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【七転び八起きの六転び目①】
140日間ぐらいだったかな。1度の休みもなく毎日ピザを伸ばして焼いて駆け抜けた夏が終わった。
実際、よく1度も風邪を引くこともなく、遅刻することもなく、熱中症になりかけながら、旭川から中富良野まで通い続けたもんだ。
ふっと気が抜けたんだろうね、確か終わってすぐに風邪をひいて寝込んだ記憶がある。気がつけばそれは秋の風物詩。
さて、ここからどう転ぶかなんだけど、夏に命懸けで働いて稼いだお金で、一気にカードローンや滞納していた家賃の返済、支払いを済ませたわけで……そうなんだよね、中富良野は10月上旬までの期間限定営業だから、11月からの生活費がほとんど残っていなかった。
迂闊なのかアホなのか、迂闊なアホなのか。
もちろん計算はしてた。小出しに払ってローンを引き摺ったまま次の夏まで生活するという手段もあったけど、そうはしなかったのは気分的にスッキリしたかったのと、気分的にスッキリしたかったからである。
2つ理由を挙げた風で1つしかないわけだけど、それはいくつか理由があった気もするけどやっぱりそれが主だったからだ。
とにかく、借金や延滞の後ろめたさから解放されたときの気分は本当に最高だった。数字的なアレコレより精神的リフレッシュ。
さて、それからじゃあどうしようという段階で思いついたのは旭川にお店をオープンさせることだった。実際には中富良野が終わる前の9月ぐらいから毎日考えていたんだけど。
出来るだけ家賃が安くて、出来るだけ目立たず、お客さんがフラっと立ち寄りにくい場所を探さないと。なぜなら夏の期間は閉めるつもりだったから、流行るわけにはいかない。そんな立地条件で物件を探す奴は他にいない。
余談だが、もしこのルーティンがフラットな借金のない状態でスタートしていたなら、夏場に4ヶ月働いて、あと8ヶ月は働かないでたまにイベントとかに出店したり出演したりするという生活をしていただろう。そうならなかったのは借金のおかげだから、あれはつまり未来への投資だったんだと自分に言い聞かせている。
店の名前はpassatempoに決めていた。イタリア語で意味は『趣味・暇つぶし』。真面目に働く気のない奴がつけそうな名前だ。
ちょうど友達がインテリアショップをやっているビルに良い感じのスペースがあり、場所も絶妙に目立たず隠れ家的と言うか割と真剣に隠れていたからそこに決めた。
日本政策金融公庫で真面目なローンを組んで早速店作りに取り掛かる。カードローンも全て返済していたから比較的ローンを組むのもスムーズ。
300万ぐらい借りたんだったかな、毎回思うけど毎月5万円返済して年間60万、5年で300万ってのはもう人生に義務として組み込んで欲しいぐらいのもんだ。だから5年ごとに300万勝手に振り込んで欲しい。
いつもだけど店作りしている時間はすごく楽しい。ペンキ塗ったりテーブルや椅子を選んだり、ピザ窯はちょうど良いサイズ感のを探すのに苦労したけど、中古で良いガス窯を見つけたからそれに決めた。
さて、今回はどっちだ。起きようか、転ぼうか?
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