オタクは病みやすい生き物、勝手に病む

アイドルオタクというのは、他のオタクよりもオタクが仲良くなる要素が多い気がする。

そもそもライブアイドルは月に10本近くライブを行っているため現場数としては、地上のアイドルやバンド、声優さんなんかと比べたらはるかに多い。高頻度でライブがあるということは全通とかしなくても他のオタクと顔を合わせる機会が多い。更には特典会に行くとなると数分から数十分は自分の番が来るまでオタクに挟まれて並ぶ。他のオタクに接近させられる。だから現場に来て全然知らなかった人が友人となる可能性が他のオタクよりも高いと思う。

今回の表題はオタクが勝手に病むという点を「アイドルとオタク」では無く、「オタクとオタク」という観点で書いてみたいと思う。

毎度の注意書きみたいになりますが、僕自身がそうだったとか、周りの知り合いがこうだったみたいな偏った知見に基づくものであり一般性が有るかは分かりませんし、特定の誰かを貶めるものではありません。

第一章 アイドルオタクは人と人が出会いやすい趣味である

アイドルオタクという趣味は他のオタク趣味よりも人と会話する機会が多いと思う。

アニメオタクとかだと他のオタクとほとんど顔を合わせることなくオタ活できてしまうが、アイドルオタクはライブに行くことが1番の活動でありライブに行くとなると上述の通りオタクと顔を合わせることで他のオタクを認知してしまう事も多くオタクを無視してオタクするのが難しい。

そもそも、アイドルに「会いに行く」のだし、特典会に参加すれば文字通り「会話する」のだ。この時点でコミュ力どうこうではなく「人」=「3次元」に興味を持っている。対比の関係になるものはアニメオタクが言う「2次元」にしか興味が無いという状況だろう。アニメオタクと言っても全員がそうでは無いし、声優さん等「2.5次元」が好きな人は両方好きな人だ。

僕は順々に次元が上がってきたオタクなのでそれぞれのオタクと少なからず触れたことがあるが、やはり2次元のオタクよりも3次元のオタクの方がコミュ力が高いオタクが多いと思う。

推しメンという1人のアイドルと会話するだけでそんなに変化するもんなの?って思うが多分そうじゃない。元々「オタクはみんな話し好き」なのである(※銀魂のサブタイトルより引用)。気心の知れたオタク仲間がいる場合、どのジャンルのオタクだろうと会話の花は咲き、ベラベラと早口で好きなものを語り出す。

じゃあ違いは何か?知らない人と会話するという環境が有るのだ。アニメの趣味が合うオタクと仮にSNS等で出会ったとしても会う機会など無いに等しい。その機会を自ら作らないとなかなか無い。アイドルオタクは、ライブ会場に集う時点でリアルな人がいる所へ出向くことが多く、それだけでオタクに出会ってしまう。

結果的にアイドルに興味があって出向いた先で不特定多数のオタクに囲まれる。アイドルのSNSや配信を熱心に追っかけていた場合は、顔は知らないがあのHNのオタクと認知してしまっているオタクが居たりする。

アイドルオタクはコミュ力が高いと言ったが、オタクは基本的に話したがりの性質があり、特典会に並ぶなどとなるとそこにいるのは同じアイドルが好きな同好の士であり、会話したら弾まない可能性は低い。なんならよく分からない物販システムとかまでスタッフに代わって教えてくれたりする。なんか優しい。会話するキッカケが与えられるからアイドルオタクというのは他のオタクよりもオタク同士が出会う可能性が高い。

ここでキッカケが生まれた後は、オタクという性質、アイドルオタクという特殊性が活きてくる。

小学校の頃からオタク(アニメとか音楽とかジャンルは様々)という人種で生きてきた僕は、オタクと仲良くなる可能性が高かったのだが、オタクというのは好きな物の会話は結構するがプライベートを詮索する様な会話する人が少ないと思う。オタク趣味に没頭する人はプライベートを蔑ろにしてる人が多い(←偏見)という側面も有ると思うが、好きな物の会話が楽しいというのが第一に有るので、個人情報はその次の優先順位になりがちだ。その結果、初対面でも何回も会ってる人でも同じフィールドでの会話ができるからコミュ力があまり要求されない。好きな物についてなら語れるから。

そして、アイドルオタクという特殊性は「その場(目の前)に推しメン」がいるというのも有効に働いてると個人的には思ってる。特典会中にどれだけオタクを見てるかわからないけど、その場において推しメンに嫌われる行動しようという人は少ないと思う。中には利己的な行動をとるオタクも居るけど、多くのオタクはそこに好意の対象が居るからいい姿を見せたいという心理が働いてると思ってる。ガチ恋だろうが、友人感覚だろうがそこは共通。そうすると、少しだけ人に優しくできる気がする。

