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【七転び八起きの四起き目①】

【七転び八起き】マガジン

 時系列がハッキリしていないけどせっかくだからハッキリさせないまま箇条書き気分で書いてみる。

 確かgroveは全品500円という恐ろしい実験的なアイデアを試してみたんじゃなかったかな。ついでに色んなイベントを打ち出したのもこの時期だったと思う。
 とにかく色んなアイデアを思いついたらやってみてなんとか成功を手繰り寄せようと必死だったんだ。
 前菜もパスタもピザもメイン料理も全て500円というシステムにして、それでどういうオーダーが入るのか知りたかったからやってみたんだけど、話題性もあるし、広告の打ち出しやすさもあり、なによりまずは集客が必要だったから。
 お客さんはそれでも前菜、パスタ、ピザ、メイン、ドルチェと規則的な注文をするから、キャッチーで話題性がありながらコースプランとあまり内容が変わらない結果になるということが分かった。
 さらにそれにドリンクや飲み放題をプラスすると飲み放題付きプランと同じ金額かそれ以上になったしね。
 組み立てられているものを分解して売ったら完成品より利益があるんじゃないかという発想。

 新しいシステムで売上を上げながら、富良野の友達が新しくオープンさせる新店舗のプロデュースの仕事も請け負った。
 人気のハンバーガー屋を経営している友達で、ベーコンやソーセージの製造と販売もしていたから、それらを使ったイタリアンバールをやろうという話だ。
 自分のお店を経営しながら、富良野まで車で通ったり泊まり込んだりで大変だったけど、正直めちゃくちゃ楽しかったし勉強になったからこのまま富良野で店をやるのも面白いなと思ったよ。
 同じ目線で意見を出し合ったり言い合ったりできるのも新鮮だったし、自分より洗練された感性に触れたり、素直に尊敬できる友達と並んで働く感覚は新鮮でどこか懐かしくもあり心地良かった。
 たぶんあそこにピザ窯があったらそのまま一緒にやっていたんじゃないかなんて思ったりもする。

 確かこの時期、富良野のプロデュースが終わったあたりで一度、groveも閉店しようと思った気がする。
 色々とやってみて、上手くいったりいかなかったりを繰り返して疲れたんだ。富良野の楽しかった感覚を引きずってたし、ちょうど誰かがgroveの場所に交代で入ろうかなって話もあったから。

 で、その時に交代で入ろうって奴と話してみて、そいつになんかイラッとすることを言われたから、確かここでちゃんとしたイタリアンをやれば流行るのにとかそんなことを言われた記憶がある、それでカチンときたから続けることにしたんだ。
 groveやBRASS MONKEYでやってきたことを小馬鹿にされた気がしてね。

 いらないプライドと短気な性格が災いして逃げ出す機会を失ったかのようにも思えたけど、それはたぶん守るべきプライドで、そのプライドがそこからの1年を与えてくれた。

 もちろんそれはただの偶然なんだけど。

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