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ブリュノ・クレメール主演 メグレ警視32「メグレは二つに見える Maigret voit double」(2000)

原作:「誰も哀れな男を殺しはしない On ne tue pas les pauvres types」(1947)
脚本:ピエール・グラニエ=デュフェール、ドミニク・ルレ
監督:フランソワ・ルチアーニ
本編:89分


あらすじ

モーリス・トランブレという男が、5階の自宅で着替え中に銃で撃たれて殺された。窓の外から撃たれたようだ。
妻によると、地味で浮気もせず、可愛がっているのは小鳥だけだった。
調査を進めるうちに、努めているとされていた会社は4年前に退職していることが判明する。
しかし、毎朝家から出て行って、給料は明細と一緒に妻へ渡していた様子。
メグレは、甥で刑事のラシュナルにも捜査協力を要請し、男の真実の姿を探していく。

視聴記録(原作の内容にも触れています)

原作はポケミスで40ページ程度の中編となります。
そのため、原作から多くの変更点があるドラマとなっています。

一番大きなものとしては、モーリスが大金を手に入れた理由になります。
原作では宝くじの当選金だったのですが、ドラマでは横領した金に変更になっています。
これにより、「平凡な男が幸運を手に入れ、会社を辞めて第二の人生を歩もうとしたが上手くいかなかった」という人物像から、「小心者の男が金に取りつかれて横領したが、バレるのが怖くなり会社を辞めて第二の人生を歩む」という形に変わることになりました。

周辺の人物像を原作よりも掘り下げているのも特徴です。
特に娘は、メグレの甥・ラシュナルとの関係を含めて、肉付けが多かったです。
ただし、家族の掘り下げを原作よりもしたのに、最後に金の横領問題に集中してしまい、一気に家族の存在感が無くなるのは少し残念に思いました。

ドラマのモーリスは自宅でも小鳥を飼っていましたが、モーリスの死後に妻によって餓死させられるという恐ろしい描写もあります。

事件の設定が違うため、犯人も変更されています。

様々な変更により、原作とは「哀れな男」テーマの描き方が変わっています。原作の方が好きではありますが、一本のドラマとしては中々面白く観れました。

全く本編とは関係ない話ですが、去年放送されたアニメ『名探偵コナン』第1095話「消えた男の夢」が、名探偵コナン版・哀れな男という設定になっており、一人で「これはもしかして設定の参考にした可能性も!」と少し面白くなりました。

キャスト

    ジュール・メグレ/ブリュノ・クレメール
       ラシュナル/アレクサンドル・ブラッスール(31~39)

  エヴリン・トランブレ/ローラ・デュティユル
       マジーヌ氏/アラジン・リーベル
フランシーヌ・トランブレ/エレオノール・ベルンハイム

ブリュノ・クレメール主演シリーズ視聴記録

☆がお気に入り、〇がお気に入りには後一歩だけど楽しめた作品、△が思うところはあるけどドラマとしては悪くない作品です。
全て現時点での評価になります。

〇01「メグレと消えた死体」(1991)
 04「モンマルトルのメグレ」(1992)
☆06「メグレと深夜の十字路」(1992)
☆07「ホテル・マジェスティックの地下室」(1993)
☆08「メグレたてつく」(1993)
☆11「メグレと宝石泥棒」(1994)
☆16「メグレと老婦人」(1995)
☆19「サン・フィアクル殺人事件」(1995)
☆23「パリ連続殺人事件」(1996)
☆25「聖歌隊少年の証言」(1997)
△31「ジュモン51分の停車」(1999)
△32「メグレは二つに見える」(2000)
△37「メグレとワイン商」(2002)
 38「メグレと政府高官」(2002)
〇40「メグレと奇妙な女中の謎」(2002)
☆41「メグレと田舎教師」(2002)



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