その結果、アイドルオタクはライブ会場で他のオタクと仲良くなってしまう可能性がある。

第二章 仲良くなるオタクが自分の未来のオタク像を作っていく

人は周囲の人に影響を受けて生きている。過ごす時間が長い人は尚更だ。家族や恋人が似てくるとか、仕事で過ごす時間の長い上司の思想が自分も染み付いてるみたいなことがある。オタクも同様に仲良くなった人の影響を受けやすい。

過去に僕がアニソンライブによく通ってた頃いつも数人で行動しており、最初はだいたいイベントを見つけてチケットを取る提案をする人が決まっていたのだが、ある時期からその提案する人が別に現れた。情報を収集するという行動が似てきたのだ。最初にいつも同じライブに通っていた仲間が似た思想で各々が最も行きたいイベントについての情報を取り始め、チケットを取り各々が行きたいイベントへ行き始め、数年後に年1アニサマで集まるだけになった。行動が似てるからと言って同じライブへ行くわけではない。共通で好きな部分も有るが沢山のライブへ行くうちに好みの違いが明確になってきたのだ。

アイドルオタクでも見てるとオタクは似てくるなと思うことがある。同じアイドルの特典会列に並んでるオタク(特に狭い界隈)は似てるなと感じることが多い。誰か特定のオタクがキッカケになることもあればアイドルの言動キッカケ等で自然発生的にそうなってることも有ると思う。

誰か特定のオタクキッカケの場合、元々仲良いオタクというパターンも有るし、現場に影響力のある強いオタクの場合もある。

"強いオタク"という定義は人によって違う。全通等出席率の高さだったり、いつも最前に居ることだったり、特典会でめちゃくちゃ積んでる人だったり。

これは次の章でまたやるので、ここでは仲良いオタクについて話す。

仲良いオタクのがめちゃくちゃ特典会をループする"積むオタク"だった場合、友人の行動を見てるうちに自分が積んでなくても、積むという行動について擬似体験を繰り返すことになり感覚が麻痺してくる。そうすると、あれ?俺もしかしてもっとやらないとダメ?みたいな感覚になっているのか徐々に自分も積み出すとかよく見る。

オタクは自分のペースでオタクしてるときは楽しく感じてるが誰かのペースに乗せられてオタクし出すと、義務感だったりが生まれてくるし楽しくなくなる。自分の行動と思想が乖離するから。かつて売る為に積むという文化を作った運営はずるいが賢い。オタクの中に居るオタクは、周りのオタクには普通だみたいな感じで感覚が崩壊してく。これは仲良いオタクだから自分事になる。全く知らないオタクがやってても「へーすごいね!」で他人事なのだ。一般人がオタクを見て思う感想と近い。

別の例で言うと、カメコの知り合いにカメコが増えてくるというのも同じだと思う。趣味として楽しめるかどうかは人それぞれだが、仲良い人がやってるから自分もやれるんじゃないか?聞いたら教えてくれそうだしやってみよう。みたいな感じで全く知らない人がやってるよりもハードル低く感じるんだと思う。カメコ多い現場でハードル低く感じてカメコ始めても続く人はそんなに多くないイメージ。カメコは撮って終わりじゃないから作業めんどくさいって思う人も居るし、その作業を楽しめる人が残るんだと思う。

ちなみにオタクに影響受けるのはオタクだけではなく、アイドルもオタクに影響を受けていたりすると思う。僕の大好きな推しメンは、メンタルを病みがちというのが最初の頃の印象だった。その頃のブログや雑誌のインタビューから出てくる人間性の危うさみたいなものが魅力を引き立てるエッセンスにもなっていたと思う。その子のオタクはその子をカリスマの様に慕う若い子もいるが、現場にはその子のことが大好きで穏やかな、そしてとても優しさを持ったオタクが沢山居た。そうすると、いつの間にか推しメン本人もびっくりするくらい病み要素が無くなった。オタクだけの影響では無いしもちろん色んな要素があっての変化だと思うがオタクの存在はとにかく影響力が有ると思う。

第三章 オタクの病みはオタクが原因が多い

学ぶということを真似ることから始めるし、現場における空気感等で強いオタクの行動というのがその現場の正義だと感じがちだ。とりあえず強いオタクと同じ行動しとけば間違いないだろうというのも空気を読むという意味ではある意味間違いでは無いと思う。

