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パリのベビーシッター事情をリアルに描いた映画、Les Femmes du square

日本への一時帰国の時に、飛行機の中でFemmes du Square(2022)という映画を観賞しました。

まともな仕事のないコートジボワール出身のAngèleは、アパートの隣人で同じアフリカ系の女性Wassiaにベビーシッターを探しているという上流階級の女性を紹介してもらうことになります。Angèleは、面接の時にアフリカの子守唄を歌えば上手くいく、というWassiaのアドバイス通りにし、8歳のArthurのベビーシッターの仕事をゲットします。Arthurの母親は、仕事に忙しく、Arthurは寂しい思いをしていました。

公園のスクエアには、燦燦囂々ベビーシッターが子供を連れてきて遊ばせていますが、ベビーシッター同士のネットワークを形成する場ともなっています。ある時、Wassiaは、彼女の雇用主が早くに帰宅するときにはその分の給料が引かれているが、残業した時の給料は支払われていない、とAngèleに不満を漏らします。Angèleは、徐々にベビーシッターの不安定で搾取されている労働環境に気付き、困っている隣人Wassiaのために動き出します。Angèleは、知り合った弁護士の助けを借りながら、試行錯誤し、また子供たちの助けも借りて、、、、

この映画は、フィクションではありますが、「然もありなん」、と思わせるようなリアリティがある映画でした。パリのベビーシッターは、ヌヌと言われ、映画の中の主人公が非正規滞在者であるのと同様に、非正規滞在の外国人女性によって担われていることが多く、同じような境遇のヌヌたちが公園のスクエアで情報交換したり、クチコミでヌヌたちの間で仕事が広まっていっているのもリアルでした。

一方で、ベビーシッターに育てられる上流階級の子供たちが、大人びていながら親からの愛情に飢えていて、徐々にAngèleに心を開いていく姿は印象的でした。
最後の法廷劇や子供がAngèleの作戦に一役買っているところなどは、フィクションであり、実際はこんなに上手くいかないだろうと思いましたが、パリのベビーシッター事情を知る上で、参考になる映画でした。


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