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去りゆく夏を惜しむ、これからの季節にオススメのアルバム! ZARDトリビュートバンド・SARD UNDERGROUND 初オリジナルフルアルバム『オレンジ色に乾杯』ライナーノーツを公開!

ZARDのトリビュートバンドとして注目を集めてきたSARD UNDERGROUNDが、ついにオリジナル・フルアルバム『オレンジ色に乾杯』を9/1にリリースした。
ZARD・坂井泉水への変わらぬリスペクトと、ZARDをトリビュートすることで積み重ねた経験を下地に、バラエティ豊かな楽曲に果敢にチャレンジ。長戸大幸プロデューサーをはじめ、スタッフと共に作り上げた今作は、豊富な音楽知識に裏付けされた高クオリティな作品に仕上がっている。
聴くたびに想像力を刺激される今作は、いったいどのような過程を経て完成に至ったのか? ミュージックフリークマガジン編集部では楽曲ごとに深掘りすべく、制作ディレクターの寺尾広氏に取材。また11曲中8曲の作詞も担当しているヴォーカル・神野友亜のコメントも交えつつ、編集部オリジナルのライナーノーツを作成した!

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M-1「オレンジ色」
作詞:神野友亜 作曲:川島だりあ / Chris 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸
※KBS 京都「キモイリ!」エンディングテーマ

 
 アルバムの幕開けはZARDのトリビュートバンドならではの、ZARD王道サウンドを彷彿とさせるロックポップチューン。
 ドン・マクリーンの「アメリカン・パイ」(1971年リリースし米国で大ヒット。マドンナが2000年にカバーし世界各国でもNo.1に輝いた曲)をインスパイアして、川島だりあがChris(クリス)と共同で作成したデモ音源を、骨太で快活なサウンドにアレンジした。
 その中で特徴的なのは、レスリースピーカー(※注釈1)から生み出されるような音(響き)をシンセサイザーで鳴らしているオルガンの音色だ。ポップで明るい楽曲にオルガンを大胆にフィーチャーすることで、骨太に、且つ華やかさが増している。また、サーフミュージックを想起させるコーラスが爽やかさや夏らしさを演出しており、こちらも楽曲に彩りを与えている。
 最も印象に残るのは、“オレンジに染まる葉っぱ”と歌うサビ頭だろう。リリース当時20歳の神野友亜ならではの言葉のチョイスは新鮮で、メロディと歌詞の一体感が絶妙である。
 神野曰く、歌詞のテーマは「初恋」。『黄昏時の帰り道を舞台に、夕暮れ時のオレンジ色や果物のオレンジの甘酸っぱさ等、様々な「オレンジ」を取り入れつつ、恋愛シーンだけではなく、「挑戦する心」や「新しいことを発見していく喜び」といった想いも重ねながら書いていきました。』とのこと。

(※注釈1:スピーカーを回転させることによって生じる周期的なうねりやドップラー効果[内蔵された「ローター」と呼ばれる音の出口が物理的に回転することにより生まれる]によって、独特な揺らぎを伴ったサウンドを発生させるスピーカー。)

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M-2「あの夏の恋は眩しくて」
作詞:神野友亜 作曲:山口篤 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸
※第52期サンテレビガールズ イメージソング


 山口篤のデモ音源の中から選曲されたミディアムナンバー。どこかノスタルジックでイノセントな香りが漂うメロディに、アコースティックギターを多くフィーチャーして、フォーク的ロックサウンドに仕上げている。
 また、歌詞は穏やかな日常の中で鮮やかに色づく恋愛模様が描かれており、神野のひたむきなヴォーカルによって、主人公の一途な恋心がよりストレートに伝わってくるようだ。
 「メロディ」×「アレンジ」×「歌詞」×「歌声」が相まって、10代や20代はもちろん、大人世代も「夏」特有のセンチメンタリズムを掻き立てられる秀逸曲と言える。
 神野は、『当たり前になり過ぎて日常や相手のことに対して冷めてしまうこと、感謝する気持ちが薄れてしまうこともあると思う。そういう時期に、目の前のことを大切にしなきゃいけないと感じてもらえる歌になれば嬉しいです。』と語っている。

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M-3「夏の恋はいつもドラマティック」
作詞:坂井泉水 作曲:徳永暁人 編曲:徳永暁人 / 長戸大幸
※テレビ朝日系全国放送「musicるTV」 9月度オープニングテーマ