推しメンに愛されたいと思うなら、推しメンに愛されてる人の行動を真似る。とてもシンプルでいいと思う。

しかしオタクというのは、何かと承認欲求を爆発させてしまう。推しメンから好かれたいという承認欲求が歪むと、"あのオタクより"みたいなものが生まれる。

その結果、オタクの抗争(水面下含む)が生まれる。自分より愛されてるとオタクを攻撃しだしたりする。新規が愛されてると思えば古参が新規を攻撃し、古参が優遇されてると思うと新規を攻撃し、単推しもDDも同じ扱いなのは不当だ!と単推しがDDを批判したり(逆はあんまり聞いたことない…)、そこらじゅうに火種となる要素はある。

だから、「推しメンが好き過ぎて病む」というのの大半は「推しメンが好きなんだけど俺よりあいつが推しメンに推されてるのが許せん」みたいなことだと思うんですよね。推し被りに厳しい人なんかは特に。

もうひとつの病み方として、「自分を弱いオタクだから」っていう病み方がある。これも"弱いオタク"というのを自分で自分をカテゴライズして勝手に病むパターンが多いと思う。他の誰かよりライブへ行ける回数や、特典会を回れる回数が少ないことを負い目に感じることで自分を追い込む。

比較対象が強いオタクの場合も有るだろうし、仲良いオタクの場合も有る。

仲良いオタクと比較してってパターンになると人間関係も複雑で、なんとなく顔を合わせずらいな…って現場から足が遠のくこともある。新規が定着しない現場ってこういうとこの空気感もあったりするのかなと思ったり。

1番病みオタクが大量発生する状況は、グループの運営方針が変わったりして、「いや、ちょっと…」みたいなことが起きたとき。他にも解散や卒業、もうそれはどうしようもない事故みたいなもんだし、オタク関係ないのでこの記事では触れません。ただ、解散とか卒業の一部はオタクが病んで、結果病んでるオタクにアイドルが影響されているということもあると思うのでオタクが病んでやっぱりいい事ない。負のスパイラル、二次災害である。

こうして、病むキッカケは沢山有るがだいたいはオタクがオタクを見て勝手に病み出す。やんだ結果、直接攻撃はしなくても、病みツイかまってちゃんが定期的に発生する。

第四章 オタクは他人だと認識すること

人と人の境界は曖昧だと思う。

突然エヴァとかファフナーみたいな話をするけども、人の意識は他人を認識してできてると思うが、無意識みたいなところは他人と自分の境界が曖昧だと思ってる。

だから、意識していない様で他人に影響されているみたいなことが起こり得る。

心を許す関係になるということは、ATフィールド(心の壁)を解いて繋がるということであり、自分の中へ他人の思想を入れるということだと思う。その結果、同化されるのだ(あなはそこにいますか?)。そして、同化された他人の意識かもしれない自分の思想と自分の行動が合わなくなってきて病むということだと個人的には思う。

つまり、感受性豊かな心優しい人が病むのだと思う。若いオタクに多いと思う。

逆に、いい歳したおじさんたちは病んでる姿をあまり見せない。人によって見せないのがひとつの男らしさや美徳という面もあると思う。それもあると思うが、おじさんでは自我が固まってきて他人と自分の境界がしっかりしてるんだと思う。たまにそうじゃない人もいますが、仕事なり色んな人と出会うという経験値でATフィールドを構築できるんだと思う。

少し脱線するが、オタクの「コミュ力が低い」について思うところとして、人と人の距離感の測り方が下手くそな人は多い気がする。下手くそなパターンのうちビビって近付かないパターンの人が多く、このパターンだと仲良くなるまでに時間がかかるかもだが、気を使える人同士、人を不快にさせる可能性も低くて問題ないと思う。だが、逆のパターンで一気に距離感詰めるタイプの距離感測れない人がスキンシップしたり会話で踏み込んで他人のATフィールドを侵食してる人も見る。侵食型のコミュ障の人はフェストゥムや使徒と同じで、下手をすると目の前の人を侵食して同化する。こういう状況を見ると、「シンジくん!」って叫んでる司令室の気持ちになる。他人の会話は邪魔なんてできないし手出しできないが、なんとも言えない気持ちになる。

僕の場合は、「他のオタクと自分は違う他人である」というATフィールドをよく展開してる。選民意識とかじゃなくて、よそはよそうちはうち、である。乱暴に言うと、他人に興味無いみたいな感覚。他人を見てても幸せになれないから。

たまに同調圧力というものが存在する。僕は群れるのが嫌いなのもあるが、そういう言動が苦手だ。「え?このイベント行かないんですか?」「えっ?これ(グッズ)買わないんですか?」さもその行動が当たり前というやつだ。これは、言った側の意識としては「自分が買うし他のオタクも買って当然」、もしかたら「今回同じイベント行ってるから次回も行くのかな?」みたいな前提が有るんだと思うが、同じオタクなど存在しないし勘弁してもらいたい。

