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「SARD UNDERGROUND LIVE TOUR 2021[Cheers!]」を振り返って

待望の初オリジナルフルアルバム『オレンジ色に乾杯』を携えて、10月に東阪で開催したSARD UNDERGROUNDの「SARD UNDERGROUND LIVE TOUR 2021[Cheers!]」。10月16日にZepp Tokyoで観覧した東京公演を振り返ってみた!

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今年8月にニューアルバムの取材をした際ライブへの意気込みについて尋ねると、「まずは無事に開催できることを一番に願っています」と切望していたメンバー。その想いが叶い、万全なる新型コロナウィルス感染予防対策を講じた上での有観客となった本公演。1年ぶりとなる東京公演は2階席までびっしり埋まり、歓声や歌唱は禁じられたものの曲ごとに盛大な拍手や手拍子が鳴り響き、メンバーを後押し。場内は終始和やかな空気に包まれていた。
冒頭、ヴォーカルの神野友亜が「今日は私たちの思いを皆さんにたくさん届けられるように、大切に、楽しみながら演奏するので、皆さんも最後まで一緒に楽しんでいってください。」と語りかけた。その言葉通り、『オレンジ色に乾杯』収録のオリジナル曲に、ZARDのカバーを織り交ぜながらの全21曲は、派手な演出は一切なく、ただただ真摯に「演奏」と「歌」で想いを届ける直球勝負のステージを貫いた。
 
オリジナル曲「あの夏の恋は眩しくて」から幕を開けたライブは、序盤、ZARDのカバー「揺れる想い」や、3rdシングル「ブラックコーヒー」などピュアな恋愛心理を描いたミディアムナンバーをラインナップ。杉岡泉美のベースは安定感を増した指弾きで、サポートドラムの車谷啓介と共にサウンドの土台をしっかり支え、また人となりがそのまま表れたかのような坂本ひろ美の温かみのある鍵盤がバンドアンサンブルに包容力をもたらしていく。サポートギター岩井勇一郎の熟練された演奏にも支えられながら一体感をぐんぐん高め、開放感溢れる神野の歌声をより際立たせているのを感じた。

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「今回新たに坂井泉水さんの未公開詞による楽曲が完成して、東京の皆さんには初披露となります。坂井泉水さんの詞の、相手を思って強くありたいという女性の気持ち、優しさにすごく胸が熱くなります。」(神野)
 
そう紹介されて披露された『オレンジ色に乾杯』収録の「夏の恋はいつもドラマティック」は、4つ打ちリズムのどっしりとしたバンドサウンドでライブにも映える曲。CDでの味わいとまたひと違う高揚を感じさせてくれた。続けて、ポジティブなメロディと歌詞が元気を与えてくれる「これからの君に乾杯」、アカデミックな構成も魅力のマイナー調バラード「少しづつ 少しづつ」と、坂井泉水の未公開詞によって生まれた3曲を熱演。そして、余韻に浸る中静かに始まったオリジナル曲「Blue tears」。イントロでは繊細さと強さを内包した歌詞の心情を、坂本が情感溢れるピアノで見事に表現。そして神野特有の「清らかさ」や「上品さ」が宿る伸びやかな歌声が、リリカルなバラードナンバーを深遠な世界へと導いていった。

中盤は、「時の流れが加速するごとにワクワクできるように、人生が楽しくなる楽曲になっていればいいなと思います。」と言って届けられた「オレンジ色」から、ノンストップで「君には敵わない」のオリジナル2曲。さらにZARDのカバー「運命のルーレット回して」へとテンポ良く繋いでいく。ライブ中、『ZARD tribute III』を制作中との嬉しい知らせがあったが、現状アルバム未収録の「運命のルーレット回して」が演奏されたということは、次のアルバムに収録されるのか?と勝手な期待を膨らませてしまった。そして、SARD UNDERGROUND史上最もポップでユニークな「イチゴジャム」でひとしきり盛り上がった後、再びMCへ。

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 「私、まだ緊張してるんですけど。」という神野の言葉を受けて、「深呼吸とかしときます? 皆さんも付き合ってもらっていいですか? 大きく息を吸って、鼻からゆっくり吐いて〜」と、突然杉岡の独壇場に。グッズ紹介の場面でも天然キャラが炸裂していたが、そんな杉岡に鋭いツッコミを入れるのは神野。それを優しく見守る坂本……と、三者三様のキャラクターもバランスがよく、演奏以外でも観る者を楽しませてくれる。
 
さぁ、ライブはいよいよ終盤へ。ZARDのカバー「愛は暗闇の中で」、オリジナル曲「黒い薔薇」と新旧のハードなロックナンバーで勢いをつけると、ラストはZARDのカバー3曲、心踊る8ビートサウンドを色濃く打ち出した「好きなように踊りたいの」、神野の真価を発揮するイントロでのアカペラも眩しい「マイ フレンド」、そしていつの時代も多くの人を勇気づける不朽の名曲「負けないで」で晴れやかに本編を締めくくった。
 
鳴り止まない拍手に包まれて始まったアンコール1曲目は、坂本の30秒に及ぶピアノソロも聴きどころとなったZARDのカバー「少女の頃に戻ったみたいに」。ミラーボールの光が降り注ぐ中、丁寧、かつ優美な演奏が心を満たしていった。

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そして迎えたラストナンバーは、ZARDライブの代表格とも言える「Don’t you see!」。骨太なバンドサウンドに負けない神野のパワー感を増したタフなヴォーカルは最後までボリュームダウンすることなく、存在感十分。また、サビ頭の「♪Don’t you see!」で腕を突き出すポーズを神野がちょっぴり照れ気味に放つと、その姿に客席も応えて満場がおそろいのポーズに。演者とオーディエンス双方の熱い思いが行き交う会場はこの日の最高潮を迎え、およそ2時間に亘るライブは充実のエンディングを迎えた。
 
今回最も印象的だったのは、メンバー3人それぞれの成長である。2019年2月3日の初ライブから彼女たちのステージを見続けている筆者にとって、成長のスピードに目を見張ると共に、それを実現するための本人たちのたゆまぬ日々の努力を想像するに難しくなかった。純粋な憧れからスタートしたZARDトリビュートバンドとしての活動だが、彼女たちがいかに覚悟を持ってその大役に挑んでいるのか、その成果を今後ぜひ多くの方に体感して欲しい。

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SARD UNDERGROUND LIVE TOUR 2021 [Cheers!]
2021年10月16日(土) @東京・Zepp Tokyo セットリスト

01. あの夏の恋は眩しくて
02. 揺れる想い
03. ブラックコーヒー
04. 息もできない
05. 心を開いて
06. Oh my love
07. 夏の恋はいつもドラマティック
08. これからの君に乾杯
09. 少しづつ 少しづつ
10. Blue tears
11. オレンジ色
12. 君には敵わない
13. 運命のルーレット廻して
14. イチゴジャム
15. 愛は暗闇の中で
16. 黒い薔薇
17. 好きなように踊りたいの
18. マイ フレンド
19. 負けないで
encore
20. 少女の頃に戻ったみたいに
21. Don’t you see!


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