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アガサクリスティーについて

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アガサ・クリスティー関係の記事をまとめています
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2024年2月の記事一覧

ケネス・ブラナー主演 エルキュール・ポアロ 第3作『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』(2023)感想

公開時に映画館で観て、ケネス・ブラナーが製作したポアロシリーズでは一番楽しめた第3作目。今回ブルーレイを購入して再見したので、簡単に感想を残しておきます。 あらすじ 1947年のヴェネツィア。引退したエルキュール・ポアロは悠々自適な生活を送っていたが、旧友オリヴァ夫人の来訪により、謎の渦中に巻き込まれていく。 ポアロはオリヴァ夫人の話に乗り、ロウィーナ・ドレイクの屋敷で行われるハロウィン・パーティ後に行われる降霊会に出席し、霊媒師のトリックを見破ることになる。ロウィーナの

マーガレット・ラザフォード主演ミス・マープルシリーズ4『船上の殺人』(1964)紹介と感想

あらすじ 青少年更生センター理事会で委員を務めていた叔父が亡くなったため、代わりの委員に選ばれたマープル。この理事会は、マープルの祖父が創立したものだ。 その理事会で、委員の一人のフォーリーが亡くなった。マープルは、フォーリーの嗅ぎ煙草が、事件後に空になっているのに気づく。 警察に伝えてもいつも通り本気で相手にしてもらえないマープルは、ストリンガーの協力を得ながら自分で化学実験を行う。 紙の上に落ちていた嗅ぎ煙草からストリキニーネが検出されたことから、殺人であると判断した

アガサ・クリスティー関連書籍 紹介と感想『イギリスのお菓子と本と旅 アガサ・クリスティーの食卓』『ミステリの女王の名作入門講座 クリスティを読む!』

北野佐久子『イギリスのお菓子と本と旅 アガサ・クリスティーの食卓』二見書房, 2024 2019年出版の『イギリスのお菓子とごちそう アガサ・クリスティーの食卓』に続く、イギリスの文化や暮らし、ハーブなどについて紹介している著者が送る、クリスティー作品に出てくる食べ物やアンティーク、ハーブを留学時代の思い出などを交えながら紹介する一冊。 長編短編合わせて43編の作品に出てくるイギリスならではの食事や文化が紹介されており、イギリスならではのお菓子が作れるレシピも付いています

アガサ・クリスティー関連書籍 紹介と感想 『殺人は容易ではない アガサ・クリスティーの法科学』

カーラ・ヴァレンタイン/久保美代子 訳『殺人は容易ではない アガサ・クリスティーの法科学』化学同人, 2023 イギリスの解剖病理技師でアガサ・クリスティーの大ファン、現在はロンドンの聖バーソロミュー病院の博物館で解剖学的試料を管理している著者が記す、法科学分野における基礎知識と歴史の解説、クリスティー作品でどのように扱われているかを解説している本になります。 本書では、「指紋」「微細証拠」「法弾道学」「文書と筆跡」「痕跡、凶器、傷」「血痕の分析」「検視」「法医毒物学」の