曲が生じます。肩甲骨もその動きに応じ、前傾・挙上します。

逆に頸椎が伸展した際は、上位胸椎も伸展が生じ、肩甲骨は後傾・下制します。

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そしてこのような重心位置と頸椎の連動性は、前額面上や水平面上でも見られます。

上半身重心が前額面上、一側方に偏位した場合、下位頸椎と上位頸椎は対側に側屈・回旋が生じやすい状態となります。例えば、上半身重心が左側方へ偏位した場合、頸椎に関しては右回旋・右側屈しやすいという形になります。

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また逆に頸椎が側屈や回旋を行った際、胸椎や肩甲骨で次のような連動性が見られます。

頸椎の側屈が生じると、上位胸椎も同側に側屈します。肩甲骨に関しては同側が下制、対側は挙上するアライメントを呈します。

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頸椎の回旋については、上位胸椎も同側に回旋し、肩甲骨では同側は内転し、対側は外転するアライメントを呈します。

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このように頸椎の運動と重心位置、体幹・上肢のアライメントは密接な関係を有しているため、どこかが制限を受け、可動性が乏しくなると、他部位で過剰な運動が生じ、結果それが過剰なメカニカルストレスの発生を引き起こし、疼痛へと繋がります。

この辺りについてもう少し具体的に話します。

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