そんなときは、「君は君で、僕は僕で、多分それでいいんだけど※」って唱えてみたらいいと思う。

(※「未来シルエット/群青の世界」の一節。本来は寄り添って行く歌詞だけどこの歌詞だけ切り出したら他人と自分を別人として捉えるのにちょうど良かったので引用。)

それでも、空気を読めずにつっかかる(仲良くしてくれる)人には「アナタには分からないでしょうね※」って心の中で言いましょう。

(※「マニマニ」さんの曲目。最近分かり合えないときは唱えてる。)

オタクは人生かけてもいい趣味だとは思うが、オタク全員と仲良くしてオタクする必要なんてない。仲良くしてくれる思想の合うオタクとは仲良くすればいい。だが、学校や職場じゃないから無理して合わせる必要は無いし、自分が楽しめる距離感で付き合えばいい。

その結果、僕はいついつどこへ行くとか事前にあまり言わないし、「友達は現地調達、行けば誰かおるやろ」の感覚で1人で各地に行く。それがストレスが無いから。

それでも仲良くしてくれて、飲みに誘ったくれたりするオタクはほんとにありがたいと思う。誘われても行かない時多いのに(←単に誘ってくるオタクがただの酒好き説もある)。

第五章 語る人は語らせておく

僕は人の話を聞くのが好きだ。僕がコミュ力高いと思う人は、相手を気持ちよく話させる人はだと思ってる。と思ってはいるが、アイドルの特典会等ではそれがなかなか思うようにはいきませんがw

だが、前の章でも言ったがオタクというのは語りたがりなので結構聞いたら語ってくれる。

新しく通い始めた現場で自分よりもその現場の歴史等を知っているオタクの話を聞いたり、自分が行ってない現場の話を聞くのが特に面白い。

これはオタクとしての傾向にもよるが僕は歴史を知るのが好きだ。過去にはタイムリープできないし、行ってない現場へ行くことは不可能だけど、その場がどんな事件があっただの、今とは違うものを知れるし、その結果今がこうなんだ!みたいなのがわかるのが楽しい。

他人の特典レポとかもそうだ。女の子のオタクが推しメンと会話しておじさんでは引き出せない様な話をしてるレポとか見ると、推しメンの新しい面を教えてくれてありがとう!と思う。

だからマウント取られた!みたいには基本的にはならない。語調や雰囲気で、マウント取ろうとしてるなこの人!みたいになるとニヤニヤする(性格悪いので斜構でそういう人を見て楽しんでる)。

だから、いい写真撮ってる人見ると、どうやったらこの写真撮れるんだろ?この人から盗める技術や知識は無いか?って最近は見てしまう。めっちゃいいレンズとめっちゃいいカメラじゃなくても近い写真は撮れるんじゃね?他の写真撮る時に活かせるんじゃね?って見てしまう。情報が発信されてるなら見て何を考えるかは自由だ。

それでも、マウント!と感じる人も沢山居るんだと思う。だけど、それは人によって違うし、受けて側の問題なのだと思う。

「半年ROMれ」というインターネット古語がある。Read Only Memberの略で見る専のこと。僕はそれを見てきた世代だ。自分はインターネットは情報を収集するためのツールであり、発信するものとは永らく思ってなかった。

だからTwitterも元々アニメオタクの情報収集目的で始め、多分3年くらいはROM専だった。アイドルオタクとなり推しメンに繋がる(なんか適切じゃないかもな言葉だが)ために発信することをはじめた。

もしかしたら、そもそもTwitterの捉え方が多くの人と違うのかもしれないが、Twitterなどにある情報は情報でしかなく、その情報を整理する「受け手の人」が変換して感情になるものだから、その変換フィルターをちょっと変えればかなり自分にとって不快なものは入ってこないんじゃないかと思う。人との会話でもおなじだと思う。

それでもダメならミュートかブロックっていう機能がある。

まとめ

自分が楽しむのに他のオタクを気にするのはもったいないから1人で楽しもう。本来、オタクってのはそういうもんだと思う(SNSが発達する以前の古いオタク)。

今はSNSの影響もあって「みんなで楽しむ」がいいものとされてるかもしれないが、趣味なんだから他人に迷惑をかけずに自分が楽しむのが1番。

沢山の人と繋がって推しを布教したい気持ちは有るが無理してそんなことをする必要は無い。布教を意識しなくても、楽しんでる姿を見せてると、勝手に楽しそうなとこへ人は集まると思う。

少なくともオタクが病んでるよりは。

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