見出し画像

【カヌーポロ】基礎練習 その3

さて、いよいよこのシリーズも第3弾です。
その1、その2では2対1のオフェンス、3対2のオフェンスについての記事を書きました。ディフェンスを引き付けてスペースを作りましょうっていう話をしてきましたが、いざ実践してみるとこんなことを思うかもしれません。

A君「3対2の練習で走りこんでみたけど2対1の状況なんてできなかったよ。すっかりだまされた!」

B君「走ってパス回しばっかりって・・・つまらん!こんなのカヌーポロじゃないやい!」

もしかしたらA君、B君とも同じ誤解をしているかもしれません。なんだと思いますか?

みんなが一度は陥るオフェンスの誤解

早速、結論を言っちゃいます。彼らの誤解は恐らくこれです。

「ディフェンスにぶつかりにいくことが目的化してしまっている」

これは、カヌーポロを始めて少しできるようになってくると誰もが必ず一度は陥るあやまちです。例えばA君は3対2の練習の際も、シュートを撃つためのコースに向かわず、いつもの習慣でディフェンスに向かって走ってしまったんじゃないでしょうか。

誤解のオフェンス

これだと引き付けになりません。ディフェンスの選手からしたら最初から自分に向かってきてくれて狭い範囲を守ればいいのでとてもラクです。ディフェンスは1人で2人見ることも可能となり、せっかくの数的優位を自分で潰してしまっています。

「カヌーポロ」であって「カヌー相撲」ではない

恐らくA君、B君ともディフェンスの選手とぶつかりあってディフェンスを崩して得点したという成功体験があるのだと思います。
確かに、カヌー同士ぶつかり合って戦うと迫力もあるし、上手くいったときは達成感もあって楽しいですよね。ただ、この競技の目的はボールをゴールに入れて得点する球技なんです。ぶつかってディフェンスを押し込むのは手段の一つ。押し込むことを目的化してしまうと別の競技になってしまいます。
単なる「カヌー相撲」です。もちろん押し込む力と技術を磨くことは大事なスキルなのですが、無意味に押し込むのではただの自己満足です。
ディフェンスを押し込むのは手段であって目的ではない。
これをよく覚えておいてください。

何でジョッスル(押し合い)で崩す必要があるの?


さて、前フリが長くなってしまいましたが、ここからが今回の本題。ジョッスル(押し合い)を活用したオフェンスの話です。ガシガシ漕いで崩すのは楽しいですが、スペースを使えるならばジョッスルなんて必要ないのに何でこんなことやる必要があるのでしょうか。やっぱり達成感?満足感?相手が苦しんでいる姿を見るのが楽しいから?

全部違います!

ディフェンスだって馬鹿じゃないので、ディフェンス同士連携を取ります。連携を取ることで隙間を埋めることで2対1の状況のなくしたり、スペースができている時間を短くしたりと工夫をするわけです。
そこでジョッスルです。押し合いをすることで、ディフェンスの自由を奪うわけです。すると他の選手との連携が分断されます。
組織的なディフェンスをさせない。
これがジョッスルで崩す一番のメリットじゃないでしょうか。

崩す方向でやるべきことが決まる

ジョッスルで崩してディフェンスを分断しました。その後にやるべきことは得点をきめること。自分がシュートを撃ちたいのか、人にシュートを撃たせたいのか。ジョッスルの場合、ディフェンスと接触した状態です。スペースは作れたけど、自分自身のシュートコースはできていない場合もあります。
崩す方向によって生まれるスペースやその後の動きが変わります。まずは基本的な崩す向きを見てみましょう。

崩しの向き

上の図のように崩す向きは3通り。①外側から内側へ(横方向) ②手前から奥に(縦方向) ③内側から外側に(横方向)というのが基本的な考えです。

①外側から内側へ
ディフェンスを狭める動きです。ディフェンスを右に押しこむことで左側に大きなスペースが生まれます。左側にいる選手の道ができています。
一方で自分の目の前にはディフェンスがいます。その後ろにはキーパーがいます。2人を越えてシュートを決める必要があります。
また、図で見てわかるようにあまり押しすぎるとキーパーに接触する恐れがあるので、注意しましょう。
②手前から奥に(縦方向)
ディフェンスを完全に無力化させる動きです。先程に比べキーパーに当たるリスクは低いですが、コート外まで押し出してしまうと別の反則を取られることもあります。
3対2のシチュエーションで言えば、確実に1人の無力化し、残る仲間がしっかり2対1のオフェンスができるように徹底すると良いかもしれません。
③内側から外側に(横方向)
②の縦方向と一緒でディフェンスとして無力化させる動きに似ていますが、大きな違いは崩している自分もパスを受けて、シュートも撃てる位置だということ。上の図で言うと、崩した本人の右側を見るとゴール前でキーパーと1対1になっていますね。

3対2のシチュエーションでやってみよう

前項をふまえて3対2の練習で、ジョッスルを取り入れてみましょう。3パターンをそれぞれ見てみます。

①外側から内側へ

外から崩す3対2

外側から内側に崩すことで左の大きなスペースを使います。
もう一人の本当は助けに行きたいけど通れる道がないのでフリーでシュートを撃たれてしまいいます。

②手前から奥に

縦に潰す3対2

続いて縦のパターン。大きな2対1ができています。先程、ディフェンス間を分断して連携させないという話をしました。完全に1人いない状態にすることでオフェンス2人をディフェンス1人で見なければいけない状態にしました。
単純な2対1の構図です。あとはしっかりパスを通してシュートを決めるだけです。

③内側から外側へ

内側からの3対2

崩している選手もシュートが撃てます。こうなるとディフェンスは完全に崩壊しています。ただ、内側からここまで崩すのは簡単じゃありません。

まとめ

基礎練習1~3まで書きましたがいかがだったでしょうか。
図に登場したディフェンスの方々は、かなり大げさ動いたり簡単に押し込まれてくれたので、とてもわかりやすくスペースができました。
実際のディフェンスはここまで簡単にやられてはくれません。ただ、これらの考え方を理解しているとしていないではオフェンスをやった時に大きな差が生まれます。「よくわかんなかったからボクはカヌー相撲界の横綱を目指す!」というのなら止めはしませんが、カヌーポロが上手くなりたいならオフェンスの仕組みを理解するのも上達の近道です。
とりあえずこのシリーズは完結です。うまく伝えられたかわかりませんが、ぜひ感想をお寄せください。また、こんなことを書いてい欲しいというコメントもお待ちしております。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?