 
 ZARD・坂井泉水の未公開詞により作られた新曲。作曲は徳永暁人。モータウンサウンドを彷彿とさせる曲で、一曲通してリズム(スネア)が4分を打つダンサブル(ソウルフル)なグルーヴが印象的なナンバーとなった。ちなみに存在感のあるリズム隊(ドラム、ベース)は、長戸プロデューサーの提案によりキャプテン&テニールの「Love will keep us together」等を参考にしている。
 またコード進行に目を向けてみると、サビ頭はマイナー(短調)なのに、気がつくとメジャー(長調)になっていたり独特の構成になっている。それが、主人公の「明るさの中にある切なさ」や「弱さの中にある強さ」といった表裏一体の心の内とリンクし、楽曲をより高みに押し上げている。
 さらに、この楽曲もコーラスが実に印象的だ。モータウンの楽曲であるマーサ&バンデラスの「DANCING IN THE STREET」と、アレサフランクリンの「SWEET SWEET BABY」をオマージュしたコーラス・アレンジをディレクターの寺尾広が考案し、寺尾と大田紳一郎でハモっている。特に印象的なサビの最後の「スイスイ」と聴こえるコーラスは、「SWEET SWEET(スウィート・スウィート)」と歌っている。

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M-4「これからの君に乾杯」
作詞:坂井泉水 作曲:川島だりあ / Chris 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸
※MBS「+ music」2020 年 4-6 月エンディング曲


 ZARD・坂井泉水の未公開詞により作られたSARD UNDERGROUND 2ndシングル。坂井ならではのエールソングとも言える歌詞に、川島だりあがChrisと共同でデモ音源を作成した曲は、ZARD「Don’t you see!」のコード進行を彷彿とさせるポジティブなメロディが魅力のナンバーに仕上がった。
 神野曰く、『アルバムを通して聴くと、すごく元気をもらえる曲という印象を持ちました。坂井さんの「元気になってね」という想いがストレートに伝わるこの曲を聴いて、多くの方に元気になって欲しいです。』と語るように、鬱屈とした日常を過ごしている人におすすめしたい一曲。アルバムに入ることで、改めて存在感の大きさを示している。

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M-5「少しづつ  少しづつ」
作詞:坂井泉水 作曲:大野愛果 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸
※読売テレビ・日本テレビ系アニメ「名探偵コナン」エンディングテーマ

 
 ZARD・坂井泉水の未公開詞により作られたSARD UNDERGROUNDの 1stシングルであり、初のオリジナル作品。ZARDのデビュー日と同じく2月10日にリリースされた。
 作曲を担当したのは大野愛果。歌詞の世界観を反映したマイナーコード(短調)の大人っぽいメロディが印象的である。神秘的なベルの音色や、雄麗なストリングスの調べ、大野のドリーミーなコーラス等により、切なさだけじゃない滋味深いサウンドになっている。また、Dメロ後のサビで転調するアカデミックな構成も麗しい。

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M-6「イチゴジャム」
作詞:神野友亜 作曲:大野愛果 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸
※アニメ「おかしなさばくのスナとマヌ」主題歌

 
 アルバム中盤に登場するユニークなアップテンポナンバー。大野愛果のデモ音源の段階からポップな楽曲だったが、長戸プロデューサーのリクエストにより転調を加えたり、盛り沢山のコーラスを入れたりしておもちゃ箱をひっくりかえしたような、高揚感溢れる展開となった。「ワッシュワリワリ」等のインパクトのあるコーラスは、ルーベッツの「シュガー・ベイビー・ラブ」のオマージュである。
 歌詞は、アニメ「おかしなさばくのスナとマヌ」の主題歌を意識して作成されることになり、『前作の主題歌が「ブラックコーヒー」だったので、食べ物繋がりのタイトルにしようか?』という提案が長戸プロデューサーから出された。そこで、神野の作詞ノートに記されていた“君に作ったイチゴジャム 甘さは控えめがいい”というフレーズを元に歌詞を書き、「イチゴジャム」というタイトルも生まれた。

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M-7「君には敵わない」
作詞:神野友亜 作曲:川島だりあ / Chris 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸
※TBS「王様のブランチ」9月度エンディングテーマ

 
 川島だりあがChrisと共同で作曲した、哀愁を誘う、古き良き懐かしのメロディが印象的なナンバー。
 「AメローA’メローBメロ(サビ)―A’’メロー英語セクション」という構成になっており、2番終わりで別メロ(大サビ)も登場するという個性的な展開が印象的である。英語セクションは、コーラスが入ったエンディング(アウトロ)という認識ではなく、ここまでが主旋律扱いとなっている。また、日本語部分にタイトルを登場させず、英語セクションで「君には敵わない」と歌っているのもニクイ。
 『飾ることなく、純粋な恋模様を書いてみました。』と神野が語る歌詞は、“メチャクチャな歌でも 君が歌うなら聴いていたい 全部愛おしいよ”というサビのフレーズを筆頭に、20歳の神野ならではのセンスが光る。

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M-8「ブラックコーヒー」
作詞:神野友亜 作曲:大野愛果 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸
※アニメ「おかしなさばくのスナとマヌ」主題歌

