ライブは飛び散る水分により盛り上がりを水増しできる(水分だけに)

昔読んだ本に、「スポーツマンガの身体」という齋藤孝先生の本がある。

この本は、あしたのジョーや巨人の星からスラムダンク等の名作と言われるスポーツ漫画についての考察が書かれたものだが、血や汗等の身体から出る液体が描かれることでリアルな臨場感が出るといった項目が有る。特にスラムダンクの綺麗な汗という項目は自分がスラムダンクを好きだったこともありなんとなく脳の片隅に残っている。

人の身体はほとんどが水分で構成されていることは周知だと思うが、人の感情も汗等の水分の表現によりリアルさが増すというようなことである。ヤバいぞ!となったときに唾を飲み込んだり額を汗が伝うとかの表現は一般的に漫画にもよくある。スラムダンクでは試合の緊迫感が汗の量などの水分表現により表されてるという感じだったと思う。

2020年からあのウイルスにより、人体からの飛沫に対してネガティブなご時世ではあるが、漫画の世界に限らずリアルな世界でも飛沫、もとい、人体から出る水分は感情に影響を与えるものだから無視してはならないと僕は思う。

ライブハウスの中で演者の汗やシャウトによる飛沫は観客の熱狂を産むものであったと思うし、観客の汗や叫び声による飛沫は盛り上がりを表現するねひとつの形だったと思う。ライブハウスの中心でグチャグチャに騒いだらびしょびしょになって、「あー楽しかった」となったものだった。

アイドルは、「汗なんてかかず涼しい顔で歌って踊るもの」という考え方も有るだろうし、「汗で髪も乱れるくらいにうたって踊ってるのがいいんじゃないか」という考え方も有るだろう。どちらも理解出来るし、グループのコンセプトによってもどちらがマッチするかは変わってくると思う。

僕個人としては先程の本の影響か、汗で髪を乱すくらいのパフォーマンスがとても好きだ。必死さが好きとかそういうことじゃなくて、ライブの臨場感というものを感じることができるからだ。観客が万の規模の会場だとさすがに無理だろうが、数百人規模の会場だったら視覚的にライブの臨場感を感じ取ることができる。汗で乱れてきた髪をかきあげる仕草とか好きだし。撮可現場だと汗をも描写するめちゃくちゃエモい写真というのがたまに見られる。

一方、オタク達の方は…自分が汗かきなのでなんとも言えないが、まぁ見苦しい部分も有るだろうし、感染対策とかの制限が無くなったとしてもどこまで以前の様になって欲しいかは難しいところである。もしかしたら、演者の方もグチャグチャになってるフロアを求めてるかもしれないし、逆に演者見ずに床の方に叫んでないで大人しく見てろ!と思ってるかもしれないし、そこはグループの指針に従う所存だが、正直グチャグチャでは無いフロアもわりと快適で見やすいということが分かってしまったのでいざ自由にどうぞ!と言われても困るかもしれない。

とはいえ、ライブにおいて演者も観客も飛沫を飛ばしてるライブの方がライブ感があって伝わりやすいのは間違いない。2020年以前の地底イベントに行けば演者のライブ感の足りなさをオタクの必死な声出しやパフォーマンスにより飛沫を飛ばしながら盛り上げてた現場がたくさんあったと思う。オタクのパフォーマンスが制限された結果、物足りなさが生まれるなどもあっただろう。逆に演者のパフォーマンス能力が高い場合は、オタクの飛沫が制限されたものの観客にとってのノイズが減り演者に集中力できて良い!となったことも間違いない。水増しされないことで濃い部分がより伝わるのだ。

このNoteを見に来てくれたアイドルさん、オタクにとってアイドルの汗は尊いのでどうか存分に汗かいてパフォーマンスしてオタクに撒き散らしてください!(若干個人の嗜好が強めに出た〆の言葉)



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