見出し画像

ブリュノ・クレメール主演 メグレ警視 第26話『リバティー・バー』(1997)紹介と感想

原作:ジョルジュ・シムノン『リバティー・バー』(1932)
原題:Maigret et le Liberty Bar
脚本:ベルナール・マリー
監督:ミシェル・ファヴァール
時間:92分


あらすじ

メグレは、「波風を立てるな」という指令を受けて、ウィリアム・ブラウンという男がナイフで刺殺された事件の捜査にアンティーブまで来た。
ブラウンは愛人であるジーナとジーナの母親・マルティニ夫人と一緒に住んでいたが、生活費を手に入れるために時々長期間のあいだ出かけることがあった。
ブラウンがカンヌに出かけていることを突きとめたメグレは、カンヌでブラウンが好んで立ち寄る〈リバティ・バー〉へと足を運ぶ。
そこには、マドという女主人とシルヴィという若い娼婦が居た。
4人の女が絡む事件は、どのような顛末を辿るのか。


紹介と感想

海辺の映像が綺麗な本作は、メグレの機嫌が原作よりも悪くないことが先ず印象に残りました。
そして、原作以上に明るさが目立つブティーグ刑事の姿も印象に残ります。

リバティー・バーを見つけるまでの捜査は結構あっさりと終わり、特に苦労せずにリバティー・バーへ辿り着きます。

バーに関しては、バーの奥の空間が本を読んでいた時の想像よりも陽の光が強めに入り、別世界というより普通の家庭みたいな感じでした。
マド(原作のジャジャ)も原作とは見た目や印象が違います。

ドラマの時間的な関係もあるのか、捜査が進まず立ち止まっている様子があまりなく、メグレがリバティー・バーで感じた別世界感や捜査中に感じる鬱屈に焦点を当てる演出も無いため、原作の主要イベントはほぼ拾っているにも関わらず、原作とはだいぶ食べ心地が違うドラマになっています。

原作自体が物語全体としてはやや薄味な部分があり、ドラマではリバティー・バーの雰囲気が薄まっている分、終了後にあまり引っかかりのないドラマだったと思います。

ロケ地は美しく、観光地を舞台にした番外編というドラマとしての強みを活かした面白さはあったため、観ている間は楽しめます。


キャスト

    メグレ警視/ブリュノ・クレメール

       マド/パスカル・ロベール
  ブティーグ刑事/フィリップ・ウシャン
    シルヴィー/マリナ・ゴロヴィーヌ
 ミス・マルティニ/フランソワーズ・クリストフ
ジーナ・マルティニ/ジャンヌ・グピル
     ジョセフ/エリック・ブーシェー
 ハリー・ブラウン/ギャビン・バン・デン・バーグ


他の映像化

ルパート・デイヴィス主演(英) ※日本未紹介
 シリーズ1 第6話「Liberty Bar」(1960)

ルイ・アルベシエ主演(仏)「Liberty Bar」(1960)※日本未紹介

ジャン・リシャール主演(仏)
 第41話「Liberty Bar」(1979) ※日本未紹介


ブリュノ・クレメール主演シリーズ視聴記録

☆がお気に入り、〇がお気に入りには後一歩だけど楽しめた作品、△が思うところはあるけどドラマとしては悪くない作品です。
全て現時点での評価になります。

〇01「メグレと消えた死体」(1991)
 04「モンマルトルのメグレ」(1992)
☆05「メグレと首なし死体」(1992)
☆06「メグレと深夜の十字路」(1992)
☆07「ホテル・マジェスティックの地下室」(1993)
☆08「メグレたてつく」(1993)
☆09「メグレと口の固い証人たち」(1993)
☆10「メグレとベンチの男」(1993)
☆11「メグレと宝石泥棒」(1994)
〇12「メグレと幽霊」(1994)
☆13「第一号水門」(1994)
△15「メグレ間違う」(1994)
☆16「メグレと老婦人」(1995)
〇17「ローソク売り」(1995)
☆19「サン・フィアクル殺人事件」(1995)
☆21「男の首」(1995)
☆23「パリ連続殺人事件」(1996)
〇24「メグレの途中下車」(1996)
☆25「聖歌隊少年の証言」(1997)
〇26「リバティー・バー」(1997)
△29「マダム・キャトルと子供たち」(1999)
△30「野菜畑事件」(1999)
△31「ジュモン51分の停車」(1999)
△32「メグレは二つに見える」(2000)
〇36「開いた窓」(2001)
△37「メグレとワイン商」(2002)
 38「メグレと政府高官」(2002)
〇40「メグレと奇妙な女中の謎」(2002)
☆41「メグレと田舎教師」(2002)
〇42「メグレと老外交官の死」(2003)

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集