 
 通算3枚目のシングルにして、神野友亜が作詞を担当した初作品。当初は穏やかでフワ〜っとした聴き心地のアレンジで進めていたが、『もっと華やかで壮大なロックにした方が良くなるのでは?』という長戸プロデューサーからの提案で、後半に向けてだんだん盛り上がっていく構成にブラッシュアップされた。その際、『プロコル・ハルムの「青い影」に登場するようなドラムのフィルを入れて欲しい。』というリクエストも長戸氏からあり、間奏や3番終わり等に取り入れることによって、より高揚感を増すアレンジに仕上がった。
 作詞について神野は、『大野愛果さんのメロディに導かれるように、メロディから感じた世界をそのまま歌詞にしていきました。“近づきたくて”という歌詞は、“大人になりたくて”だったんですけど、そういう気持ちは裏にずっとあります。』と語っている。

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M-9「黒い薔薇」
作詞:神野友亜 作曲:大野愛果 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸

 
 大野愛果のデモ音源を神野が気に入り、アルバム曲として制作することを長戸プロデューサーに直談判にいったという曲。黒いバラの花言葉の「貴方はあくまで私のもの」「決して滅びることのない愛」が目に止まり、この言葉のような二人の関係性や世界観を描いてみたいと思ったのが制作のきっかけだったという。歌詞を見た長戸プロデューサーから『このような暗い世界観にしたいのなら、とことんダークに染めよう』と提案され、“蜘蛛の巣の青い城”“埃まみれの天鵞絨(ビロード)”“螺旋階段の夢”といった難しい漢字や古い城を連想させるフレーズが取り入れられた。
 サウンドは70年代初頭のロックを彷彿とさせるギターのリフが印象的。全体的に大人っぽくシリアスな仕上がりで、バンドの振り幅を押し広げる作品になっていることは間違いない。

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M-10「夏の終わりに…」
作詞:神野友亜 作曲:徳永暁人 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸

 
 限定盤では、アルバムのラストを飾る曲。透明感に溢れながらも、どこかメランコリックに響く神野特有の歌声が、さらに涙を誘うミディアムバラードである。70〜80年代に流行したシティーポップを想起させるような、厚みのあるコーラスも全体を盛り上げている。
 特筆すべきは、徳永暁人作曲の切なく美しいメロディラインに呼応するかのようなリリカルな歌詞だ。「決して結ばれない恋」を題材に描かれたストーリーは、「大人への憧れ」を抱く神野がちょっと背伸びをして書いた恋愛ソングと思いきや、かなり完成度の高い歌詞表現に驚かされる。
 神野曰く、『恋愛面ではなく日常の中で感じ取った感情を置き換えてみたりしながら書いていきました。』とのことだが、作詞家としても今後大いに期待が高まる。また神野は、『1曲目の「オレンジ色」が“初恋のような初々しい曲”で、最後の「夏の終わりに…」は“オープンにできない許されない恋”を歌っています。どんどん恋愛深度が深まっていく流れも楽しんで欲しいです。』とも語っている。

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通常盤 Bonus Track「Blue tears」
作詞:神野友亜 作曲:花沢耕太 編曲:鶴澤夢人 / 長戸大幸

 
 通常盤のみ収録曲。ピアノを中心にしながら、2番からはベース、ドラムが強調されたどっしりとしたサウンドのミディアムバラードチューンになっている。
 アルバム内で神野が一番お気に入りの曲で、美しく洒落た曲調、繊細なメロディが好みだという。ピアノの弾き語りで作られた花沢耕太のデモ音源を聴いた瞬間、サビ頭の“泣いてるのに 泣いてないみたい”という言葉が思い浮かび、その一行から物語を広げるように書いていったという。また歌詞について神野は、『「Blue tears」で描いた「相手のことを知りたい」という深い感情に憧れます。誰かをそこまで追いかけてみたい、そんな思いを抱いています。』と語っている。
 コーラスは大田紳一郎、寺尾広のみのシンプルな構成。情感溢れる神野の歌声にも注目して欲しい一曲だ。

TEXT BY 松原由香里

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【初回限定盤A】CD+DVD

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【初回限定盤B】CD+DVD

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【通常盤】CD

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10/10 大阪Zepp Namba、10/16 東京Zepp Tokyoで2ndツアーを成功に収めたSARD UNDERGROUND。現在は次の楽曲制作に取り掛かっているそう。そしてヴォーカルの神野友亜は、来年2月に開催される「ZARD “What a beautiful memory ~軌跡~”」にコーラスで参加することが決定している。   
今後の彼女たちのますますの成長にも注目していきたい!

★SARD UNDERGROUND オフィシャルサイト 
http://sard-underground.jp/

SARD UNDERGROUN オフィシャルYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCUnOa67Xjk1CD2uedzX240w

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